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MacやiPadを学生・教職員価格(いわゆる学割)で買った経験がある方は多いと思います。ただ、購入時に同意している販売条件を最後まで読んだ人は、そう多くないのではないでしょうか。
この学割には、割引率や対象者だけでなく「買ったあとの扱い」についての決まりがあります。とくに知られていないのが、購入から1年間は利益を乗せて転売できない、という条項です。ここを知らないまま「使わなくなったから売ろう」と考えている人もいるはずなので、Appleが公開している販売条件をもとに、条件のポイントを整理します。
きっかけは「学割で買って即転売」の逮捕報道

この話題が広く知られるきっかけになったのが、2025年1月に報じられた事件です。読売新聞によると、転売目的を隠して学生割引価格でノートパソコンを購入したとして、警視庁は2025年1月8日、男女7人を詐欺容疑で逮捕したと発表しました。
発表内容として報じられたのは、7人が共謀して2024年5月14日に東京・銀座のApple Storeで、定価の約1割引きの学割価格でノートパソコン計11台(販売価格計約287万円)を購入し、だまし取った疑いというものです。2024年2月以降、同様の手口で購入した計約1億2,000万円分のパソコンやタブレットを転売したとみられ、SNSを通じて学生を集めていたとされています。逮捕された中には20歳代の大学院生も含まれていました。収益の一部が準暴力団に渡った可能性についても捜査が進められていると報じられています。
報道でも、学割は購入後1年間、利益を上乗せして転売しないことが条件だったという点が指摘されています。
ただし、この件が刑事事件として立件されたのは、規約に反したからというだけの理由ではありません。報じられている内容を追うと、いくつかの要素が重なっています。まず規模です。被疑事実とされたのは1回の購入ですが、その1回で11台・販売価格計約287万円。2024年2月以降に同様の手口で購入して転売された分は、計約1億2,000万円分にのぼるとみられています。一度の勘違いではなく、継続して繰り返されていた計算になります。
次に手口の組み立て方です。中国のSNSを通じて学生を集める役割、集められて自分の資格で店頭に立つ役割、そして買った端末を転売に回す流れと、募集から換金までが分担された形だったと報じられています。実際に逮捕された7人には20歳代の大学院生も含まれており、名義を出す側として関わると、本人にその気がなくても事件の当事者になり得ることが分かります。
そして収益の行き先です。警視庁は、収益の一部がグループの中心とみられる女を通じて準暴力団「チャイニーズドラゴン」に渡った可能性もあるとみて調べていると発表しています。ここまで来ると、Appleの販売条件を守る守らないという話を超えて、資金源をたどる捜査の対象になります。事件の詳細は読売新聞オンラインの記事(2025年1月8日)で報じられています。
裏を返せば、学生本人が自分のために買った1台を、あとになって手放すという話とは性質がまったく違います。それでも「学割で買った製品には制限がある」という点は、規模の大小に関係なく共通です。ここからは、その条件を順番に見ていきます。
ここは誤解されやすいので補足します。この逮捕は、Appleの販売条件に違反したこと自体が罪に問われたものではありません。販売条件はAppleと購入者の間の取り決めで、破った場合に想定されているのは、注文のキャンセルや通常価格との差額・損害金の請求といった対応です。今回問題とされたのは転売目的を隠して学割価格で購入したという点で、Appleをだまして安く商品を得たとみなされ、詐欺の疑いがかけられました。規約に違反することと、刑事事件になることは地続きに見えて別のものです。なお、逮捕の段階はあくまで容疑であり、事実関係は捜査と裁判を通じて判断されます。
販売条件が定める「転売の禁止」は購入から1年
Appleが学生・教職員向けストアで公開している販売条件には、「転売の禁止」という項目があります。書かれているのは次の一文です。
割引でご購入頂いた製品は、購入年月日より一年間は利益を上乗せして転売できません。
ポイントは2つあります。ひとつは期間が「購入年月日から1年間」と決まっていること。もうひとつは、禁じられているのが「利益を上乗せした」転売だと書かれていることです。学割価格で安く買い、その差額を利ざやにして売る行為が想定されていると読めます。
とはいえ、いくらで売れば利益に当たるのか、購入から何か月経ったかといった線引きは、個別の状況で変わります。判断に迷う場合は、自己流で解釈せずAppleに直接確認するのが確実です。中古市場そのものは年々身近になり、リユースに抵抗のない人が増えているだけに、条件を知らないまま売ってしまうリスクも増えています。
そもそも割引の対象になるのはどの製品か
販売条件の「特別価格対象製品」として名前が挙がっているのは、MacとiPadのシリーズです。iPhone、アクセサリ、整備済製品、他社製品は割引の対象外と明記されています。
対象者も細かく決まっています。大学・高等専門学校・専門学校の学生、これらの学校への進学が決まった方、大学受験予備校生、そして小学校から大学・専門学校までの教職員です。PTAの役員として活動中の方も含まれます。さらに、対象となる学生の保護者が代理で購入することも認められています。対象者の範囲や、UNiDAYSを使った資格確認の手順は、Apple学割の仕組みをまとめた解説記事で詳しく紹介しています。
買える台数は1年ごとに決まっている

意外と知られていないのが、購入できる数量の上限です。学生・教職員向けストアで購入する資格がある方は、1年間に次の数量まで購入できると定められています。
| 製品 | 1年間に購入できる数量 |
|---|---|
| デスクトップ | 1台まで |
| Mac mini | 1台まで |
| MacBook | 1台まで |
| ディスプレイ | 1台まで |
| iPad | 2台まで |
| Apple Watch | 1台まで |
| アクセサリ | 2点まで |
この上限はオンラインとApple Store直営店を合算した数字です。店舗を分けて買っても合計は変わりません。前述の事件で1度に11台という購入が問題視されたのも、この枠組みから外れた買い方だったからだと考えると分かりやすいと思います。
資格の確認は、商品が届いたあとにも行われる
販売条件には、身分証明についての項目もあります。Appleは使用できる身分証明の種類を指定または制限することがあり、商品発送後であっても、販売対象者であることの確認を再度実施する場合があると書かれています。
そして、販売対象者ではないと判明した場合には、契約の成立に関わらずAppleが無条件で注文のキャンセルや契約の解除を行えるとされています。加えて、Apple Storeの通常価格に基づいた差額とその他の損害金の支払いを求められることや、法的措置がとられることもあると明記されています。買った時点で終わりではない、という点は覚えておいてよさそうです。
大量購入の返品には15%の手数料がかかる
返品についても条件が追加されています。1回または複数回の注文に分けて大量に購入した製品の返品などで、Appleが不正な目的による返品の恐れがあると判断した場合、商品1点につき15%の返品手数料が課され、返品は元の購入が行われたApple Online Storeでのみ受け付けられます。
この15%の返品手数料は2026年7月末に日本の販売条件へ追記されたもので、明確な数量の基準は設けられずApple側の判断で発動する形になっています。学割かどうかにかかわらず適用される条件なので、まとめ買いを考えている方は先に目を通しておくと安心です。
Apple Watchを学割で買うときに気をつけたいこと

気になるのがApple Watchの扱いです。販売条件の「特別価格対象製品」に名前が挙がっているのはMacとiPadですが、購入数量の上限にはApple Watchが1年に1台までとしてはっきり書かれています。
Apple Watchについては、Series 11・SE 3・Ultra 3が年間を通じて学生・教職員価格の対象になったと案内されています。販売条件のページの記述と、実際にストアで案内されている対象製品が必ずしも一致していない場合があるということです。購入前には、学生・教職員向けストアの製品ページで「学生・教職員価格」の表示が出ているかどうかを必ず確認してください。
では、学割で買ったMacは売ってはいけないのか
条件を読むかぎり、禁じられているのは購入から1年間、利益を上乗せして転売することです。1年が経過したあとの売却について、この条項では制限されていません。学生時代に買ったMacを卒業後に手放す、といった一般的な流れであれば、通常は問題にならない範囲だと考えられます。
気をつけたいのは、買ってすぐに手放す場合や、複数台をまとめて買って売る場合です。頼まれて自分の資格で買う、いわゆる名義貸しのような形は、本人にその気がなくても第三者の転売に加担することになりかねません。手放すこと自体が目的なら、Apple Trade Inの下取りという選択肢もあり、査定額と手続きの流れは別記事で解説しています。フリマアプリより金額は控えめでも、条件を気にせず処分できる安心感があります。
まとめ|条件を1回読んでおけば、迷わなくて済む
学割は、学生や教職員の負担を減らすために用意された仕組みです。だからこそ、割引で買ったものを利ざや目的で売る行為には制限がかけられています。購入から1年間の転売禁止、1年ごとの購入数量の上限、発送後にも行われる資格確認、そして大量購入時の返品手数料。この4点を押さえておけば、うっかり条件から外れてしまうことはほぼないはずです。
Appleの販売条件は、学生・教職員向けストアのページから誰でも読めます。購入前に一度目を通しておくと、あとで迷わずに済みます。中古で手放す・買う場面では、アクティベーションロックのように事前に知っておきたい落とし穴もあるので、あわせて確認しておくと安心です。
Source: 返品・送料を含む販売条件 – 教育 – Apple(日本)/読売新聞オンライン(2025年1月8日)/画像はイメージです(出所:Unsplash)
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