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エヌエスティ・グローバリスト株式会社(NSTG)は2026年6月15日、増加するクマ被害に対応するトータルソリューションの提供を開始したと発表しました。現地に出向く役場職員・点検作業者の安心安全を確保するウェアラブル+通信プラットフォーム「SR-LINK」と、電気柵の電圧を24時間遠隔監視する「SR-IMAGE」を組み合わせ、「まず人を守り、次に電気柵を守る」という2段構えで生活圏のゾーニング(クマと人の生活域の棲み分け)を維持する設計です。
大きなポイントは、データ通信を携帯LTE回線・Wi-Fi・衛星通信+20mW高出力のLoRa無線で相互補完する設計を取った点。携帯圏外の山間部でも作業者と本部の連絡や、電気柵の電圧データを途切れさせない狙いがあります。装着者のバイタル把握・転倒検知に使うウェアラブルデバイスは医療機器ではなく、状態把握を補助するヘルスケア用途と明示されています。
背景:クマ被害が過去最多、政府の対策ロードマップが動く
環境省の速報値によれば、2025年度のクマによる人身被害は全国238人・死亡13人と過去最多。被害は農山村にとどまらず、住宅地や市街地周辺での出没も相次いでおり、「特定地域だけの問題ではなくなっている」とNSTGは状況を整理しています。
政府は2026年3月にクマ被害対策ロードマップを関係閣僚会議で決定し、2030年度までの地域別捕獲目標数の設定や、電気柵などによる生活圏(ゾーニング)防護の強化、捕獲作業に従事する自治体職員を現在の3倍となる2,500人へ増員する目標を掲げました。ただし、増員される職員や作業者が向かう先はクマが実際に出没するリスクエリアであり、現場側の安心安全をいかに担保するかが新たな課題として浮上しています。
「SR-LINK」:現場作業者の安心安全を遠隔で見守る
SR-LINKは、クマ生息域への立ち入り時に発生しがちな「データ通信途絶でクマ遭遇・転倒・緊急通知の手段がない」という現場の課題を解消する仕組みです。具体的には次の機能を提供します。
・GPS位置情報を地図上にリアルタイム表示:作業者がどこにいるかを本部から把握
・SOSアラート:緊急事態を1タッチで管理本部に即時通知
・双方向チャット:現場と本部が常時連絡できる
・ウェアラブルデバイスによるバイタル把握・転倒検知:装着者の状態を遠隔から確認
ウェアラブルデバイスは医療機器ではなく、装着者の状態把握を補助するヘルスケアサービスとして提供される旨が明示されています。疾病の診断・治療・予防を目的とするものではなく、あくまで「離れた場所からすぐに対応できる体制を整える」ための運用情報という位置づけです。コンシューマー側でもアドテクニカがApple Watch・Wear OS対応の「安否コール」を独自のIoT技術で展開しており、業務用と消費者向け両方でウェアラブル×安否確認の取り組みが広がってきています。
「SR-IMAGE」:電気柵の電圧異常を24時間リアルタイム監視
クマの侵入防止策としては檻による捕獲やドローンによる追い払いも活用されていますが、いずれも人が常時対応できる体制が前提です。一方、電気柵は24時間・無人で生活圏を守り続けられる唯一の恒久的な防護手段と位置づけられますが、草接触・バッテリー消耗・断線などで電圧異常が起きた場合、山間部への巡回で初めて気づくケースが多く、気づいたときには高電圧通電が無効化されている、という運用上の盲点がありました。
SR-IMAGEは、電圧センサーがパルス毎に電圧を計測し、閾値割れが発生した時点で管理者のスマートフォン・PCに即時メールアラートを届ける設計です。バッテリー状態・断線も同時監視でき、しかも既設電気柵への後付けが可能で新規工事は不要。電源はソーラーパネル+バッテリー構成で商用電源不要のため、山間部にも設置しやすい構成になっています。

導入前後でどう変わるか
SR-LINK+SR-IMAGEを導入することで、現場運用は次のように変わります。
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 作業者の位置把握 | 把握する手段がない | GPS位置を地図にリアルタイム表示 |
| 作業者の安否確認 | 通信途絶で確認不能 | ウェアラブルデバイスで遠隔把握 |
| 緊急時の連絡 | 通信途絶で確認不能 | SOS・チャットで確実に連絡確保 |
| 電気柵の電圧確認 | 現地巡回でしか確認できない | スマートフォン・PCで遠隔確認 |
| 電気柵の異常検知 | 巡回時まで気づけない | 閾値割れを即時メールアラート |
| 通信エリア | 携帯圏外では対応不能 | 衛星・LoRa併用で携帯圏外をカバー |
とくに「通信途絶=安否確認不能」という根本的な弱点を、衛星通信とLoRaの相互補完で解消した点が運用面では大きな改善です。
通信インフラ:LoRa無線で携帯圏外もカバー
データ通信の根幹には、従来の携帯LTE回線・Wi-Fi・衛星通信に加え、NSTGが提供する20mW高出力・高感度受信のLoRa無線(920MHz帯)を組み合わせる設計が採用されています。LoRaは最大12段中継ホップ・1ホップ最大10km対応(屋外見通し良好時の参考値)で、山間部の通信空白地帯を埋める役割を担います。
これにより、携帯圏外で従来の遠隔監視システムが導入できなかった地域でも、現場作業者の状態と電気柵の電圧データを途切れさせず本部へ届けられる構成です。携帯・衛星・LoRaを「相互補完」させる発想で、特定回線が断たれても運用が止まらない冗長性を確保しています。コンシューマー側でも携帯圏外対策が進んでおり、KDDIがApple Watch向け「au Starlink Direct」を提供開始するなど、衛星経由で圏外でもメッセージを送れる仕組みが標準化に向かっています。
活用が見込まれる地域・組織
NSTGは本ソリューションについて、次のような地域・組織での活用を見込んでいます。
・クマ・イノシシ・シカ等の獣害対策に取り組む農山村地域・農業協同組合
・山間部に電気柵を設置・管理する市町村・都道府県の鳥獣被害対策担当部署
・電気柵の点検・草刈りに従事する用地管理者・鳥獣被害対策協議会
・高齢化が進み、省力化・遠隔管理を必要とする集落・農業法人
・携帯圏外のため既存の遠隔監視システムを導入できなかった山間部地域
NSTGは本ソリューションを、人口減少・高齢化が進む地方において「働く人の命を守るインフラ」として広く展開していくとしており、農山村に限らず林業・建設・インフラ管理など屋外フィールドで働くすべての人に共通する課題への応用も視野に入れています。
まとめ
NSTGのクマ被害対策トータルソリューションは、「ウェアラブルによる作業者の安否監視」と「IoTによる電気柵の電圧監視」を、LoRa無線まで含むマルチ通信基盤の上で1つにまとめた点が特徴です。スマートウォッチやウェアラブルが個人ユースだけでなく、業務インフラとしても活用される流れの中で、現場安全管理の文脈で参考になる事例といえます。
製品の詳細やお問い合わせは、NSTG公式サイト(https://www.nstg-sr.com/)から確認できます。クマ被害が過去最多を更新する中、人と地域の両方を同時に守る仕組みとして注目される導入事例が今後増えていきそうです。現場のウェアラブル安全管理という観点では、アイフォーカスが現場の熱中症対策にウェアラブルの体調チェック+暑さ指数アラート機能を追加した事例もあわせて参考になります。
Source: エヌエスティ・グローバリスト株式会社 プレスリリース
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