検索
  1. スマートウォッチライフTOP
  2. スマートウォッチの使い方、基礎知識
  3. スマートウォッチは“風邪をひく前”に気づける? 症状の前に感染を検知する研究【研究レポート】

スマートウォッチは“風邪をひく前”に気づける? 症状の前に感染を検知する研究【研究レポート】

Apple Watchに関するイメージ画像

「なんだか体がだるい」と感じる前に、スマートウォッチが体の異変を教えてくれる——そんな未来が研究で現実味を帯びています。スタンフォード大学の研究チームは、スマートウォッチのデータから、本人が症状を自覚する前に感染の兆候を捉えられる可能性を示しました。新型コロナウイルスの流行期に大きな注目を集めた研究です。この記事では、その内容と仕組み、そして「できること・できないこと」を、誇張せずに紹介します。

普段のデータからの“ズレ”で異変を捉える

この研究は、スタンフォード大学のMichael Snyder教授らのチームが行い、2020年に医学誌「Nature Biomedical Engineering」に発表されました。スマートウォッチは心拍数や歩数、睡眠などを24時間休みなく記録しています。チームが着目したのは、こうした普段のデータからの“ズレ”です。人は感染すると、本人が気づくよりも早く、体の中で生理的な変化が始まります。免疫システムが反応し、体温や心拍に微妙な変化が表れるのです。その小さな変化を、いつものデータと比べることで捉えられるのではないか——というのが研究の出発点でした。

従来、体調の異変は「熱を測る」「だるさを感じる」といった形で、ある程度症状が出てから気づくのが普通でした。しかしウェアラブルは、寝ている間も含めて連続的にデータを取り続けます。だからこそ、本人がまだ何も感じていない段階の“予兆”を捉えられる可能性があるわけです。これは、ときどき測る体温計にはできない、常時計測ならではの強みです。

カギは「安静時心拍数」の上昇

最も有力な手がかりとされたのが、安静時心拍数(じっとしているときの心拍数)の上昇です。感染が始まると体が戦うモードに入り、安静にしていても心拍がいつもより高くなる傾向があります。チームはこの変化を監視し、度合いに応じて「黄色」「赤色」の段階的なアラートをリアルタイムに知らせる仕組みも試しました。

手がかりは心拍だけではありません。感染者は1日の歩数が平均で約1,440歩少なくなり、睡眠時間が平均で約30分長くなるといった変化も見られました。体が「活動を控えて休もう」とするサインが、データにそのまま表れていたわけです。複数の指標を組み合わせることで、より確からしく「いつもと違う」を捉えられるようになります。

感染者の約8割を検知、最大10日前のケースも

研究では、新型コロナウイルス(COVID-19)に感染した32人のうち26人(約81%)で、スマートウォッチのデータに異変が検出されました。検出のタイミングはさまざまですが、中には症状が出る最大10日前に兆候が現れたケースもあったといいます。チーム全体としては、症状の前後を含めて約63%のケースで感染の兆候を捉えられたと報告しています。

症状が出る前、あるいは無症状の段階でこうした変化を捉えられれば、意味は大きくなります。早めに検査を受けたり、念のため人との接触を控えたりする判断につながり、結果として感染症の拡大を抑える助けにもなり得ます。一人ひとりの「いつもと違う」への気づきが、社会全体の備えにつながる——そんな可能性を示した研究でもあります。

限界を正しく知る——風邪との区別はできない

便利に見える一方で、限界もはっきりしています。最も重要なのは、この方法は「何かの異変」は捉えられても、それがCOVID-19なのか、ほかの感染症なのか、別の要因なのかを区別することはできないという点です。安静時心拍数は、高地への滞在や月経周期、特定の薬、激しい運動の翌日、飲酒、強いストレスなどでも変動します。そのため誤検知(実際には感染していないのにアラートが出る)も起こり得ます。アラートが出るたびに不安になりすぎるのも考えものです。あくまで「いつもと違うかも」という気づきを与えるものであり、検査や診断の代わりにはなりません。

それでも、症状が出る前や軽いうちに「体が休息を求めている」と気づければ、早めに休んだり受診を検討したりする材料になります。活用のコツは、日頃から自分の安静時心拍数の“平常値”を把握しておくこと。普段が何拍くらいなのかを知っていれば、「今日はやけに高いな」という変化に気づきやすくなります。スマートウォッチを「体調の変化に気づくきっかけ」として活用するのが、現実的で賢い使い方と言えるでしょう。

まとめ

スタンフォード大学の研究は、スマートウォッチが症状の出る前に感染の兆候を捉えられる可能性を示しました。感染者の約8割で異変を検出し、最大10日前のケースもあった一方、病気の種類までは区別できないという限界もあります。診断の道具ではなく「いつもと違う」に気づくためのツールとして、自分の平常値を知りながら上手に付き合っていきましょう。

Source: Mishra et al., Nature Biomedical Engineering (2020)

あわせて読みたい関連記事

心拍数の見方・使い方を基礎から知りたい方はこちら。
Apple Watch 心拍数完全ガイド|通知・計測・健康管理の使い方まとめ

身近なリスクの研究もどうぞ。
スマートウォッチのバンドは細菌だらけ? 95%が汚染という研究結果と、正しい消毒法

測定精度の研究はこちら。
スマートウォッチの血中酸素・心拍はどこまで正確? 肌の色・装着位置で変わる精度

研究・調査をもとにした記事をまとめて読みたい方はこちら。
研究レポートシリーズの記事一覧

スマートウォッチ全般の情報はトップページからどうぞ。
Smart Watch Life トップページ

 はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、 記事の探し方ガイド から目的別に読めます。

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事


   

RANKING

  1. Google Fitbit Airの使い方完全ガイド|設定・装着・アラームから不整脈通知・血中酸素・ヘルスコーチまで

  2. 【セール速報】Amazonで20%以上オフのスマートウォッチ4モデルまとめ|Galaxy Watch・Garmin・Polarが最大36%OFF【2026年6月5日時点】

  3. スマートウォッチのバンドは細菌だらけ? 95%が汚染という研究結果と、正しい消毒法【素材別ガイド】

  4. Fitbit Airの“裏ワザ”が話題|バンドを腕時計のNATOストラップにして時計とトラッカーを同時装着

  5. 【在庫復活】M4 Mac mini 16GB/1TB(154,799円)がヤマダウェブコムで再入荷|最短6月9日お届け

  6. 【海外リーク】Galaxy Watch 9/Watch Ultra 2が3C認証に登場|充電速度は前モデルと同じ10Wか

  7. Garmin、横浜みなとみらいに直営店「ガーミンストア横浜みなとみらい」を2026年6月25日オープン|fēnix・Forerunner・Venuなど主要シリーズが揃う

  8. スマートウォッチの血中酸素・心拍はどこまで正確? 肌の色・装着位置で変わる精度【研究レポート】

  9. Verizonが“うっかり”掲載か|Wear OS 7対応のPixel Watchが判明、Pixel Watch 2・3・4が対象に

  10. Amazfit、「楽天スーパーSale 2026年6月」に参加。Active 3 Premium・Active Maxなど全7機種が最大43%OFF

   

NEW CONTENTS

  1. スマートウォッチは“風邪をひく前”に気づける? 症状の前に感染を検知する研究【研究レポート】

  2. 最新AI搭載のSamsung Galaxy 製品がおトクに購入できる「Samsung AI Week」開催

  3. ロジクール初の折りたたみ可能なワイヤレスマウス「Mobi Fold」を7月2日発売|折りたたみ時厚さ約21mm・最長30日駆動

  4. 運動科学者が指摘するスマートウォッチの健康データの限界。主に6つの嘘をついている?【海外研究紹介】

  5. 【海外リーク】Galaxy Watch Ultra 2のバッテリーが35%増の784mAhに大型化|Snapdragon Wear Eliteで3日超の駆動も視野

  6. Verizonが“うっかり”掲載か|Wear OS 7対応のPixel Watchが判明、Pixel Watch 2・3・4が対象に

  7. AULUMUの新しいスマホリング「G09」発売|3軸360°回転+両面MagSafeで使い方が一気に広がる

  8. 自分の心拍データで“ストレスを与える同僚ランキング”を自作。海外Xのネタ投稿が話題【ウェアラブルデバイス仕様】

  9. 8BitDoから充電ドック付きのレトロなワイヤレスマウス「Retro R8 Mouse」|PAW 3395センサー・26,000DPI・4Kポーリングで6,980円

  10. 8BitDoから18キーのレトロなメカニカルテンパッドが登場|電卓モード単独動作・Bluetooth/2.4G/有線対応の「Retro 18 Mechanical Numpad」