在宅勤務やテレワークが日常化した今、「なんだか体が重い」「夜に眠れない」「集中力が続かない」と感じている人は多いのではないでしょうか。
実はその不調、気のせいではありません。そして、その原因をスマートウォッチが見抜いてくれます。
本記事では、長年スマートウォッチを使い続けている筆者が、自身のアクティビティデータから“テレワークの過酷な現実”をあぶり出した体験を紹介します。医学的な視点も交えながら、スマートウォッチを使った「不調の可視化と対策」について解説します。
※この記事は2000年8月に公開したものをリライトしたものです
テレワークで激減するのは「NEAT」。スマートウォッチが示した衝撃の数値
新型コロナウイルス流行以前から、筆者は自宅で原稿執筆を行う生活をしていました。外出といえば打ち合わせや取材くらい。それでも多少の移動はありましたが、テレワークが本格化してからというもの、移動量は激減。電動自転車のアシストを「最大」にしてコンビニへ行くような生活が続きました。
そんな筆者でも「これはマズい」と感じたのが、2020年春の緊急事態宣言の頃。体が重く、頭がぼんやりする日が増えたのです。原因を探るべく、スマートウォッチで集計した「Appleヘルスケア」のデータを確認してみると……。

歩数の平均が、過去最低の3,320歩に! 2019年の年間平均が約5,800歩だったのに対し、2020年は約4,700歩と1,000歩以上の減少。グラフを見るだけで、テレワークによる活動量低下が一目瞭然です。

歩数だけでなく、アクティブエネルギー(消費カロリー)やランニング・ウォーキング距離、登った階数といった指標もすべて右肩下がり。

結果として、筆者の体重は過去最高の80kgを突破。階段を上るだけで息切れと膝痛……。
ここで重要なのが「NEAT(非運動性熱産生)」という概念です。これは「運動」以外の、通勤や家事、座ったり立ったりする動作で消費されるカロリーのこと。実は1日の消費カロリーの約3割をこのNEATが占めています。
テレワークで「通勤」が消滅したことで、このNEATが極端に減少。「食べている量は変わらないのに太る」という現象は、スマートウォッチのデータ通り、必然の結果だったのです。
「ソーシャル・ジェットラグ」による睡眠の質の低下
運動量の低下も問題ですが、さらに深刻なのが「睡眠の質」の悪化です。筆者が毎晩着用しているスマートウォッチ「Gobe」で睡眠データを確認すると、驚くほど低スコアの日が続いていました。

筆者の典型的な1日は、午前4時過ぎに就寝、朝8時に子どもたちを起こして朝食、10時にようやく二度寝から起きるというリズム。これは完全に「夜型のテレワーカー」の典型です。
このように、平日の睡眠不足を休日の「寝だめ(二度寝)」で解消しようとすると、体内時計が時差ボケのような状態になります。これを「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」と呼び、慢性的な疲労やメンタル不調の大きな原因となります。
スマートウォッチのデータを見ると、睡眠の深い時間帯(ディープスリープ)が著しく短くなっており、体は休息できていない状態でした。
データで気づく「セルフモニタリング」の効果
こうした生活の乱れを「可視化」できたのは、スマートウォッチを日常的に身につけていたからこそ。
心理学には「セルフモニタリング(自己監視)」という効果があります。自分の行動を記録・観察するだけで、自然と行動が良い方向へ変わっていくというものです。数値として自分の状態を突きつけられることで、筆者にもようやく改善意欲が湧いてきました。
筆者は次のような対策を始めました。
・「座りすぎ通知」に従う:長時間の座位は喫煙に匹敵するリスク。「スタンド通知」が来たら必ず立ち上がる。
・1日5,000歩を最低ラインに:家の中でも意識的に歩き、NEATを増やす。
・睡眠リズムの固定:ソーシャル・ジェットラグを防ぐため、起床時間を一定にする。
・睡眠スコアのチェック:毎朝スコアを確認し、前夜の行動(スマホ使用など)を振り返る。
これらを意識して続けるだけでも、徐々に体調が改善。スマートウォッチは、単なる“便利ガジェット”ではなく、健康を取り戻すための最強のパートナーです。
まとめ:体調不良を感じたら、まずはスマートウォッチで「見える化」しよう
テレワークによる運動不足や睡眠の乱れは、自覚しにくいのが怖いところ。だからこそ、スマートウォッチで日々のデータを「見える化」することが第一歩です。
もし最近「疲れが取れない」「眠れない」「集中力が続かない」と感じているなら、まずはスマートウォッチを手に取ってみてください。あなたの体が出しているSOSが、データとして現れているかもしれません。
スマートウォッチで健康を管理し、仕事も人生ももっと快適に。今こそ、“自分の身体データ”に耳を傾けてみましょう。
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