Garmin、コーチング大手のTrainingPeaksとTrainHeroicを買収|狙いはGarmin Connect+のてこ入れか【海外ニュース】

NEWS

公開日:

ランニング中にGarminスマートウォッチを装着した男性

スマートウォッチで走ったり自転車に乗ったりしたあと、そのデータをどこに貯めて、どう振り返るか。Garmin(ガーミン)ユーザーの多くは「Garmin Connect」を使っていますが、より本格的にトレーニングをしている人や、コーチについてもらっている人の間で長く定番になってきたのが「TrainingPeaks(トレーニングピークス)」というサービスです。

そのTrainingPeaksを、Garminが買収したと2026年7月22日(現地時間)に発表しました。あわせて、筋力トレーニング向けのコーチングサービス「TrainHeroic(トレインヒロイック)」も同時に傘下に入っています。発表そのものは短く、具体的に何が変わるのかはまだほとんど示されていません。ここでは発表内容を整理したうえで、海外の専門メディアの見立ても交えながら「これは何を意味するのか」をやさしく解説します。

Garminが発表した買収の中身

Garmin Ltd.(NYSE: GRMN)は現地時間7月22日、スイス・シャフハウゼンの本社から、アスリートとコーチ向けのトレーニングプラットフォームであるTrainingPeaksとTrainHeroicを買収したと発表しました。買収額は非公表です。

項目 内容
発表日 2026年7月22日(現地時間)
買収した企業 Garmin Ltd.(NYSE: GRMN)
対象サービス TrainingPeaks/TrainHeroic(運営元はPeaksware Holdings)
買収額 非公表
拠点 米コロラド州ルイビル
人員 両サービス合わせて120名がGarminに合流
対象外 Peaksware傘下の音楽系サービスは今回の買収に含まれない

Garminの共同最高執行責任者であるBrad Trenkle氏は、TrainingPeaksとTrainHeroicが「世界中のアスリートとコーチに一流のトレーニングツールと指標を届けるという情熱をGarminと共有している」とし、両サービスの追加によって「プロのコーチとアスリートをつなぐ、より本物のコーチング体験へのアクセスが広がる」とコメントしています。

一方、TrainingPeaksとTrainHeroicの親会社Peaksware HoldingsのCEOであるAndy Stephens氏は「10年以上にわたって協力し、コーチングとパフォーマンス分析を身近なものにしてきた。データに基づく構造化されたトレーニングで、何百万人ものアスリートがピークに到達するのを支えてきた」と述べ、Garminとの合流に前向きな姿勢を示しました。

なお、TrainingPeaksが2024年に買収した室内サイクリング用のバーチャル走行サービス「TrainingPeaks Virtual」(旧Indievelo)も、今回の買収対象に含まれています。これはZwiftのようなオンライン上で走れるプラットフォームで、現在はTrainingPeaks本体と密に連携しています。

TrainingPeaksとTrainHeroicはどんなサービス?

TrainingPeaksは、マラソンやトライアスロン、ロードバイクなど持久系スポーツの世界で20年近く使われてきた老舗のトレーニング管理サービスです。ざっくり言うと、次のような役割を1つにまとめたプラットフォームになります。

・アスリートが日々の練習をカレンダー形式で記録し、各社のデバイスからデータを自動で取り込む
・コーチが担当選手の練習内容を確認し、翌週のメニューを渡す(コーチ業そのものの管理ツールでもある)
・種目別のトレーニングプランを販売するマーケットプレイス
・コーチを探せるディレクトリ
・TrainingPeaks Virtualによる室内サイクリング
・TSS(トレーニングストレススコア)やNP、IFといった独自指標を、Garminをはじめとする他社にライセンス提供

最後の項目は少し意外に感じるかもしれませんが、Garminのデバイスやアプリに表示される一部の指標は、もともとTrainingPeaks由来のものです。つまり両社は買収以前から取引関係にありました。

もう一方のTrainHeroicは、筋力トレーニング寄りのコーチングサービスです。約50万人のユーザーと1万人のコーチを抱え、こちらも10年以上の歴史があります。ランニングや自転車といった持久系が中心のTrainingPeaksに対して、ウエイトトレーニングの領域をカバーする存在です。

コーチ向けには「これまで通り使える」と説明

発表直後は、実際にサービスを使っているコーチに対して何のアナウンスもない状態が続きましたが、数時間後にTrainingPeaksから利用者向けのメールが送られました。要点は次の通りです。

・TrainingPeaksはGarminの一員になった
・目的は、人間のコーチとアスリートをつなぐ本物のコーチング体験を広げること
・TrainingPeaksは今後も「クロスプラットフォームのエコシステム」として運営を続け、アスリートとコーチが自分に合ったデバイス・サービスを選んで使える状態を維持する

「クロスプラットフォーム」という言葉が入っている点は、他社デバイスのユーザーにとって重要なポイントです。ただし、具体的にどこまで維持されるのかまでは書かれていません。

Garminの狙いはどこにあるのか

湖畔の砂利に置かれたGarmin Instinctスマートウォッチ

今回の買収について、海外のスポーツテック専門メディアDC Rainmakerは「正直なところ少し戸惑っている」と率直な感想を書いています。理由は、Garminが欲しがりそうなものが、あまり見当たらないからです。

たとえばトレーニングプランはGarminも自前で多数持っていますし、蓄積されたデータの量にいたっては、世界中で使われているGarminデバイスのほうが圧倒的に多いと見られます。同メディアは「Garminが1日に生み出すデータのほうが、TrainingPeaksが1年で集めるデータより多いのではないか」とまで書いています。

そのうえで挙げられているのが、Garminの有料プラン「Garmin Connect+」のてこ入れという見立てです。Connect+は現時点で「お金を払ってでも使いたい」と思わせる決定打に欠けており、同メディアの筆者自身も2026年4月に契約を止めたと明かしています。

ここにTrainingPeaksの分析機能や、TrainingPeaks Virtualの室内サイクリングが組み込まれるとしたらどうでしょうか。とくにTrainingPeaks Virtualは、TrainingPeaksに買収される前は無料で使えていたサービスです。これがConnect+の特典として利用できるようになれば、自転車で乗る人にとっての魅力は一気に高まります。上位プランでTrainingPeaksの本格的な分析機能まで開放する、といった二段構えも考えられます。

背景には、AIによる自動コーチングの広がりもあります。手軽なAIコーチングアプリが増えたことで、人間のコーチが提供する本格的なコーチングは、価格でも手軽さでも比較にさらされやすくなりました。TrainingPeaksは長く安定して動き続けてきた実績が強みである一方、最新技術で攻めるタイプのサービスではありません。Garminのエコシステムに入ることで、その安定感を収益につなげ直す狙いがあるのかもしれません。

ユーザーとコーチが気にしておきたい3つのポイント

今回の発表は情報量が少ないぶん、先行きが読みにくい部分も残っています。海外メディアが挙げていた懸念のうち、日本のユーザーにも関係しそうなものを3つ整理します。

1. 他社デバイスからのアップロードは続くのか

TrainingPeaksが支持されてきた最大の理由は、メーカーを問わずデータを受け入れる中立的な立ち位置にあります。ここが閉じられてしまうと、他社のデバイスを使う選手を抱えるコーチは別のサービスへ移らざるを得ません。コーチにとってプラットフォームの引っ越しは大変な作業ですが、それでも動かざるを得なくなるという指摘です。前述のメールでは「クロスプラットフォームを維持する」とされているものの、詳細の説明はまだありません。

2. TrainingPeaks指標の他社提供はどうなるのか

TSSなどの指標を他社にライセンスする仕組みが今後も続くのかも注目点です。Garminは過去にフィンランドのFirstBeat(心拍解析アルゴリズムの企業)を買収した際、他社へのライセンスは継続すると説明していましたが、時間の経過とともに新規の提供は事実上なくなったとされています。同じ経緯をたどる可能性はあります。ただしTrainingPeaks系の指標は、名称を変えればほぼ同等の計算が可能なため、影響は限定的だとも指摘されています。

3. プラットフォームは維持・改善されるのか

TrainingPeaksをGarmin Connectに統合するのは、技術的にかなり難しいと見られています。両者は成り立ちも構造もまったく異なる巨大なサービスで、実際にはこれまで通り別々に運用される可能性が高いという見方です。Garminは過去にもTacx(タックス)などを買収後ほぼそのままの形で運用してきた実績があります。裏を返せば、Garminは今後ずっとTrainingPeaksを維持し続ける必要があるということでもあります。

日本のユーザーにとっての意味

グリーンバンドのGarmin Forerunnerスマートウォッチ

日本ではTrainingPeaksは、トライアスロンや自転車競技、市民ランナーの中でも本格的にトレーニングを積む層が中心に使ってきたサービスです。Garminのウォッチで走ってGarmin Connectに記録し、そこからTrainingPeaksに同期してコーチと共有する、という使い方をしている人も少なくありません。

その意味で、両者の距離が近づくこと自体は、日々の同期がよりスムーズになる方向に働く可能性があります。一方で、TrainingPeaksの日本語対応や国内価格について、今回の発表では何も触れられていません。日本のユーザーが実際に変化を感じるのは、Garmin Connect+の内容が更新されるタイミングになりそうです。

Garminのランニングウォッチをこれから選ぶなら、TrainingPeaksとの連携実績が長いForerunnerシリーズが基準になります。

Amazonで詳細を見る

楽天で詳細を見る

Yahoo!ショッピングで見る

まとめ

GarminによるTrainingPeaksとTrainHeroicの買収は、新しいデバイスが出るような分かりやすいニュースではありません。それでも、日々のトレーニングをどこに記録し、誰と共有し、いくら払うのかという、ユーザーの習慣に近いところに関わる動きです。

現時点で分かっているのは、両サービスの120名がGarminに合流し、TrainingPeaksは当面これまで通り運営されるということだけです。他社デバイスからのデータ取り込みが続くのか、Garmin Connect+に何が加わるのか。判断できる材料が出そろうまでには、もう少し時間がかかりそうです。すでにTrainingPeaksを使っている人は、慌てて乗り換えを検討するよりも、今後のアナウンスを見守るのが現実的でしょう。

Source: DC RainmakerTrainingPeaks

あわせて読みたい関連記事

Garmin初の画面なしスマートバンドは、サブスク不要という真逆のアプローチです。

Garmin初の画面なしスマートバンド「CIRQA」日本で8月6日発売|32,800円・サブスク不要で24時間ヘルスケア

Garminのサブスクがどう見直されてきたかは、この記事が分かりやすいです。

Garmin、inReachサブスクを刷新|最大12カ月「一時停止」中もSOS要請OK。fēnix 8 Proシリーズも対象

TrainingPeaksと組み合わせやすいForerunnerを、モデル別に比べたい方はこちら。

Garmin Forerunnerシリーズ徹底比較|70・170・265・570・965・970の違いを詳しく解説

これから走るための1本を選ぶなら、まずこちらで全体像をつかめます。

ランニング向けスマートウォッチおすすめ10選【2026年版】二周波GPS/VO2MAX対応モデル厳選

Garminが他社サービスと組んだ直近の例としては、こんな動きもありました。

Garmin、Meta AIグラスにライブデータを提供開始|「Hey Meta」で音声リクエスト・LED表示・自動撮影が実現

実機を試してから選びたい方は、8月に移転オープンする直営店もチェックしてみてください。

ガーミンストア銀座が8月1日にGinzaNovo 8階へ移転リニューアル|fēnixなど幅広く試せる直営店

Garminの現行モデルをシリーズごとに整理した完全ガイドです。

Garmin現行スマートウォッチを全整理:シリーズ別の特徴・選び方・価格早見表(2026年版)

Garminの最新ニュースをまとめて追いたい方はこちらから。

GARMINタグの記事一覧

 はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、 記事の探し方ガイド から目的別に読めます。

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事