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Apple Watchやスマートウォッチで体温測定ができない理由は? 計測可能な体表温度と深部体温の違いも解説!

Apple Watchや人気スマートウォッチに体温測定機能がない理由は?

新型コロナウィルス感染拡大に伴い、手洗いの徹底とともに日常的に行う人が増えたのが体温測定。

スマートウォッチの愛用者や、スマートウォッチに興味がある人の中には、「体温が測れるスマートウォッチはないかな?」と探している人も多いはずです。

しかし現状のスマートウォッチでは、Apple Watchをはじめとして「体表温度」を測定する機能があるモデルは増えているものの、体温を計測するモデルはほぼありません。

あるとしても、何だか怪しい格安製品ばかりで、Apple Watchをはじめとした大手メーカーのスマートウォッチには、搭載しているモデルが見当たりません。

本稿では「スマートウォッチではなぜ体温が測れないのか」「スマートウォッチで測れる体表温度と体温(深部体温)の違いは何か?」などについて解説します。

著名アナリストの分析


著名アナリストのミンチー・クオ氏の分析によると、Apple Watch(Series 7時点)に体温測定機能が搭載されなかったのは「ソフトウェアの問題」とのこと。

そして手首の皮膚から体温を測ることの難しさも続いたツイートのなかで言及しています。

その背景も当サイトで以下に考察していきます。

そもそも手首は体温を測るのに適していない

なぜ体温が測れるスマートウォッチが少ないかというと、それはスマートウォッチを着用する「手首」という部位が、体温の測定に適していないから。

人間の体は部位によって温度が違いますが、手足などの体の末梢の表面部分は、季節や環境の影響を受けやすく温度が安定しません。

外的要因(手首の周囲の温度、汗の影響など)で測定値が大きく変動するため、精度を保つことが難しいわけです。

そのため、体温測定機能を謳っているスマートウォッチも、その機能については「測定値は健康管理の参考であり、医療向けの使用はできません」などの但し書きが付いています。

なお薬局等で販売される電子体温計は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」で「管理医療機器」に分類されるもの。輸入や製造には認可も必要になります。

スマートウォッチで計測できるのは体表温度

スマートウォッチで測定されるのは体表温度(皮膚温度)です。これは、実際の体内温度(深部体温)ではなく、皮膚表面の温度を示します。

体表温度: 体表温度は皮膚表面の温度であり、体温の変動を大まかに把握する手段として用いられます。スマートウォッチのセンサーは通常、手首や腕の温度を測定し、その変化を追います。

活用法: 体表温度は体内の異常(例えば発熱や低体温)の兆候を察知する手段として使える場合があります。例えば、運動中に異常な体温上昇を検出したり、風邪やインフルエンザの兆候として体温の変化を捉えたりすることができます。しかし、体内温度(深部体温)と直接的にリンクするものではなく、あくまで参考値として活用されます。

ちなみにApple Watchが体表温度を測定できるようになったのは、Apple Watch Series 8およびApple Watch Ultraから。

iPhoneの「ヘルスケア」アプリで「体の測定値」セクションから「手首の温度」を選択することで、記録されたデータを確認できます 。

なおApple Watchなどの体表温度測定機能は、特に生理周期の予測や追跡に役立つとされています。

女性の方はご存知かと思いますが、女性の体温は生理周期に合わせて変動をするため、手首の温度を継続的に記録することで、その人の生理周期に関連した体温の変動パターンを把握することができるわけです。

ある程度の期間の計測を続ければ、スマートウォッチは生理周期のパターンを学習し、次回の生理や排卵日を予測するために過去のデータを上手く活用できるようになります。

これにより、定期的に体表温度を測定することで、より正確な予測ができるようになります。

正確な体温を測りやすいのは耳、口の中、わき

ここまでは体表温度と深部体温の違いを説明してきました。

では、深部体温というのは何なのでしょうか。

深部体温というのは、私達が体温計を挟んで計測する、いわゆる「体温」のこと。

体内での代謝活動や体温調節を反映する重要な指標であり、健康状態のチェックや異常の兆候を察知するために利用されます。

ではなぜ、脇で体温を測るのでしょうか。

まず、中枢(核心)と呼ばれる体の内部は、脳や心臓などの大切な臓器の働きを保つため、温度が安定しています。

そして、体の表面に近い部分で、より体内の温度が反映されやすく、体に負担をかけずに検温ができるのが「鼓膜温(耳)」、「舌下温(口中)」、「腋窩温(わき)」などの部位です。

現状の体温計もこの3つの部位で検温するものがほとんどですよね。

体温計メーカーとしておなじみのオムロンの製品も、測定タイプは「わき測定」「口中測定」「耳測定」の3種類です(上記の動画は耳測定の体温計の使い方を説明したもの)。

こうしたメーカーの製品でも「手首測定」の製品がないことからも、手首に装着するスマートウォッチが体温測定に向いていないことが分かると思います。

以下に体表温度と深部体温の違いをまとめました。

特徴 体表温度 深部体温
測定場所 皮膚表面(手首、額、首など) 体内(直腸、食道、鼓膜、内臓など)
外部環境の影響 大きく影響を受ける(気温、湿度、風など) 外部環境の影響を受けにくい
安定性 変動しやすい 比較的安定している
用途 簡易的な体調チェック、体温の目安 正確な体温管理、病気の兆候監視
測定方法 赤外線体温計、スマートウォッチ、表面温度計 直腸体温計、耳式体温計、内臓センサー

Apple Watchに体温計アプリはあるが、測定は不可能

なおApp Storeで「体温計」と検索すると、「体温計Watch+ for Watch」というアプリがヒットします。「このアプリ、体温を測定できるの?」と思っちゃいますが、できるのは別の体温計で測定した体温データの記録だけ。

つまり手動で体温計の温度を入力するだけ……という、あまり意味のないアプリです(笑)。

アプリの説明にも「当アプリは『他の体温計で測定した数値をApple Watchでヘルスケアデータに登録できるアプリ』です。Apple Watch(2021)自体に体温測定機構は無く、使用用途を間違えてDLしてしまわれないようご注意下さい 新型コロナウイルス(COVID-19)蔓延の一刻も早い収束を切に願っております」との説明があります。

赤外線体温計には医療機器ではないものも多い

またコロナ禍以降は、おでこを近づけたり、手首をかざしたりすると一瞬で体温が表示される赤外線体温計もよく目にします。

しかし赤外線センサーは皮膚表面の温度を測定するものであり、環境の影響(室温、湿度、直射日光など)を受けやすいため、精度が低くなることがあります。

特に、測定する場所(額や手首)やセンサーの使い方が適切でないと、誤差が生じやすくなります。

また格安の製品にはやはり、「※本器は表面温度を測定する製品です。医療用の体温計ではありません」「※本製品は医療用ではありません。測定温度は参考値となります」などの但し書きがあります。

そうした製品の数値は信頼を起きづらいものと考えたほうが良いでしょう。


一方で、タニタやオムロンが発売する非接触体温計には「医療機器認証(承認)番号」がしっかり記載されています。もし非接触式のものを購入する場合は、医療機器認証番号の有無を確認するようにしましょう。

なお上記は、オムロンが法人・個人事業主向けに販売する皮膚赤外線体温計の説明動画。

ホームページ上には「皮膚赤外線体温計は、短時間での検温スクリーニングに適した製品です。測定結果が高い場合は、あらためてわき下で測定するタイプの体温計での検温をお勧めします」との説明もあるので、やはり数値の正確性はわき下には劣るようです。

「検温可能なイヤホン」は主流になる可能性アリ!

ここまで書いてきた内容からも、「正確な体温測定をできるスマートウォッチ」が今のところ実現が難しいことがご理解いただけたと思います。

実際、コロナ禍では「Apple Watchで体温の測定が可能になるか?」という話題をよく聞きましたが、最近はほとんど聞かなくなり、Apple Watchに次に搭載される健康センサーは血圧センサーなどが有力な見込みです。

現状では手足では正確な体温を測れず、正確な体温を知るには耳、口の中、わきで測定する体温計が必要なことを理解しましょう。

一方で、スマートウォッチ以外のウェアラブルデバイスで、検温可能な製品が出てきそうなのがイヤホン。

先に書いたように、「鼓膜温(耳)」は検温に適した場所だからです。

実際のところ、基礎体温を測れるイヤホンはすでに試作品的なものが国内外で登場済み。また、Appleが過去に取得した特許にも、イヤホンに生体データを取得するセンサを組み込む……との記述があり、「新しいAirPodsには心拍や体温を測定できる機能が付くのでは?」との噂がたびたび流れてきました。

新型コロナウィルスが世界で猛威を振るう昨今、検温機能を備えたウェアラブルデバイスは世界中のメーカーが開発を急いでいるはずです。

将来登場しそうな体温測定可能なウェアラブルデバイス

現在、深部体温を測定できるウェアラブルデバイスは非常に限られており、主に医療機関での使用を前提とした機器や、体表温度の測定に限られています。

しかし、将来的には、より精度高く深部体温を測定できるウェアラブルデバイスが登場する可能性が高いです。以下のような技術革新が期待されます。

1. 体内センサーを組み込んだウェアラブルデバイス

現在、ウェアラブルデバイスは主に皮膚表面のデータを収集していますが、将来的には内臓センサーがデバイスに組み込まれ、体内の温度を直接測定できる技術が登場する可能性があります。これにより、より正確な深部体温が得られるようになるでしょう。

・皮膚下センサー:例えば、皮膚下に埋め込まれるマイクロセンサーが体内の温度を直接測定する方式です。これにより、非侵襲的に深部体温を測定できる可能性があります。

・消耗型センサー:使い捨て型のセンサーが登場し、体温やその他の生理的指標を連続的にモニタリングできるようになるかもしれません。

2. より高精度な赤外線センサー

赤外線技術が進化することで、皮膚の下の体温を推測することができる精度の高いウェアラブルデバイスが登場する可能性があります。これにより、深部体温に非常に近い温度が手首や首、耳などの表面で測定できるようになるでしょう。

・多点測定システム:例えば、複数の赤外線センサーが搭載され、体温の測定対象を広範囲にわたってカバーすることで、体内温度により近い測定結果を得られるようになります。

3. AIと機械学習による予測

AI技術を使って、体表温度の変動から深部体温を予測するアルゴリズムが組み込まれる可能性があります。

過去のデータを基に、体温の変動パターンを解析し、実際の深部体温を推測する方法です。この方法では、直接的な深部体温測定が難しくても、非常に高精度な予測が可能になるでしょう。

・スマートフォンとの連携:ウェアラブルデバイスが収集した体表温度のデータをスマートフォンやクラウドと連携させて解析し、深部体温の傾向を予測するアプローチが考えられます。

なお、より高精度な赤外線センサーや、AIと機械学習による予測の技術が発展すれば、スマートウォッチで深部体温の測定が可能になる日も出てくるかもしれません。

大手メーカーからも画期的なアイテムが登場することを期待して待ちましょう!

なお下記の記事では、一時期Twitterに頻繁に表示されていた、怪しい「体温測定スマートウォッチ」の広告を調査しています。本記事と併せてぜひご一読を。

【関連記事】
「体温測定スマートウォッチ」の怪しいTwitter広告を調査してみた!


●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」や雑誌『anan』(マガジンハウス)にも出演。You Tube「スマートウォッチライフ」(チャンネル登録者7000人程度)でも各種レビューを行っています!

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