ChatGPTをはじめとする対話型AIの広がりとともに、健康や医療の相談相手としてAIを使う動きが、いまや一部のテック好きだけのものではなくなってきています。「病院に行く前にちょっと症状を調べたい」「医師にはちょっと聞きづらいことを相談したい」というシーンで、AIを選ぶ人がじわじわと増えているのが現状です。
こうしたなか、デジタルバイオマーカー(dBM)の開発を手がける株式会社テックドクターが、一般生活者480名を対象にした「AI健康相談・AI医療に対する意識調査」の結果を公表しました。AI医療への期待が高まる一方、「誤判断・見落とし」への不安も約4割。そして注目すべきは、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスから得られる日常健康データを使ったAI判断には、過半数が「信頼性が高まる」と回答した点です。
Source:PR TIMES
調査の背景|AI医療の「信頼」を生活者目線で問い直す
対話型AIの急速な普及により、医療機関を受診する前にAIで症状を調べたり、日常的な体調の悩みを気軽に相談したりする行動は、もはや一部のテクノロジー先進層に限らず幅広い世代に浸透し始めています。
一方で、AI医療に対する期待や不安、またAI利用経験の有無による意識差について、生活者視点での実態は十分に明らかになっていませんでした。AIが医療において信頼される存在となるためには、個人の主観を超えた「精度の高いデータの裏付け」が不可欠です。ウェアラブルデバイスから得られる生体データを解析してデジタルバイオマーカーを開発するテックドクターは、AI医療の信頼基盤を「データ」の観点から問い直すべく、本調査を実施したと説明しています。
調査概要
調査期間:2026年3月18日(水)
有効回答数:480サンプル(対話型AIへの相談経験が「ある」「ない」それぞれ240名ずつ均等に割り付け)
調査方法:インターネットリサーチ
AI利用経験者の約5割が「健康・体調」をAIに相談したいと回答
AI利用経験者にAIへ相談したい内容を尋ねたところ、「学習・調べもの」が58.3%、「健康・体調に関すること」が50.0%と上位に並びました。日常的な情報収集や健康管理の手段として、AI活用がすでに定着しつつある様子がうかがえます。
注目したいのは、AIをまだ使ったことがない人でも「健康・体調に関すること」への相談意向が21.3%に上っていること。AI未経験層にもしっかり潜在ニーズが広がっており、健康相談はAI活用の入口として有力なテーマになりそうです。

健康不安時の相談先、AI利用経験者の約6人に1人が「AI」を選択
「健康や体調に不安があるとき、最初に相談したい相手」としてAIを選んだ人は全体で10.2%。AI利用経験者に絞ると17.5%(約6人に1人)まで上昇し、AIを使ったことがある人ほど、健康不安時の相談先としてもAIを選ぶ傾向が見えてきました。
さらに興味深いのは世代別の結果です。60歳以上のAI利用経験者で「AI」を選ぶ人は21.7%にのぼり、「医師」に次ぐ2位に。全体(9.2%)から倍以上に上昇しており、「高齢者はAIを使わない」という先入観を覆す結果となっています。AIに触れたことがある経験そのものが、世代を問わず意識を変えつつあると言えそうです。

AIは「医師と身近な人のあいだ」の独自ポジションへ
健康や医療に関する相談についてAIへの信頼度を尋ねたところ、「医師よりも信頼できる」「医師と同程度に信頼できる」の合計が全体で12.1%、AI利用経験者では17.9%でした。
さらに「医師よりは信頼できないが、友人・家族よりは信頼できる」と答えた人が全体の25.2%、AI利用経験者では31.7%に達しています。AIが医師の代わりというよりも、「医師には相談しにくいことを気軽に聞ける存在」として、独自のポジションを獲得しつつある様子がうかがえます。

受診前のAI症状相談に全体の約5割がポジティブ
病院を受診する前にAIで症状相談を行うことについて、「積極的に利用したい」「状況によっては利用したい」の合計は全体で50.4%、AI利用経験者では72.5%に上りました。将来的にAIが医師の役割を担えると答えた人もAI利用経験者では52.1%と半数を超えており、利用経験がAIの医療的役割への期待を押し上げているのが見て取れます。
AIに任せてよい領域については、AI利用経験者で「症状の一次整理・受診目安の提示」「検査結果や数値の説明」「生活習慣に関するアドバイス」がいずれも約5割に到達。医療サポートの幅広い領域でAIへの期待が高まっていることが示されました。


AI医療への不安トップは「誤った判断・見落とし」で約4割
一方で、AIが医療に関与することへの不安も根強く残っています。AI利用経験者で最も多かったのは「誤った判断や見落としが起きそう」で42.9%。「自分が入力した情報だけでは十分な判断ができないのではないか」(39.2%)、「最終的に誰が責任を取るのか不安」(36.7%)と続きました。
AI利用経験者・未経験者ともに不安の上位構造はほぼ変わらず、利用経験に関わらず精度や根拠への懸念が共通の課題として浮かび上がっています。
AI医療が社会に受け入れられるために重要な条件としては、「医師が最終判断を行うこと」が全体49.6%(AI利用経験者で48.8%)でトップ。AI利用経験者では「データの安全性が担保されていること」(39.6%)、「実績・エビデンスが示されていること」(38.3%)への要求も高く、使う人ほど信頼の根拠を具体的に求めている姿勢が見えてきました。


日常健康データでAIの信頼性が「高まる」と過半数が回答
調査でとくに興味深いのが、ウェアラブルデバイスの位置づけです。睡眠・心拍・活動量などの日常の健康データをもとにAIが判断する場合、信頼性が「高まる」と答えた人は全体で52.3%、AI利用経験者では67.1%に上りました。
こうした日常の健康データの収集手段として、身体への負担が少なく日常生活の中で手軽に使えるスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスが広く普及しています。ウェアラブルデバイスのデータが診療に活かされることについても、全体53.8%、AI利用経験者では67.9%が肯定的な反応を示しました。
日々の「線のデータ」が加わることでAIへの信頼が高まるという感覚は、生活者のあいだに着実に広がっているようです。スマートウォッチを身につけて毎日健康データを記録している人にとっては、そのデータが将来的に医療の現場でも役立つ可能性が一段と現実味を帯びてきたといえそうです。

調査の総括|「点」の検査から「線」のウェアラブルデータへ
本調査では、健康・医療分野におけるAI活用への関心や受容が広がりつつある一方で、「誤った判断・見落とし」に対する不安が依然として大きいことが明らかになりました。生活者がAIを活用したい場面は着実に増えつつあるものの、AIが医療において信頼される存在となるためには、判断精度や根拠に対する納得感が欠かせません。
そのうえで、日常の健康データをもとにAIが判断する場合に「信頼性が高まる」と感じる人が過半数に上ったことから、生活者は単発的な情報だけではなく、継続的かつ客観的なデータに基づいたAI判断に対して、より高い信頼を感じる傾向があることもうかがえました。
とくに、睡眠・心拍・活動量などを継続的に取得できるウェアラブルデータは、日常生活における微細な変化を捉えられる点で、AI医療との親和性が高いデータ基盤として期待されています。従来の診察や検査による「点」の情報に加え、日々の状態変化を捉える「線」のデータを活用することで、より一人ひとりに寄り添った健康理解や医療支援につながる可能性があります。
株式会社テックドクターについて
株式会社テックドクターは「データで調子をよくする時代へ」をビジョンに掲げ、ウェアラブルデバイスをはじめとした日常のセンシングデータから健康に関するインサイトを導く「デジタルバイオマーカー」の開発と、その社会実装を進める企業です。医療・製薬・食品関連企業や研究機関と連携し、データに基づくAI医療の実現を目指しています。
デジタルバイオマーカーとは、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどから取得される日常的な生体データをもとに、疾患の有無や病状の変化、治療の効果を連続的かつ客観的に評価する指標です。従来のバイオマーカーが医療機関で一時的に測定される「点のデータ」だったのに対し、デジタルバイオマーカーは日常生活の「線のデータ」を継続的に取得できる点が特徴で、海外では2019年頃から開発が進み、国内でも注目が高まっています。
会社の詳細はこちらから確認できます。
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