Appleが日本でも「大量購入商品の返品」に15%の手数料を新設|7月末に追記、数量基準はなくApple側の判断で発動

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Appleロゴの店舗のイメージ画像。Apple Watchは写っていない。

Appleの日本向けサイトに、これまでなかった一文が加わりました。大量に購入した製品を返品する際、Appleが不正な目的だと判断すれば、商品1点につき15%の返品手数料を課すという内容です。SNSで話題になったのを受けて、Apple公式ページの原文と、過去のアーカイブ、そして他の国と地域のポリシーを実際に突き合わせてみました。

結論から言うと、記載は本物で、しかも追加されたのは数日前です。ただし「海外では当たり前」という言い方は、調べてみると少し違いました。条文の書き方にも、知っておいたほうがいい点があります。

追加されたのはこの一文

Appleの日本向け「返品・返金」ページと「販売条件」ページの両方に、次の項目が掲載されています。

大量購入商品の返品

一般的な返品条件に加えて、1回または複数回の注文に分けて大量に購入した製品の返品を含みますがこれに限らず、Appleが不正な目的による返品の恐れがあると判断した場合、以下の条件が適用されます:

・商品1点につき 15% の返品手数料が課されます。また、
・元の購入が行われたApple Online Storeへの返品のみが受け付けられます

ポイントは2つです。ひとつは返品のたびに商品価格の15%が差し引かれること。もうひとつは、返品先が購入したApple Online Storeに限定され、直営店に持ち込んでの返品ができなくなることです。

たとえば214,800円のiPhoneなら、1台あたり約32,000円が手数料として引かれる計算になります。

追加されたのは7月30日から8月1日の間

この条文がいつからあるのかを、インターネットアーカイブ(Wayback Machine)で遡って確認しました。

販売条件ページは保存回数が多く、2026年6月1日、6月17日、7月4日、7月19日、7月20日、7月22日、7月23日、7月24日、7月25日、そして7月30日のいずれのスナップショットにも、この項目は存在しませんでした。返品・返金ページのほうも、2024年1月から2026年7月5日まで該当箇所はありません。

そして現在は両ページに掲載されています。SNSで最初に指摘された投稿は8月1日の15時24分(日本時間)でした。つまり7月30日から8月1日のあいだに追記されたことになります。Appleからの告知は確認できていません。

「海外では既に導入されていた」はどこまで本当か

話題になった投稿には「海外では既に導入されていた」とありました。ここを確かめるため、Appleの各国・地域向けの返品ページと販売条件ページを実際に開いて確認しました。

地域 大量購入に関する手数料
シンガポール あり。同一カテゴリで4台超/7日以内に返品/1点につき25%
香港・マレーシア 通常の返品規定が「大量購入品を除く」と明記。香港は別途、配送3回失敗時のキャンセルに15%
アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア 該当条項を確認できず
ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・オランダ 該当条項を確認できず
韓国・台湾・中国・インド・タイ・フィリピン・ベトナム 該当条項を確認できず

つまり「海外では」と一般化すると正確ではありません。この種の条項が明確に存在するのはシンガポールで、欧米の主要国には見当たりませんでした。

Appleが日本市場だけに別の条件を設けるのは、これが初めてではありません。7月のAppleCare+値上げでも、米国はMacとiPadだけだったのに対し、日本はApple WatchやApple TVまで対象が広がりました。地域ごとに条件が違うのは、Appleでは珍しくない運用です。

シンガポール版のほうが、実は厳しい

唯一の先行例であるシンガポールと日本を並べると、こうなります。

項目 シンガポール 日本(今回追加)
手数料 1点につき25% 1点につき15%
発動条件 同一カテゴリで4台超(1注文または複数注文の合計) Appleが不正な目的の恐れがあると判断した場合
返品期限 7日以内(通常は14日) 14日のまま短縮なし
返品先 購入したApple Store 購入したApple Online Store

手数料率は日本のほうが10ポイント低く、返品期限の短縮もありません。条件としては日本版のほうが緩いと言えます。

なお、シンガポールのこの条項は最近のものではありません。アーカイブを遡ると2016年1月のページには存在せず、2017年1月にはすでに掲載されていました。少なくとも9年以上前から運用されている、かなり古い仕組みです。

条文は「転売ヤー」だけを狙っていない

淡いグリーンのiPhone Pro風の端末が整列した3Dレンダー画像。Appleロゴの形が実機と異なる

ここが今回いちばん注意して読んだほうがいい部分です。

シンガポール版は「同一カテゴリで4台超」という機械的な数量基準を置いています。買った人が誰であれ、5台目からは自動的に対象になる、という分かりやすいルールです。

対して日本版には数量の基準が一切書かれていません。発動条件は「Appleが不正な目的による返品の恐れがあると判断した場合」であり、判断の主体はApple側です。しかも「大量に購入した製品の返品を含みますがこれに限らず」と書かれているので、大量購入であることすら必須条件ではありません。

したがって「悪質な転売ヤーだけが対象」と読むのは、条文よりやや踏み込んだ解釈になります。実際の運用がどうなるかは今後を見るしかありませんが、少なくとも文面上は、Appleの裁量にかなり広く委ねられた書き方です。

Apple製品の転売については、整備済製品がフリマに未開封のまま並ぶ現象も指摘されています。買い占めと転売がAppleにとって無視できない規模になっていることは、以前から見えていました。

なぜこのタイミングなのか

Appleは理由を公表していないので、ここは状況から推測するしかありません。ただ、時期としては気になる材料がいくつか重なっています。

ひとつは供給の問題です。Appleは7〜9月期に供給制約が大幅に増えると決算説明会で警告しており、名指しされたのはiPhone・Mac・iPadでした。品薄が予想される時期に大量購入と返品が繰り返されると、本当に欲しい人に商品が行き渡らなくなります。

もうひとつは価格です。日本では今年に入ってから値上げが続いており、円安と相まって、日本で買って海外で売るという動きが成立しやすい状況が生まれていました。新型iPhoneの発表が例年どおりなら9月です。その前に条件を整えておく、という読み方はできそうです。

繰り返しますが、これはあくまで推測です。Appleが公式に理由を述べたわけではありません。

普通に買って普通に返す人には影響しない

不安に思う方もいるかもしれないので、確認しておきます。

通常の返品条件そのものは変わっていません。製品を受け取ってから14日以内、購入時のすべてのパーツ・アクセサリ・パッケージを含む元の状態であれば、これまでどおり返品または交換ができます。手数料もかかりません。

今回追加されたのは、その一般的な条件に「加えて」適用される例外規定です。1台を買って、思っていたものと違ったので返す、という使い方をしている限りは、これまでと何も変わりません。

安く正規品を手に入れたいなら、Apple公式の整備済製品という選択肢もあります。転売品を掴むリスクを避けたい方は、こちらのほうが確実です。

まとめ

整理すると、次のようになります。

・Appleの日本向けページに「大量購入商品の返品」という項目が新設された
・商品1点につき15%の返品手数料、返品先は購入したApple Online Storeのみ
・追加されたのは2026年7月30日から8月1日のあいだ。Appleからの告知はなし
・同種の条項が明確にあるのはシンガポールのみで、欧米主要国では確認できなかった
・シンガポール版は25%かつ4台超という基準があり、日本版のほうが緩い
・日本版には数量基準がなく、発動はAppleの判断に委ねられている
・通常の14日返品には影響しない

Appleが日本限定で一斉値上げに踏み切ったのも今年の出来事でした。日本市場に対する条件の設定が、ここ数か月で立て続けに動いています。今後の運用について続報があれば、あらためてお伝えします。

Source: Apple「返品・返金」Apple「販売条件」Apple Singapore「Sales Policies」/各国Apple公式ページおよびInternet Archiveを編集部で確認(画像:Apple 梅田 メディアプレビュー)

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