スマートウォッチの紹介記事を見ると、高級なモデルには「AMOLEDディスプレイ」というディスプレイが搭載されていることが多いです。
たとえば写真の左側のXiaomiのスマートウォッチ「Redmi Watch 3」にはAMOLEDディスプレイが採用されています。
ちなみに右側の「Redmi Watch 3 Active」に採用されているのはLCD(液晶)ディスプレイです。
こうした解説を読むと「AMOLEDディスプレイって何だ?」「そもそもAMOLEDって何て読むんだ?」と疑問に思っている人も多いでしょう。
本記事ではその解説を行います。
AMOLEDの読み方は「アモレッド」
まず「AMOLED」は日本語では一般に「アモレッド」と読まれることが多いです。
ちなみに何の頭文字かというと、「Active Matrics Organic Light-Emitting Diode」です。
一体何だかよく分かりませんが、後半の「OLED」は有機ELを指す「Organic Light-Emitting Diode」と同じ。
つまりAMOLEDとは有機ELの一種で、「アクティブマトリクス式有機EL」のことです(で、それが何かは以下で解説します)。
AMOLEDとOLED(有機EL)は何が違う?
AMOLEDディスプレイを採用したXiaomiのスマートウォッチ「Redmi Watch 3」
では「アクティブマトリクス式有機EL」と普通の有機ELは何が違うのでしょうか。
「アクティブマトリクス式有機EL」では、一つ一つの画素ごとに「アクティブ素子」というものが配置され、画素の点灯・消灯や輝度の調節などを行なわれています。
画素ひとつひとつについてオン/オフや輝度調整が可能になるため、一般の有機ELと比較して、画像の精細さや鮮やかさ、反応速度が上とされています。
そもそも有機ELは何なのか? 一般の液晶ディスプレイとの違いは?
廉価版の「Redmi Watch 3 Active」はAMOLEDではなく液晶ディスプレイ(LCD)を採用
では有機ELとは何なのでしょうか?
有機ELの特徴は、バックライトが必要ない自発光型であること。
そのため一般の液晶パネルと比べると軽くて薄く、省電力になります。
また視野角が広く応答性に優れ、高いピーク輝度と黒の沈み込みによる高いコントラストが特徴です。
一方で「LCD(Liquid Crystal Display)」と呼ばれる一般の液晶ディスプレイは自ら発光しません。
そのため光を発するバックライトを用意する必要があり、有機ELのディスプレイより大型になってしまいます。
また見る角度によっては、意図せず光が遮られてしまうことがあり、この点で有機ELディスプレイと比較して「視野角が狭い」と言われるわけです。
ちなみに電卓などでは、今でも有機ELでない一般的な液晶ディスプレイが採用される事が多いです。
AMOLEDは高性能モデルで使われている!
AMOLEDディスプレイは、特に高級スマートフォンやスマートウォッチで広く採用されています。以下は、AMOLEDディスプレイが搭載されている代表的な製品です。
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Apple Watch: 高精度なディスプレイと美しい色彩を提供するため、Apple WatchにAMOLEDディスプレイが採用されています。これにより、非常に鮮やかで高コントラストの表示が可能となり、特に健康データの視認性が向上します。
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Samsung Galaxyシリーズ: Samsungは、AMOLEDディスプレイの大手提供者であり、Galaxy SシリーズやGalaxy NoteシリーズにAMOLEDを搭載しています。さらに、Galaxy WatchなどのスマートウォッチにもAMOLEDが使用されており、ユーザーに優れた視覚体験を提供しています。
- Samsung Galaxy Watch 5: SamsungのGalaxy Watchは、AMOLEDディスプレイを搭載し、鮮やかな色合いと高い解像度を提供します。これにより、通知やヘルスケアデータの確認が非常に快適に行えます。
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Google Pixel Watch: GoogleのPixel WatchもAMOLEDディスプレイを採用しており、Androidスマートウォッチ市場での競争力を高めています。
このように、AMOLEDは特にハイエンド製品で採用されており、ユーザーに高品質なディスプレイ体験を提供しています。
AMOLEDディスプレイのメリットとデメリットまとめ
こうやって聞くと、性能はAMOLED>OLED(有機EL)>液晶(LCD)という印象を持ちますが、AMOLEDにも弱点はあります。
以下にメリットとデメリットをまとめます。
利点
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高いコントラスト比: AMOLEDディスプレイは、自発光型のディスプレイであり、各ピクセルが独立して光を発するため、黒が完全に黒く表示されます。液晶ディスプレイ(LCD)では、バックライトが常に点灯しているため、真の黒を表示することはできません。この特性により、AMOLEDディスプレイは非常に高いコントラスト比を実現し、色が鮮明で深みのある表示が可能です。
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省電力: 黒い画面はピクセルが消灯するため、バッテリーの消費を抑えることができます。例えば、スマートフォンやスマートウォッチで「ダークモード」を使用することで、画面が暗くなり、消費電力を削減することが可能です。
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薄型デザイン: AMOLEDディスプレイは非常に薄いため、デバイスを薄型に設計することができます。また、柔軟性を持たせることもでき、カーブディスプレイや折りたたみ式ディスプレイなど、革新的なデザインが可能となります。
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優れた色再現性: AMOLEDは、鮮やかで明るい色を再現できるため、視覚的な印象が非常に美しいです。色彩が豊かで、特に色合いの異なるアニメーションやグラフィック表示でそのメリットが顕著に現れます。
- 価格が高価:AMOLEDは高品質なディスプレイのため、搭載した製品は価格がそのぶん高くなります。
欠点
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焼き付き: AMOLEDディスプレイの欠点の一つは「焼き付き」です。長時間同じ画像を表示していると、その部分が焼き付いて残ることがあります。特に、ステータスバーや固定的なUI要素が長期間表示されることで発生しやすくなります。最近では、焼き付き防止技術も進化していますが、完全に防ぐことは難しいです。
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寿命の短さ: OLED技術の中でも、青色の発光素子が比較的早く劣化するため、AMOLEDディスプレイの寿命は液晶ディスプレイに比べて短くなる可能性があります。特に、長時間使用する場合には注意が必要です。
AMOLEDディスプレイの将来性
AMOLEDディスプレイは今後さらに進化していくと予測されます。例えば、次世代のQD-OLED技術(量子ドットOLED)や、より高精度な色再現を実現する技術が登場する可能性があります。また、柔軟性や透明性を持つAMOLEDディスプレイも開発されており、これによりさらに革新的なデバイスデザインが可能になります。
将来的には、より薄型で耐久性の高いAMOLEDディスプレイが登場し、さらに多くの製品に搭載されることが期待されています。
使用シーンや予算によって、どのディスプレイが良いかは変わってくるので、今回の記事を参考に、ご自身の使用目的に合ったものを選びましょう!
●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」や雑誌『anan』(マガジンハウス)にも出演。You Tube「スマートウォッチライフ」(チャンネル登録者7000人程度)でも各種レビューを行っています!
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