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Googleの新しいウェアラブルデバイス「Fitbit Air(フィットビット エア)」が登場しました。新しい機種が出ると気になるのが、「これまで使っていたモデルと同じようにデータが測れるのか?」という点です。とくに、健康データを研究に使う現場では、機種が変わっただけで数値の傾向が変わってしまうと、これまで積み上げてきたデータとの比較が難しくなってしまいます。
そんな課題に向き合ったのが、デジタルバイオマーカーの開発を手がける株式会社テックドクターです。同社は2026年7月1日、Fitbit Airと既存のFitbitデバイス(Charge6・Inspire3・Charge5)を同時に装着して比較し、さらに「Google Health」アプリへの移行によるデータの違いも評価した検証結果を公表しました。この記事では、その内容をわかりやすく整理してお伝えします。

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テックドクターが「Fitbit Air」のデータ品質を検証
今回テックドクターが実施したのは、新しく発売されたFitbit Airと、すでに広く使われている既存Fitbit(Charge6・Inspire3・Charge5)を比べる検証です。心拍数・安静時心拍数・歩数・消費カロリー・睡眠指標といった主要な数値について、機種をまたいでどれくらい一致するのかを確かめました。
結論から言うと、心拍数・歩数・睡眠などの主要指標は既存Fitbitと高い整合性を示した一方、SpO2(血中酸素飽和度)や一部の生体指標では系統的な差(乖離)も確認されました。つまり「置き換えても大きく問題ない指標」と「機種変更時に注意が必要な指標」がはっきり分かれた、という内容です。
なぜウェアラブルの「機種変更」でデータの検証が必要なのか
スマートウォッチやスマートバンドを使った臨床研究では、デバイスの機種変更や、センサー・アルゴリズム・アプリの仕様変更によって、取得できるデータの特性が変わってしまう可能性があります。ふだん健康管理に使っている分にはあまり意識しませんが、長期間の研究や過去データとの比較では、この「連続性」が結果の信頼性を大きく左右します。
近年は製薬企業やアカデミアを中心に、ウェアラブルを活用した臨床研究が広がっています。一方で市販デバイスは、新機種の投入やセンサーの改良、アプリの仕様変更が続いていきます。ユーザーにとっては使い勝手の向上につながりますが、研究データの継続性という観点では、変化の影響を事前に評価しておくことが欠かせません。テックドクターはこうした背景から、主要デバイスの継続的な品質評価(バリデーション)を行っており、今回は発売されたばかりのFitbit Airについても迅速に検証を実施しました。
検証の概要:同じ腕に2台を同時装着
今回の検証では、利き手や腕の動きによる歩数・加速度系データへの影響を取り除くため、同一の腕に2つのデバイスを同時に装着するという条件で比較を行っています。対象となったデバイスは次のとおりです。

デバイス比較の主な評価指標には、Bland-Altman法にもとづく次の2つの統計量が使われています。
・Bias(系統誤差):Fitbit Airと既存デバイスの平均差。データ全体の偏りを表します。
・MAE(平均絶対誤差):各測定値の誤差の絶対値を平均したもの。個々のデータのばらつきを表します。
読み解き方はシンプルで、Biasがゼロに近く、MAEが小さいほど、2つのデバイスのデータの整合性・連続性が高い=デバイスを置き換えても研究データに影響が出にくい、と評価します。
主要指標は既存Fitbitと高い整合性を確認
まず心拍数です。分単位の心拍数は既存機種と比べて平均で約1bpm以内の差にとどまりました。ただし、すべての比較対象デバイスにおいてFitbit Airのほうがわずかに高めに出る傾向が確認されています。日次の安静時心拍数についても、全デバイスで差が±1bpm以内と、ほぼ同等の結果でした。

歩数と消費カロリーについても、Charge6・Inspire3との比較では大きな差は認められず、主要な活動量指標で高い連続性が確認されました。

睡眠指標も、総睡眠時間・REM睡眠時間・深睡眠時間などの主要な数値は概ね一致しており、睡眠ステージの推移の傾向も既存機種と同様でした。なお、同じ腕に2台を装着したことによるセンサー同士の干渉は見られず、検証に影響する問題はなかったとしています。

なお睡眠の表では、「Air 平均」「Cmp(比較対象)平均」の単位は、就寝・起床時刻のみ「時刻(時:分)」で、それ以外の指標はすべて「分」です。「Bias」「MAE」の単位も、就寝・起床時刻のみ「分(時間幅)」、それ以外は「分」となっています。
一部の指標では差異も:SpO2・HRV・呼吸数
一方で、いくつかの指標では、機種変更やアルゴリズム変更の影響とみられる特性の差やばらつきも確認されました。
SpO2(血中酸素飽和度)については、平均値レベルでの大きな偏りは見られなかったものの、個別データでは比較的大きなばらつきが確認されています。また、HRV(心拍変動)や呼吸数、一部の睡眠指標でも機種間で差が見られました。

こうした結果は、主要指標の連続性が保たれている場合でも、一部の指標については機種変更やアルゴリズム変更の影響を受ける可能性があることを示しています。臨床研究やデジタルバイオマーカーの開発では、こうした差をあらかじめ把握し、研究設計や解析の段階で適切に考慮することが重要になります。
Google Healthアプリへの移行による大きな影響は確認されず
あわせて、従来のFitbitアプリから「Google Health」アプリへの移行にともなうデータ比較も行われました。その結果、主要指標では研究利用上問題となるような大きな差は認められず、アプリ変更による影響は限定的だったとしています。
市販ウェアラブルを取り巻く環境は、デバイス本体だけでなく、クラウド基盤やアプリも含めて絶えず変化しています。テックドクターは、こうした変化が研究データに与える影響を継続的に評価していく方針です。
テックドクターの狙いと今後
今回の検証は、特定のデバイスの性能に優劣をつけるものではなく、市販デバイスの変化を迅速に評価し、研究利用に必要なデータ品質を継続的に担保する取り組みの一環だと位置づけられています。
テックドクターは、市販ウェアラブルを活用した100件以上の研究支援の実績を通じて、デバイスやプラットフォームの変化が研究データに与える影響を評価し続けてきました。今後も、デジタルバイオマーカーの開発や臨床研究において信頼性の高いデータ活用を支えるため、品質検証・解析の基盤づくりを進めるとしています。
テックドクターについて
株式会社テックドクターは「データで調子をよくする時代へ」をビジョンに掲げ、ウェアラブルデバイスをはじめとした日常のセンシングデータから健康インサイトを導く「デジタルバイオマーカー」の開発と社会実装を進める企業です。医療・製薬・食品関連の企業や研究機関と連携し、データにもとづくAI医療の実現を目指しています。デジタルバイオマーカー開発プラットフォーム「SelfBase」の開発・運用や、デジタル医療ソリューションの提供を主な事業としています。公式サイトはこちらから確認できます。
まとめ
新しいFitbit Airは、心拍数・歩数・睡眠といった主要指標では既存Fitbitと高い整合性を示し、多くの用途で安心して置き換えられる結果となりました。一方で、SpO2やHRV・呼吸数などの一部指標では機種間の差が確認され、研究などデータの厳密さが求められる場面では、指標ごとの慎重な評価が必要だとわかりました。
「新機種が出たら、まず何が変わったのかをきちんと確かめる」——今回の検証は、ウェアラブルの健康データを賢く使ううえで大切な視点を教えてくれます。自分の使い方に合わせて、どの数値をどこまで信頼するかを考えるヒントにしてみてください。
Source: 株式会社テックドクター プレスリリース
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