ブラックフライデーの由来を深堀り調査|フィラデルフィア警察の呼び名? 「黒字になる日」は1980年代の後付け? 日本の認知度は84.6%に

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店のショーウィンドウに貼られた「SAVE UP TO 50% BLACK FRIDAY」の黄色いセール看板

2026年もAmazonやイオン、イトーヨーカドーが11月に「ブラックフライデー」のセールを開きます。Amazonの2026年の開催予告はAmazonブラックフライデー2026が11月に開催|詳細は11月19日発表で紹介しました。

もとはアメリカで感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日を指す言葉で、日本ではこの10年ほどで一気に広がりました。本記事では、ブラックフライデーという名前の由来、アメリカで年末商戦の中心になった理由、日本での定着ぶりを、海外の百科事典・公的機関・業界団体と国内の調査をもとに紹介します。

名前の由来はフィラデルフィア警察の呼び名

「BLACK FRIDAY」と書かれた店のショーウィンドウの前で、スマートフォンを手に持っているイメージ

買い物の日としての「ブラックフライデー」は、1950〜60年代のアメリカ・フィラデルフィアで警察官が使っていた呼び名が始まりとされています。

米国の歴史専門メディアHistory.comによると、フィラデルフィアでは感謝祭の翌日、郊外からの買い物客と、翌土曜日に開かれる陸軍対海軍のフットボールの試合を見に来た観光客で街中が混み合いました。警察官は休みを取れず、混雑と渋滞の対応で長時間働くことになり、この日を「ブラックフライデー」と呼ぶようになりました。1961年には市内で呼び名が広まり、商店主たちは悪い印象を嫌って「ビッグフライデー」への言い換えを試みましたが、定着しなかったといいます。

当時の文献にも記録が残っています。1961年12月18日発行のニュースレター『Public Relations News』は、警察官が感謝祭明けの金曜と土曜を「Black Friday」「Black Saturday」と呼ぶのが慣例になったと書きました。1966年1月の切手専門誌『The American Philatelist』には、フィラデルフィアの切手商が「ブラックフライデーはフィラデルフィア警察が感謝祭翌日の金曜日に付けた名前」と書いた広告が載っています。どちらも米国方言学会のメーリングリストで原文が紹介されています(1961年の記事、1966年の広告)。

地元紙のPhiladelphia Inquirerも「決定的ではないが、あらゆる兆候がフィラデルフィア発祥を示している」と伝えています。百科事典のブリタニカも、1960年代にフィラデルフィア警察が使い始めた、混雑を指す否定的な言葉だったと説明しています。

「赤字が黒字になる日」は1980年代の後付け

日本では「お店の帳簿が赤字から黒字に変わる日だから」という説明をよく見かけます。ところがHistory.comとブリタニカによると、この説明は1980年代に小売業者が言葉の印象を変えるために持ち出したものです。1961年の『Public Relations News』の記事にも、利益や黒字の話は出てきません。

「奴隷が割引価格で売られた日が由来」という説もSNSで出回りましたが、米国のファクトチェック機関PolitiFactは「誤り」と判定しています。添えられていた写真は、西オーストラリアの先住民の囚人を写したものでした。History.comも、この説には事実の根拠がないとしています。

なお、記録に残る最も古い「ブラックフライデー」は買い物とは関係がありません。1869年9月24日の金曜日に起きた、アメリカの金(ゴールド)市場の暴落を指す言葉です。投機家が金の買い占めを図ったことが原因でした。

感謝祭の翌日がクリスマス商戦の初日に

「BLACK FRIDAY」の文字タイルと松ぼっくりなど、クリスマスの飾りを並べたイメージ

感謝祭の翌日が買い物の日になった背景には、クリスマス商戦との結びつきがあります。百貨店メイシーズは1924年から感謝祭の日にパレードを開き、当初は「クリスマス・パレード」の名前で開いていました。

1939年には、ルーズベルト大統領が感謝祭を11月30日から1週間早い11月23日に動かすと発表しました。米国国立公文書館の機関誌『Prologue』によると、不況のあとで小売業界がクリスマス商戦を長くしたがっていたことが主な理由でした。州ごとに祝う日が分かれる混乱を経て、1941年12月26日に「11月の第4木曜日」と法律で決まり、今の形になっています。

アメリカでは5日間で2億290万人が買い物

ブラックフライデーという名前が全米に広がったのは1980年代です。ただ、最初から一番売れる日だったわけではありません。ファクトチェックサイトのSnopesが載せている国際ショッピングセンター協会の順位では、1993〜2002年のブラックフライデーは年間の売上で4〜8位でした。

開店前から並んだ客が一斉に店へ入る、目玉商品の大幅値引きは「ドアバスター」と呼ばれ、2008年には大手スーパーのウォルマートで店員が客に踏まれて亡くなる事故も起きました(ブリタニカ)。2005年には全米小売業協会(NRF)が、感謝祭明けの月曜日のネット通販を「サイバーマンデー」と名付けています。

2025年は、感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間に過去最多の2億290万人が買い物をしました。ネットで買った人は1億3,490万人で、店舗で買った人の1億2,950万人を上回っています(NRFの発表)。Adobeの集計では、2025年のブラックフライデー当日のネット通販の売上は118億ドル(前年比9.1%増)、サイバーマンデーは142.5億ドルでした(Adobeの発表)。

ブラックフライデーはアメリカの外にも広がりました。米TIME誌によると、イギリスでは2010年にAmazonがブラックフライデーの値引きを始め、2013〜14年には大手スーパーも加わりました(TIMEの記事)。

日本では2014年のトイザらスから

日本では2014年に、日本トイザらスが11月28日〜30日の3日間「ブラック・フライデー」キャンペーンを初めて開き、人気の26商品を最大79%引きにしました(日本トイザらスの発表)。同じ年には、刃物メーカーの貝印もブラックフライデーのセールを初めて行っています。

2016年にはイオンが本格的に取り入れました。イオンモールは2025年の発表で「2016年に『ブラックフライデー』を日本で本格的に導入、今年で10周年」と書いています(イオンモールの発表)。

ネット通販では、Amazonが2019年11月22日〜24日に「Amazonブラックフライデー」を日本で初めて開きました(アマゾンジャパンの発表)。2020年は「ブラックフライデー&サイバーマンデー」として5日間開き、2021年からはブラックフライデーに一本化しています(Impress Watch)。2021年には楽天市場も「楽天ブラックフライデー」を開催しました(Impress Watch)。

認知度は8年で30.9%から84.6%へ スーパーのセールにも

店の売り場に「50%」「30%」の赤い値引き札が並んでいるイメージ

チラシアプリ「Shufoo!」を運営するONE COMPATHの調査では、ブラックフライデーを知っている人は2017年の30.9%から、2025年には過去最高の84.6%まで増えました。2025年にブラックフライデーで買い物をしたいと答えた人は54.6%で、最も期待するセールでも、初売り・福袋(42.0%)を抑えて1位(50.6%)でした(ONE COMPATHの調査)。

年 ブラックフライデーの認知度
2017年 30.9%
2018年 65.6%
2019年 75.1%
2020年 76.5%
2021年 75.1%
2022年 74.9%
2023年 75.8%
2024年 83.7%
2025年 84.6%

買う場所はネット通販だけではありません。クロス・マーケティングは2025年11月に、20〜69歳の1,100人にブラックフライデーの買い物について聞きました。利用する予定の場所は、総合ECサイト・通販が51.8%、総合スーパーが38.5%でした(クロス・マーケティングの調査)。

実際に、食品や日用品を扱うスーパーもブラックフライデーの名前でセールを続けています。

企業 ブラックフライデーの内容
イオン 2025年は10周年。約600店舗とネット通販で開催(日本食糧新聞)
イトーヨーカドー 2026年は11月18日〜29日の12日間で、今年で10回目(イトーヨーカドーの発表)
ドン・キホーテ、アピタ・ピアゴなど 2025年は半額の対象を前年の約2倍の61点に(PPIHの発表)
西友 2025年は11月25日〜30日に食品・日用品の約590品目を値下げ(流通ニュース)

大和総研は2025年12月のコラムで、10周年を掲げる企業も出てきたことに触れ、消費を後押しするブラックフライデーが日本でも「定着しつつある」と書いています。一方で、日本のセールは企業ごとに時期がばらばらで、本来の金曜日より前に終わるものもあると指摘しています(大和総研のコラム)。

スマートウォッチも年末の買いどきに

Apple Watch Ultraを腕に着けたところ(編集部撮影)

ネット通販のブラックフライデーでは、スマートウォッチも毎年値下げの対象になっています。2025年はAmazonやメーカーの公式サイトで12ブランドのモデルが値下げされました。去年の動きは【Amazonブラックフライデー2025】スマートウォッチが続々値下げ! 人気ブランドの最新セール情報まとめで、2026年の開催情報はAmazonブラックフライデー2026の予告記事で紹介しています。

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