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世界最高峰のサッカー大会が開幕し、寝不足の日々を過ごしている方も多いのではないでしょうか。テレビ中継やスタジアムで世界のトップ選手のプレーを見ていると、選手が背中に黒い装置を入れたベストのようなものを着けている姿に気づいた方もいるはずです。あれは一体何なのか——。正体は、アスリートの動きを丸ごとデータ化する装着型のGPSトラッカーです。そしてこの技術を手がける「STATSports(スタットスポーツ)」を買収したのが、ほかでもない日本のソニーだということは、意外と知られていません。今回は、ワールドカップの舞台でいま注目を集めている“体に着けるスポーツデバイス”をやさしく紹介します。

ワールドカップで注目、選手が身につける「GPSトラッカー」とは
STATSportsが手がけるのは、選手が体に装着してプレー中の動きを記録するウェアラブルデバイスです。中心となるのは、手のひらに収まるサイズの黒いGPSトラッカー(GPSポッド)で、これを専用のパフォーマンスベストの背中側(肩甲骨の間あたり)に差し込んで着用します。中継で選手の背中がわずかに盛り上がって見えるのは、このポッドが入っているためです。
デバイスにはGPSに加えて心拍計や加速度センサーが搭載されており、走った距離やスピード、急な加速・減速まで細かく捉えます。練習や試合が終わったあとにデータを同期するだけで、選手やコーチはその日の運動量をひと目で把握できる仕組みです。
何が計測できる? 70以上の指標をリアルタイムに
STATSportsのシステムは、こうしたセンサーから得た情報をもとに70以上の分析指標をリアルタイムに処理し、コーチへ即座にフィードバックします。最高速度・総走行距離・スプリント(全力ダッシュ)の回数や距離といったデータが、その場で数値になって出てくるのが強みです。
実際にどんな数字が出るのか、今大会に出場するトップ選手のデータが公開されています。たとえばアーリング・ハーランド選手の最高速度は時速36.2km、アルフォンソ・デイビス選手は1試合でスプリントを40回以上記録し、中盤の選手は軒並み10km前後を走破しているとのこと。こうしたデータは、選手のコンディション管理やケガの予防、そしてチームの戦術づくりにも役立てられています。今大会ではイングランドやスコットランドなど出場48カ国のうち12カ国がSTATSportsの技術を採用し、イングランドは主要大会で初めて試合中にリアルタイムGPSを着用しているといいます。
プロだけのものじゃない。個人向け「STATSports Academy」
「プロ選手の機材」というイメージの強いGPSトラッカーですが、実は個人アスリートやアマチュアプレーヤー向けにも展開されています。それが「STATSports Academy」というサービスです。GPSトラッカーとスマートフォンアプリを組み合わせ、専属のスポーツサイエンティストがいなくても、プロと同じようにデータを活用したトレーニングを自分で行えるように設計されています。
ベストにトラッカーを装着して練習や試合に臨み、終わったらアプリに同期するだけで、最高速度・総走行距離・スプリント距離など24の主要指標が自動で分析されます。さらに「AIコーチ」機能が、自分のレベルやポジション、直近のデータに合わせて次のトレーニングメニューを提案してくれるほか、性別・年齢・ポジションを選んでトップ選手や同年代上位層と自分を比べられるベンチマーク機能も用意されています。かつてはプロクラブだけのものだったデータ活用が、育成世代や一般のスポーツ愛好家にも急速に広がっているのです。
日本のソニーが買収、スポーツデータビジネスを強化
このSTATSportsを2025年10月に買収(株式の過半数を取得)したのが、日本を代表するメーカーのソニーです。ソニーはスポーツ事業を成長領域と位置づけており、すでにテニスやサッカーの判定支援技術「Hawk-Eye(ホークアイ)」や、マーカーレス光学トラッキングの「KinaTrax」、映像化技術の「Beyond Sports」などを傘下に持っています。

これまでソニーの強みだったカメラによる光学トラッキングに、STATSportsの装着型センサーによるアクティビティトラッキングが加わることで、選手のパフォーマンス分析をより総合的にカバーできるようになります。ソニーは今回の買収について「包括的なスポーツデータビジネスの実現に向けた大きな一歩」とコメントしており、審判の判定支援だけでなく、選手のパフォーマンス向上やファンの新しい楽しみ方まで、スポーツ全体を技術で支えていく狙いです。
まとめ
ワールドカップの中継で見かける、選手が背中に着けた黒い装置。その正体は、走行距離やスプリント、最高速度まで細かく記録するSTATSportsの装着型GPSトラッカーでした。70以上の指標をリアルタイムで分析するこの技術は、いまやプロだけでなく個人でも使える時代になっています。そして、それを支えているのが日本のソニーだという点も見逃せません。次に試合を観るときは、選手のプレーだけでなく“見えないデータ”にも注目してみると、サッカーの楽しみ方がもう一段深まるはずです。
Source: ソニー株式会社 ニュースリリース / ソニー株式会社 広報note / STATSports(画像:ソニー株式会社 プレスリリース)
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