スマートウォッチはタトゥーしてても使える? |タトゥーの上の心拍数は安静時に誤差22.9% Apple・Garmin・Galaxyの公式説明と対処法

Apple Watch入門

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前腕にタトゥーがある腕にスマートウォッチを着けて操作しているイメージ

2026年10月、PIERROTのキリトさんが、手首のタトゥーでApple Watchが反応しないとXに投稿し、話題になりました。腕や手首にタトゥーがあると、スマートウォッチで心拍数がうまく表示されなかったり、着けているのにロックがかかったりすることがあります。

タトゥーがあるとスマートウォッチの心拍数や血中酸素の測定がどうなるのかを、メーカーの公式サポートの説明と2025年に発表された研究から解説します。取り上げるのはApple、Garmin、Galaxy Watch、Google(Fitbit)の4社で、各社が案内している対処も紹介します。

キリトさんの投稿の流れと、透明のステッカーを貼って試した結果はこちらで紹介しています。

PIERROTのキリトさんの「Apple Watchが手首のタトゥーで反応しない」投稿が話題|丸型15mmの透明ステッカーで「使える」 ただし充電は毎回はがす

心拍センサーは緑色の光で手首の血流を読み取る

手の甲から手首、腕までタトゥーが入った腕にスマートウォッチを着けたイメージ

スマートウォッチの多くは、裏側から肌に光を当て、戻ってくる光の量の変化で心拍数を測っています。この方法は「光電式容積脈波記録法(PPG)」と呼ばれます。

Appleの説明によると、血液は赤い光を反射して緑の光を吸収します。Apple Watchは緑色のLEDと、光を感じ取るセンサー(フォトダイオード)を組み合わせ、LEDを1秒間に数百回点滅させて、心臓が脈打つたびに増える手首の血液の量を読み取ります。測れる心拍数は1分あたり30〜210回です。Garminも、皮膚に緑色の光を当てて血液の量の変化を測る仕組みだと案内しています。

光が肌の中を通って戻ってくることが前提なので、センサーの真下にタトゥーのインクがあると、光が届きにくくなります。裏側の緑の光がいつ、何のために光るのかは、こちらの記事で解説しています。

Apple Watchの緑の光は心拍センサーのLED|日中は5秒ごとに裏側が光って測定 止めるなら「連続測定」をオフ

Apple・Garmin・Galaxy・Googleの4社がタトゥーの影響を案内

タトゥーの影響については、主要なメーカーが公式サポートで触れています。各社の説明の文言をそのまま並べます。

メーカー 対象の機能 公式サポートの記述
Apple 心拍数 「タトゥー(刺青)のインク、図柄、濃さによってはセンサーからの光が遮られ、正確な測定が難しくなることがあります。」
Apple 血中酸素 「タトゥー(刺青)のインク、図柄、濃さによってはセンサーからの光が遮られ、血中酸素ウェルネスアプリが正確に測定を行えないことがあります。」
Apple 手首検出 「タトゥー(刺青)のインクや図柄、濃さによっては、センサーからの光が遮られ、Apple Watchが手首に装着されていることを検出しにくくなる場合があります。」
Garmin 心拍数 「タトゥーのインクは心拍センサーの光を遮ることがあり、心拍データが正しく記録されなかったり、記録されなくなったりする場合があります。」
Samsung(Galaxy Watch) 装着の認識 「タトゥーや傷、あざ、体毛などの影響により、装着していることを正常に認識できない場合があります。」
Google(Fitbit) 血中酸素 「肌にタトゥーが入っている場合、デバイスの赤色光および赤外線センサーの精度に影響を与える可能性があります。」

どの社も「必ず測れなくなる」とは書いておらず、「場合があります」「可能性があります」という言い方です。Appleがインク、図柄、濃さを条件に挙げているとおり、タトゥーがあれば一律に測れなくなるわけではありません。

タトゥーの上の心拍数は安静時に誤差22.9%

タトゥーの上で心拍数を測ると、どれくらいずれるのでしょうか。米ネバダ大学ラスベガス校などの研究チーム(Navalta氏ら)が、2025年11月に学術誌「Sensors」で結果を発表しています。

実験に参加したのは、腕にタトゥーがある成人25人です。基準にしたのは胸に巻く心拍計(Polar H10)です。腕に巻く光学式の心拍計(Polar Verity Sense)をタトゥーの上とタトゥーのない肌の上に1台ずつ着け、座って休む・歩く・走るの3つの場面で5分ずつ、心拍数を1秒ごとに比べました。手首に着けるスマートウォッチではなく、腕に巻くタイプの光学式センサーでの結果です。

場面 タトゥーの上の平均誤差率 タトゥーのない肌の平均誤差率
座って安静 22.9% 5%未満
歩行 7.5% 5%未満
ランニング 5.1% 5%未満

タトゥーのない肌の上では、3つの場面すべてで誤差が5%未満に収まりました。いっぽうタトゥーの上では、じっとしているときほど誤差が大きくなりました。安静時は25人中9人で心拍数が途中で0になる途切れが起き、その影響で安静時の値は基準より平均16.7拍低く出ています。途切れた部分を除くと、タトゥーの上でも研究チームが決めた精度の基準を満たしていました。

タトゥーを入れてからの年数や色の濃さは、誤差と統計的な関係が見られませんでした。安静時と歩行時の誤差に関係していたのは肌の色だけで、研究チームはタトゥーの特徴ごとの影響をさらに調べる必要があるとしています。肌の色と測定の精度の関係を調べた別の研究は、こちらで紹介しています。

スマートウォッチの血中酸素・心拍はどこまで正確? 肌の色・装着位置で変わる精度【研究レポート】

装着を検出できないとロックや心拍の記録停止に

スマートウォッチは、心拍数を測るのと同じ光のセンサーで、手首に着けているかどうかも見分けています。Samsungは、Galaxy Watchがセンサーから照射した光を利用して装着状態などを検出していると説明しています。

Appleは、手首に着けていることがうまく検出されないときに起こりうる問題として、次の5つを挙げています。

・着けているのに予期せずロックがかかり、パスコードの入力を求められる
・通知が表示されない
・運動中にワークアウトアプリが一時停止する
・スタンドのリマインダーが表示されない
・心拍数が自動で記録されない

タトゥーがある人から「着けているのに何度もパスコードを求められる」という声が出るのは、手首から外したと判断されてApple Watchがロックされるためです。

反対の腕やタトゥーのない部分への付け替えを各社が案内

各社の公式サポートが最初に挙げている対処は、タトゥーのない場所に着けることです。

・Apple:着けている手首に傷跡やタトゥーがある場合は、もう一方の手首に装着してみる
・Samsung:タトゥーなどがない腕にGalaxy Watchを装着して、改善するか確かめる
・Garmin:タトゥーのない皮膚の部分にデバイスを装着する

Apple Watchを反対の腕に着け替えたときは、向きの設定も変えます。Apple Watchで設定アプリを開き、「一般」「向き」の順にタップして、「左」か「右」を選びます。

装着のしかたも測定に影響します。Appleは、ゆるすぎず、きつすぎず、背面のセンサーが肌に触れるようにバンドを調整し、手首との間にブレスレットやシャツの袖をはさまないよう案内しています。Googleは血中酸素を安定して測るために、手首の少し肘寄りの位置に、肌に触れるように、きつすぎない程度にぴったり着けるよう案内しています。ほかのメーカーを含めた装着位置の目安は、こちらにまとめています。

スマートウォッチの装着位置は「手首の骨から指1本分上」が正解|Apple・HUAWEI・Xiaomi・SUUNTO 4社公式の見解を専門メディアが整理

手首検出をオフにすると睡眠記録や転倒時の緊急SOSも使えない

Apple Watchに関するイメージ画像

両方の腕にタトゥーがあって着け替えられない場合、Appleは「手首検出」をオフにする方法を案内しています。Apple Watchで設定アプリを開き、「パスコード」をタップして「手首検出」をオフにし、パスコードを入力して「オフにする」をタップします。

オフにすると、着けているのにロックがかかることはなくなります。ただしAppleによると、次の機能が止まったり、動きが変わったりします。

機能 手首検出をオフにしたとき
ロック 自動でロック、ロック解除されなくなる
Apple Pay サイドボタンのダブルクリックで支払うとき、パスコードの入力を求められる
心拍数 記録と通知がオフになる
血中酸素ウェルネス バックグラウンド測定がオフになる
呼吸数 バックグラウンド測定がオフになる
睡眠 睡眠記録が使えなくなる
アクティビティ 一部が測定できなくなる
転倒検出 緊急SOSが自動で開始されなくなる
ノイズ 測定と通知がオフになる
ジェスチャ タップのジェスチャと手首フリックがオフになる

ロックのわずらわしさはなくなる代わりに、心拍数や睡眠の記録、転倒したときの自動の緊急SOSといった、Apple Watchを着ける理由になる機能の多くが止まります。オフにするのは、着け替えや装着の見直しを試したあとが無難です。

運動中の心拍数は胸ベルトの心拍計で補える

ワークアウト中の心拍数を正しく記録したいときは、胸に巻くベルト型の心拍計を組み合わせる方法があります。Appleは、タトゥーなどの理由で安定した測定結果が得られない場合の方法として、外部の心拍計との接続を挙げています。Bluetoothチェストストラップなどの外部心拍数モニターに、Apple Watchをワイヤレスで接続できます。Garminも、心拍データの精度がとくに重要な場合は、Garminの心拍計ストラップを使うよう勧めています。

先ほどの研究でも、基準の心拍計には胸に巻くPolar H10が使われていました。ただし胸ベルトで測れるのはベルトを着けているあいだだけなので、睡眠中や日中の記録は手首のセンサーが頼りです。心拍ベルトのあり・なしで同じコースを走って比べたレビューはこちらです。

【レビュー】Suunto Run 2で実際に走ってみた|ゴーストランナーは信号待ちで追いつかれる、心拍ベルトあり・なしで同じコースを比べた

タトゥーとスマートウォッチの相性はインクの色や図柄、入れている位置で変わり、着ける腕を変えるだけで解決することもあります。購入前に不安があれば、店頭のデモ機をふだん着ける腕に着けて、心拍数が表示されるかを数分見ておくと判断しやすくなります。センサーの仕組みや測定のコツは、次の記事も参考にしてください。

Source: Apple「Apple Watchを使った運動量計測の精度を上げる」、Apple「Apple Watchで心拍数を測定する」、Apple「Apple Watchで血中酸素ウェルネスアプリを使う方法」、Apple「予期せずApple Watchにロックがかかる場合」、Garmin「光学式心拍計の精度を上げるには」、Samsung「(Galaxy Watch シリーズ) 装着していることを認識しない場合どうすればいいですか?」、Google「Fitbit デバイスで血中酸素レベルを記録する」、Navalta JW, et al. The Effect of Tattoos on Heart Rate Validity in the Polar Verity Sense Commercial Wearable Device. Sensors. 2025;25(22):6896、画像:Unsplash(本文 Olena Bohovyk、アイキャッチ Anastasiya Badun)

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