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汗をかいた「量」と、その汗と一緒に体から失われる「ナトリウム(塩分)」を“見える化”する、腕に貼るだけのウェアラブルがあります。スポーツドリンクでおなじみゲータレードの「Gx Sweat Patch(Gxスウェットパッチ)」です。スマートウォッチのように電子センサーを積むのではなく、にじみ出た汗そのものを化学反応で分析するという、ちょっと変わったアプローチのデバイスです。
このパッチは、サッカーのブラジル代表をはじめ一流アスリートの水分補給戦略づくりに活用されてきました。ワールドカップのような過酷な環境でのコンディション管理にウェアラブルを取り入れる流れが広がるなか、その仕組みと使い方をわかりやすく紹介します。
Gx Sweat Patchとは? 汗を分析する“貼るだけ”デバイス
Gx Sweat Patchは、ゲータレードのスポーツ科学研究所「GSSI(Gatorade Sports Science Institute)」が開発した、マイクロ流体(microfluidics)技術を使った薄く柔らかいフィルム状のパッチです。運動前に左前腕の内側(肘の内側から5〜7cmほど下)に貼り付けて使う、使い捨てタイプになっています。
運動を終えたら、専用アプリ「Gx App」でパッチを撮影してスキャンするだけ。すると、発汗のペースや総発汗量、汗とともに失われたナトリウム量が数値化され、その人に合わせた水分・電解質補給の目安(sweat profile=汗のプロフィール)が表示されます。電源も電池も要らず、専門の機材や知識がなくても“自分の汗”を測れるのが最大の特徴です。

前腕に貼ったパッチをGx Appでスキャンする(画像:Gatorade公式サイト)
仕組み — 2本の“流路”で「汗の量」と「塩分」を測る
パッチの中には、汗が流れる細い流路(マイクロチャンネル)が2本組み込まれています。それぞれが違う役割を持っています。
・オレンジの流路(発汗量):汗が流れ込むと色づいて進んでいき、どこまで到達したかで発汗のペース(発汗レート)を測ります。
・紫の流路(塩分=塩化物):汗に含まれる塩化物と反応して紫色に発色し、色が濃いほど塩分濃度が高いことを示します。汗中の塩化物とナトリウムは強く相関するため、ここから失われたナトリウム量を推定します。
前腕1か所のデータをもとに、アプリのアルゴリズムが全身の発汗量とナトリウム損失を予測する仕組みです。発汗量は人によって1時間あたり0.5〜2.5リットルと幅があり、汗に含まれる塩分濃度にも大きな個人差があります。だからこそ“自分の汗の傾向”を知ることに意味がある、というわけです。
この予測モデルは思いつきではなく、312人規模の被験者を対象に、サッカー・バスケットボール・テニス・陸上など屋内外のさまざまな競技で、研究室の標準的な測定法と比較して検証されています。
使い方 — アプリを入れて貼って、スキャンするだけ
公式が案内している基本的な流れは次のとおりです。
・① アプリを入れる:App Store/Google Playから「Gx App」をダウンロード。
・② 運動前に貼る:左前腕の内側を清潔にし、ローションや日焼け止めを拭き取ってしっかり乾かしてから、10秒ほど強く押さえて密着させます。
・③ 20分〜2時間運動する:オレンジの流路にある程度色が出ればOK。たくさん汗をかく人は20分ほど、汗が少なめの人は60分程度が目安です。
・④ スキャンする:運動後、クールダウンに入る前に、腕に貼ったままアプリで撮影。明るい場所で、手ブレしないように撮るのがコツです。
なお、正しく計測するための推奨条件も決まっています。
| 項目 | 推奨条件 |
|---|---|
| 気温 | 約8〜35℃(47〜95°F) |
| 運動時間 | 20〜120分 |
| 貼る場所 | 左前腕の内側(肘の内側から5〜7cm下) |
| タイプ | 使い捨て(1回ごとに新品) |
サッカーブラジル代表も活用してきた“汗の個別化”
GSSIはサッカーのブラジル代表と協働し、選手一人ひとりの発汗レートや電解質の損失を測定して、個別の水分補給プロファイルを作成してきました。さらに、炭水化物や電解質を選手ごとに調合する仕組みも試験的に導入されています。
ワールドカップのような高温多湿での連戦では、脱水(体重の2%以上が失われる状態)はパフォーマンス低下に直結し、逆に水分を摂りすぎても低ナトリウム血症のリスクが高まります。「どれだけ、何を飲むか」を勘ではなく“測って個別化する”ことが、トップレベルほど重要になっているのです。
スマートウォッチとの違いと、これからの汗計測
Apple WatchやGalaxy Watchが心拍・皮膚温・睡眠などを電子センサーで測るのに対し、Gx Sweat Patchは「実際の汗」を化学的に分析する点が根本的に異なります。常時身につける手首のウェアラブルとは役割が違い、必要なタイミングでテスト的に使って“自分の傾向”をつかむ道具、という位置づけです。
裏を返せば、手首のスマートウォッチとGxパッチは相互に補完し合う関係とも言えます。心拍や運動量はウォッチで日常的に、失う水分や塩分はパッチでときどき精密に——。手首に着けるタイプの汗センサーの研究も進んでおり、ウェアラブルによる“汗の可視化”はこれから面白くなっていく分野です。
まとめ
Gx Sweat Patchは、腕に貼って運動し、アプリでスキャンするだけで、自分の発汗量と失われるナトリウムを知ることができるユニークなウェアラブルです。GSSIの研究に裏打ちされ、ブラジル代表のようなトップアスリートの水分補給を支えてきた技術が、一般ユーザーにも手が届くようになってきました。夏場のトレーニングや長時間の運動が多い人にとって、“自分に合った水分補給”を考えるきっかけになりそうです。
Source: Gatorade(Gx Sweat Patch 公式ガイド)/GSSI「Sports Science Exchange」No.234/画像:Gatorade公式サイト
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