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米テック大手メディアTechRadarが、Apple Watch・watchOS担当のDavid Clark氏(watchOSソフトウェアエンジニアリング担当 シニアディレクター)とCait Dooley氏(Apple Watch・ヘルスプロダクトマーケティングマネージャー)に独占インタビューを行いました。記事の核心は、Apple Watch Series 6・7・8、SE 2、そして初代Apple Watch Ultraが、なぜwatchOS 27の新Siri AIを使えないのかという点。これら5モデルのユーザーには直撃の話題であり、TechRadarは直球でその理由をApple側にぶつけています。
本記事は米国・英国メディアによる海外インタビュー記事の要約・整理で、Apple公式の追加発表ではありません。日本での詳細スケジュールやUI仕様は2026年6月20日時点では未公開です。
結論:watchOS 27 Siri AI非対応となるApple Watch 5モデル
今回のWWDC 2026の発表で、watchOS 27の対象から外されたのは以下の5モデルです。これらは今後セキュリティアップデートのみとなり、新しいSiri AI機能・新しいタップジェスチャー(手首ジェスチャー)は使えません。
・Apple Watch Series 6(2020年・S6 SiP)
・Apple Watch Series 7(2021年・S7 SiP)
・Apple Watch Series 8(2022年・S8 SiP)
・Apple Watch SE(第2世代)(2022年・S8 SiP)
・初代Apple Watch Ultra(2022年・S8 SiP)
Apple Watch Series 6は2020年発売モデルなので「そろそろ世代交代の年」というのは想定範囲ですが、2022年発売の初代Ultra・SE 2・Series 8が一気に切られたのはユーザーに大きな衝撃を与えました。詳細な対応機種一覧と切り捨てインパクトはApple WatchのSeries 6〜8・初代Ultraが最新OS非対応の衝撃! watchOS 27の対応機種まとめで先行整理しています。
Apple Dooley氏が明言した「電力と性能の壁」

TechRadarのMatt Evans記者はCait Dooley氏に「なぜこれほど多くのユーザーが切り捨てられたのか」を直球で質問。回答は以下の通りです(編集・要約)。
「すべてのプラットフォームでソフトウェアリリースを行う度に、最高の体験を提供したいと考えており、そのため電力性能と処理性能を最優先にしています。Siri AIや新しいタップジェスチャーを含むwatchOSの素晴らしい新機能は、Apple Watch Series 9以降、Ultra 2以降、SE 3に搭載されている処理能力で最も機能します。古いデバイスでも最新ソフトウェアが動くiPhoneとペアリングでき、セキュリティアップデートも受け取り続けられるので、引き続き素晴らしいApple Watch体験を継続できます」
Apple側が明確に語ったキーワードは「電力性能(power)」と「処理性能(performance)」の2軸。Siri AIをApple Watch本体でローカル処理するためのSoC側の処理能力と、それを連続稼働させるための消費電力マネジメントの両方が必要だと示唆されています。
境界線はS9チップ:S8とS9の間に何があったのか
Dooley氏とClark氏は明言を避けましたが、TechRadarのEvans記者は「Siri AIの技術的要件を満たすのは、Appleの強力なS9・S10チップを搭載したApple Watchのみだろう」と分析しています。
実際、watchOS 27対応/非対応の境界線を整理すると、以下のようにS8 SiPとS9 SiPの間に明確な分断があります。
非対応(S6〜S8世代):
・Series 6(S6 SiP)
・Series 7(S7 SiP)
・Series 8(S8 SiP)
・SE 2(S8 SiP)
・初代Ultra(S8 SiP)
対応(S9以降):
・Series 9(S9 SiP・Neural Engine 4コア)
・Series 10(S10 SiP)
・Series 11(S11 SiP)
・Ultra 2(S9 SiP)
・Ultra 3(S10 SiP)
・SE 3(S10 SiP)
S9 SiPは、Apple Watch史上初めて「4コアNeural Engine」を搭載し、機械学習タスクを高速化したチップです。Apple Watch本体でSiri AIのオンデバイス処理を行うにはこのNeural Engineの処理能力が下限ラインになっており、これがS8とS9の間に境界線が引かれた最大の理由と考えられます。
なぜApple Watch本体でSiri AIを動かす必要があるのか
今回のインタビューで、David Clark氏はwatchOS 27の目標の1つを「Apple Watchのインテリジェンスストーリーを拡張し、Apple Intelligenceの真のパートナーにすること」と説明しています。
Clark氏のもう1つの重要なコメントが以下です。
「Apple Watchは1日中手首にあるという事実が、ピクチャーに加える価値です。多くの場面で、Siriに話しかける一番便利な方法こそApple Watchなんです」
つまりAppleは、Apple Watchを「Siri AIの第一接点」として位置づけており、外出中・両手がふさがった場面で手首から音声でSiriを呼び出す体験こそが「Apple WatchがApple Intelligenceの中心になる」設計思想の核です。Siri AI全体の設計思想はWWDC 2026で発表された次世代Apple Intelligenceの全体像を併読すると、Apple Watchがその中でどう位置づけられるかが見えてきます。iPhoneを取り出さずに済むこの「手首ファースト」設計を実現するには、Apple Watch本体で低レイテンシー・低消費電力にSiri AIを動かす必要があり、そのためのチップ世代の壁がS9だった、と読み解けます。
非対応モデルのユーザーはどうなるのか:iPhone側Siri AIとのギャップ

今回の決定で生じる現実的な問題が、「iPhone本体ではSiri AIが動くのに、ペアリングしているApple Watch側では古いSiriのまま」という体験ギャップです。
watchOS 27対象外のApple Watch(Series 6・7・8・SE 2・初代Ultra)でも、iPhone 15 Pro以降などSiri AI対応のiPhoneとペアリングすれば、iPhone側ではSiri AIが利用できます。ただし、Apple Watchの「手首から音声で呼び出すSiri」は従来のSiriのまま据え置かれ、Apple側が今回強調した「One Siri(手首でもiPhoneでも同じSiri体験)」の恩恵は受けられません。
Dooley氏は「セキュリティアップデートは継続される」「最新iPhoneとのペアリングは引き続き可能」と強調しましたが、Siri AIフル体験は新しいApple Watchへの買い替えが前提という構図になります。
watchOS 27 Siri AIを使うための買い替え候補
TechRadarのMatt Evans記者は記事の最後で、現在Apple自身がおすすめとして並べる3モデルを推奨ラインアップとして掲載しています。
・ベスト総合:Apple Watch Ultra 3(S10 SiP)
・ベスト・コスパ:Apple Watch SE 3(S10 SiP)
・多くの人向け:Apple Watch Series 11(S11 SiP)
非対応モデルからの移行で「Siri AIをきっかけに買い替えたい」場合、最も買いやすいのがSE 3です。S10 SiPを搭載し、常時表示・高速充電にも対応した「新Siri AI対応の最廉価モデル」として2025年に登場済みで、watchOS 27のSiri AIをフル活用できます。
なお、2026年秋にはApple Watch Series 12・Apple Watch Ultra 4の登場が海外で噂されており、Series 11またはUltra 3を今買うか、秋まで待つかの判断は使い方次第です。Ultra 4の最新リーク情報はApple Watch Ultra 4はどう変わる?海外Stuff.tvが噂を総まとめ|大型リデザイン・血圧アラート・新世代センサーまでにまとまっています。
過去のwatchOS切り捨て史と比べてどうか
Apple WatchのwatchOS世代交代では、過去にも以下のように複数モデルが一気に切られる節目がありました。
・watchOS 8(2021年):Series 3以前を切り捨て
・watchOS 9(2022年):Series 3を切り捨て(旧モデル整理が一段落)
・watchOS 10(2023年):Series 4を切り捨て
・watchOS 11(2024年):Series 5・初代SEを切り捨て
・watchOS 26(2025年):Series 6を切り捨て予定
・watchOS 27(2026年):Series 7・8、SE 2、初代Ultraを一気に切り捨て
今回の「初代Ultra(2022年9月発売)が4年で対象外」は、Ultraシリーズ初の世代交代として特に注目されたポイントです。Ultraは元々「長く使えるフラグシップ」というメッセージで売り出されただけに、4年で次世代OSが入らなくなる結果は、フラグシップ路線の方針転換を感じさせる事象でもあります。
まとめ:S9を境にApple Watchは「Siri AI時代」に再編される
今回のTechRadarインタビューで明らかになったのは、watchOS 27の対応/非対応の分断ライン=S9 SiP(4コアNeural Engine)という事実上のハードウェア基準です。Apple Watchは「Siri AI時代」に入るタイミングで、S6〜S8世代の5モデルを切り離し、S9以降に統一されたApple Intelligence対応プラットフォームへと再編されました。
長く使っているSeries 6・7・8、SE 2、初代Ultraのユーザーにとって、今回の決定は「セキュリティアップデートはあるが、watchOSの世代交代は卒業」というメッセージです。秋に予想されるSeries 12・Ultra 4を待つか、いまSE 3・Series 11・Ultra 3に乗り換えるかの判断は、Siri AIを「手首ファースト」で使いたいかどうかが最大の判断軸になります。
Source: TechRadar「’It’s the most convenient way to interact with Siri’: I asked Apple’s senior watchOS team how to use the new Siri AI assistant on an Apple Watch」(Matt Evans 著)
画像: SWL自前撮影/Unsplash(フリー素材)
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