ユーフォリアとアリナミン製薬が市民ランナーの体調記録を6週間検証|ウォッチに出ない変化を自己評価で捉える

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「トップアスリートの主観×客観コンディション管理を、市民ランナーが6週間実践」と書かれたユーフォリアの告知画像。走るランナーの足元の写真

スポーツテック企業のユーフォリアは2026年10月15日、アリナミン製薬と共同で行った、市民ランナーのコンディション記録に関する検証の結果を発表しました。トップアスリートの現場で使われている「主観 × 客観」の記録方法を、市民ランナーが指導者なしで6週間続けたものです。

客観のデータは、参加者が普段使っているガーミンのスマートウォッチで測った睡眠時間や心拍変動(HRV)です。主観のデータは、毎日自分で入力する体調の記録です。6週間を通して、ウォッチの数値はほとんど変わらなかった一方で、自分で付けたストレスの評価には変化が見られたとしています。

ウォッチの数値が「いつもどおり」でも、自分の感覚は変わっていることがある。その差を拾うには、数値と並べて主観の記録を残すのが手がかりになる、というのが今回の発表の中心です。

市民ランナー19人がガーミンと体調の入力を6週間

ユーフォリアは、ラグビー日本代表をはじめ国内外の延べ80競技・7,500チーム以上が導入しているコンディション管理システム「ONE TAP SPORTS」を2013年から提供している会社です。ONE TAP SPORTSは、指導者と選手が情報を共有するチーム向けのシステムです。今回は、個人が一人で、誰にも促されずに記録を続けられるかを確かめています。

検証は2025年3月から5月にかけて行われました。対象は、ふだんから練習を続けていて、ガーミンのスマートウォッチを持っている18〜49歳の健康な男性の市民ランナーです。全国から23人を募集しました。そのうち、事前に決めた回答率(75%以上)や装着時間の基準を満たした19人が、6週間の記録を最後まで続けています。練習や生活には制限を設けていません。

結果は、スポーツ現場での実践的な知見を扱う専門誌『Sport Performance & Science Reports(SPSR)』に、2026年8月30日に実践報告として掲載されました。

毎日の入力は睡眠の質・疲労・ストレス・筋肉痛の4項目

主観の記録には、スポーツの現場で使われる「Hooperの質問票」を使いました。睡眠の質、疲労感、ストレス、筋肉痛の4項目を、毎日7段階で入力します。1が「とても良い」、7が「とても悪い」で、数字が小さいほど調子が良いことを示します。入力先はONE TAP SPORTSです。

客観のデータは、参加者のガーミンのスマートウォッチから自動で集めました。睡眠では睡眠時間、夜間の心拍数、心拍変動(RMSSDの平均)、ランニングでは距離・時間・速度・心拍数です。データはガーミンが提供するAPIを通じて取り込んでいます。

このほか、郵送式の尿検査キットでビタミンB1・B2・B6の状態も4回測っています。主観、ウォッチの数値、栄養状態という性質の違う指標を、同じ期間の中で並べて見られるようにしたのが今回の設計です。

ウォッチの数値は横ばい ストレスの自己評価だけが低下

論文では、最初の2週間(観察期間)と、続く4週間(服用期間)を比べています。主な数値は次のとおりです。

指標 観察期間 服用期間
ストレス(自己評価・7段階) 3.68 3.34
睡眠の質(自己評価・7段階) 3.72 3.70
疲労感(自己評価・7段階) 3.86 3.81
筋肉痛(自己評価・7段階) 3.11 3.49
睡眠時間(ウォッチ) 371.4分 381.3分
睡眠中の心拍変動(ウォッチ) 64.03ms 64.62ms
睡眠中の心拍数(ウォッチ) 46.39bpm 45.75bpm

平均値。自己評価は数字が小さいほど良い。睡眠時間と心拍変動は17人、睡眠中の心拍数は15人の値

ストレスの自己評価は平均で0.34下がり、論文はこれを中程度の変化としています。ほかの3項目(睡眠の質・疲労感・筋肉痛)と、ウォッチで測った睡眠時間・心拍変動・心拍数、走った距離や速度には、はっきりした変化は見られませんでした。

ユーフォリアは、体調の小さな変化は客観データよりも本人の体感のほうが敏感に捉えられると考えられているとしています。ウェアラブルの数値だけなら「特に変化なし」で終わる期間でも、主観の記録を重ねることで変化に気づけた、というのが今回の説明です。

途中の4週間はビタミンB群の製剤を飲む期間に

ふだんどおりの練習と生活を続けるだけでは、記録方法が変化を捉えられるかどうかが分かりにくいため、検証では途中の4週間に、アリナミン製薬が提供したフルスルチアミン(ビタミンB1誘導体)を含むビタミンB群の製剤を毎朝飲む期間を設けました。尿検査では、ビタミンB1・B2・B6の値がいずれも服用期間に大きく上がっています。

ただし、この検証には比べるための対照群(製剤を飲まないグループや偽薬のグループ)がありません。ユーフォリアも、指標どうしの因果関係を示すものではなく、特定の製品の効能効果を示すものでもないとしています。論文も、思い込みによる効果や、たまたま値が平均に戻っただけの可能性を否定できないことを限界として挙げています。研究資金はアリナミン製薬が出しており、著者にはユーフォリアとアリナミン製薬の社員が含まれます。

参加者のガーミンのウォッチは機種やセンサーの世代、ソフトウェアの版がそろっていないことも、論文は限界の1つとしています。

数値が変わらない日も「自分の感覚」を残す意味

ガーミンのウォッチには、睡眠中の心拍変動の推移やトレーニングの負荷を示す機能があり、日々の数値を見ながら練習を調整しているランナーも多いはずです。一方で、数値をどう読んで、どう練習に生かすかは、専門の知識がないと判断しにくいところがあります。

今回の結果は、数値が横ばいの時期でも、本人が感じる疲れやストレスは動いていることがある、という例の1つです。睡眠の質・疲労感・ストレス・筋肉痛を毎日1〜7で付けておくだけなら、特別な機器も要りません。ウォッチの記録と同じ日付で並べておけば、「数値は普通なのに調子が悪い」日がどのくらいあるのかを後から振り返れます。

筆頭著者でユーフォリアの高山史徳氏は「ウェアラブルの数値だけを見ても、本人の主観だけを聞いても足りません。両方を並べて初めて意味が読めます」とコメントしています。

まとめ

ユーフォリアとアリナミン製薬の検証では、ガーミンのスマートウォッチを使う市民ランナー19人が、毎日の体調入力とウォッチの装着を6週間続けました。ウォッチで測った睡眠時間や心拍変動はほぼ変わらず、自分で付けたストレスの評価だけが下がったとしています。

対照群のない小さな探索的検証で、製剤の効果を示すものではありません。それでも、ウォッチの数値に表れない変化を、毎日の短い自己記録で拾える可能性を示した点は、ウェアラブルで体調を見ているランナーにとって参考になりそうです。

Source: ユーフォリア プレスリリース/Sport Performance & Science Reports(Takayama et al., 2026)

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