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会話をずっと聞き取って要約するAIウェアラブルが、米国の州の盗聴に関する法律に触れるおそれがあると、米CNBCが2026年10月18日に報じました。Apple Watch Series 12の「Siri Recap」や、Amazonが10月に発表した「Bee」シリーズ、Metaのスマートグラスなど、常に周りの声を拾う機器が今年一気に増えています。
法律の専門家は、州によっては、周りの人の同意を得ずにこうした機能を使った着けている本人が責任を問われる可能性があると指摘しています。
会話を聞き取るAI機器が今年一気に増えた
9月に発表されたApple Watch Series 12には、1日の会話を周りの音から自動でメモして要約する「Siri Recap」と、直前15秒の会話を文字で見返せる「ライブ早戻し」が加わりました。Amazonは10月15日、手首に着けたり服に留めたりできる「Bee Frontier」と、スマートフォンに付けるカード型の「Bee Eclipse」を発表しています。どちらも1日の会話を録音して文字に起こし、分析する機器です。
Metaのスマートグラスは写真や動画、音声メモを記録でき、PlaudやPocketのカード型のボイスレコーダー、Friendのペンダント型のAIも出ています。CNBCが取材した米ピッツバーグの経営者は、Metaのグラス、ペンダント型のメモ機器、AmazonのBeeのバンドを身に着けて毎日を記録していますが、バーで居合わせた人に「落ち着かない」と言われたことがあり、そのときはグラスを外したと話しています。
録音を保存しなくても「傍受」にあたる可能性
以前のスマートスピーカーは「ウェイクワード」で起動していましたが、新しい機器の中には、音声を保存せずに、聞き続けた話の中身だけを読み取るものがあります。この処理そのものが違法な傍受にあたるのかは、これまでほとんど問われたことのない問題です。
AppleはSiri Recapについて、音声を保存せず、サーバーにも送らず、人が聞くこともないと説明しています。Amazonも、Beeの音声は保存せず、Amazonを含めて誰もアクセスできない安全な環境で処理するとしています。
ただ、多くの州の盗聴や傍受の法律は、音声のファイルを作ったかどうかではなく、私的な会話を傍受したか、その中身を取得したかで判断する作りになっています。法律事務所Foley Hoagで個人情報を扱うコリン・ジック弁護士は、マサチューセッツ州の法律が傍受の装置を「伝える、受け取る、増幅する、録音する」機器と広く定め、会話の「中身」に意味まで含めている点を挙げました。音声を残さなくても、話を受け取って文章の要約を作る機器は、この定義に当てはまる可能性があるとしています。
ニューハンプシャー州では着けている人に民事・刑事の責任も
ジック弁護士は「着けていない人は時計を買っていないし、Appleの規約に同意してもいないし、自分の会話をアプリで要約されることを選んでもいない」と話し、州によっては法的なリスクがメーカーではなく着けている人にかかる可能性があると指摘しました。
ニューハンプシャー大学ロースクールのダニエル・パイ准教授は、同州の法律は録音だけでなく会話の中身の「聴覚その他による取得」も対象にしていて、Apple Watchの新しい機能は傍受にあたると考えています。全員の同意を得ずに私的な会話で使えば、民事や刑事の責任を問われる可能性があるとしつつ、実際に起訴される危険はずっと低いとも話しています。機能をオンにしていたかを確かめるのが難しく、誰も被害を受けていない違反を検察が追うとは考えにくいためです。
パイ准教授によると、以前のスマートスピーカーの訴訟は、機器が誤って起動して声を拾ったことが中心でした。今回は、利用者が自分で機能をオンにし、会話の中身を取得するために作られた機能を使っています。その分、責任が会社から着けている人の側に移る可能性があるといいます。
周りの人は知らないうちに記録される

米タフツ大学工学部のカレン・パネッタ氏は「自分が記録されることに同意しても、周りの人みんなが同意したことにはならない」と話しています。
元CIA職員で、新しい技術を扱う企業Veilantのマイケル・ストークス氏は、機器を持っていない人まで知らないうちに記録の対象になる「居合わせた人の問題」がいちばんの心配だとしています。以前は人の情報を集めて整理するのに何千時間もかかりましたが、AIでその手間が大きく減り、たまたま集まったデータからも意味を取り出しやすくなったためです。
録音されることを防ぐ機器も出てきています。米スタートアップのDeveillanceは、周りの機器をAIで探し、マイクが声を処理する前に音声をかき乱す信号を出す、ホッケーのパックのような形の「Spectre I」を作りました。
日本ではSiri Recapはまだ使えない
Apple WatchのSiri Recapとライブ早戻しは、年内にまず英語のベータ版として提供される予定で、日本語ではまだ使えません。CNBCの記事が取り上げているのは米国の州の法律で、日本の法律での扱いには触れていません。
まとめ
会話をずっと聞き取るAIウェアラブルは、音声を保存しないという作りでメーカー側の心配を減らしてきました。それでも米国の州の法律では、話の中身を読み取ること自体が傍受にあたる可能性があり、その責任は着けている人に向かうかもしれないと専門家はみています。AIボイスレコーダーやスマートグラスで周りの会話を記録するときは、居合わせた人にひと言伝えるといった配慮が、これまで以上に大事になりそうです。
Source: CNBC
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