Table of Contents
「良い椅子は投資」とよく言われますが、実際に長時間のデスクワークで体がどう変わるのかは、座ってみないと分かりません。
LiberNovoの電動ワークチェア「Omni Pro」は、通常価格229,000円(税込)というフラッグシップモデルです。腰を支えるランバーサポートが電動で前後に動き、座面には送風ファンまで入っています。椅子というより、身につけるガジェットに近い製品です。
この Omni Pro を実際に組み立てて、仕事机で毎日使ってきました。スマートウォッチで日々の姿勢や座りすぎを気にしている立場から、じっくりレビューしていきます。
使い始めていちばん驚いたのは、座面の柔らかさでした。そして、その柔らかい布の座面が夏に暑くならないという、一見矛盾したことが本当に起きています。座面のファンを回すと、お尻のあたりがスースーと涼しくなるのです。
※本記事で紹介する LiberNovo Omni Pro は、メーカーから製品の提供を受けて執筆しています。掲載前に提供元へ内容を共有していますが、評価および掲載内容の最終判断は編集部が行っています。また、本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。
LiberNovo Omni Proとは|ドローン出身チームが作る“動く椅子”

LiberNovoは、「座ることが集中や創造の妨げになってはならない」という発想から生まれたブランドです。DJIなど世界大手のドローン・ロボット家電メーカー出身のエンジニアが2023年に設立し、“人の動きに自然に追従する椅子”というコンセプトを掲げています。
初代モデルの「LiberNovo Omni」は2025年6月に米国で初公開され、先行予約総額は約13億円。日本でも2025年秋の上陸から約2か月で売上4.6億円を達成し、iFデザインアワード2026を受賞、Makuakeのチェア部門でも歴代1位となりました。今回レビューするOmni Proは、その上位にあたるフラッグシップモデルです。
発売は2026年6月17日。下位モデルの Omni SE、上位の Maxis – Airflow と合わせた3機種同時でした。発売から7月31日までは早割の143,089円で、現在もセール価格での販売が続いています(最新の価格とセット構成は記事末尾にまとめました)。
主なスペック

カラーはグラファイトブラックとアッシュホワイトの2色。座面のクッションの中には送風用のファンが組み込まれています。
この椅子がただの高級チェアと違うのは、肘置きにボタンが付いていることです。操作ボタンはアームレストの内側にあります。肘を置いたまま指先が届く位置に4つ並んでいて、いちばん手前がAirFlowです。押すと弱と強が切り替わり、動作中はボタンが青く光ります。なおこの4つは左からAirFlow・マッサージ・腰を奥へ・腰を前へで、この椅子の電動まわりはすべてここから操作します。

アームレスト内側のボタン。左からAirFlow(点灯中)、マッサージ、腰を奥へ、腰を前へ
どこがどう動くのかは、メーカーの公式動画がいちばん分かりやすいので先に置いておきます

2色展開と、座面に内蔵されたファンの構造(画像はLiberNovoのプレスリリースより)
| 製品名 | LiberNovo Omni Pro 電動ワークチェア |
|---|---|
| 通常価格 | 229,000円(税込)〜(セット構成により異なる) |
| カラー | グラファイトブラック/アッシュホワイト |
| 推奨身長 | 153cm〜186cm |
| 耐荷重 | 最大136kg(BIFMA)/110kg(EN1335) |
| リクライニング | 5段階(105°/115°/125°/135°/160°) |
| 主な機能 | フレックスフィットバックレスト/ダイナミックサポート/Omniストレッチ(電動)/電動ランバーサポート/AirFlowモード(座面通風) |
| バッテリー | 3000mAh・10.8V/32.40Wh(最大約30日持続)、USB-C充電(約4時間38分でフル充電) |
| 主な素材 | Gabriel Atlanticファブリック、アルミ合金一体成型ベース |
| 認証・保証 | BIFMA規格準拠、JIS S 1032/PSE ほか。フレーム6年・電子部品2年保証 |
この椅子は、身体が当たるところのほとんどが動きます。まず全体像を整理しておきます。
| 部位 | 動かせる方向 | 公称の可動域 | 操作 |
|---|---|---|---|
| ランバーサポート(腰) | 前後 | 公表なし | 電動(アームレストのボタン) |
| 背もたれ | リクライニング5段階 | 105°/115°/125°/135°/160° | 電動/固定は右下側面 |
| アームレスト | 4方向(上下・前後・向き・幅) | 高さ96mm(従来80mm) | 手動 |
| ヘッドレスト | 3方向(高さ・奥行き・チルト) | 高さ120mm/奥行き90mm/チルト37° | 手動 |
| 座面 | AirFlow(送風の弱・強) | — | 電動(アームレストのボタン) |
| 腰(自動で往復) | 前後にゆっくり往復 | 1回5分(Omniストレッチの公称) | 電動(アームレストのボタン) |
ヘッドレストとアームレストは、初代Omniから可動域が広げられています。ヘッドレストは高さの可動域が80mmから120mmへ、奥行きが80mmから90mmへ、チルト角が32°から37°へ。アームレストは高さが80mmから96mmへ拡大しました。身長や座高が標準から外れている人ほど、この差は効いてくるはずです。
開封と組み立て|37kgの箱を一人で40分
座り心地の話に入る前に、届いてから座れる状態になるまでを簡単にまとめておきます。
届いた箱は三辺合計およそ196cm、総重量37kg。玄関に置くとかなりの存在感で、組み立てには2〜3畳ぶんの床が必要でした。

ただ、組み立て自体は身構えるほどではありませんでした。工具は同梱の六角ドライバー1本だけで足り、軍手まで入っています。ネジは全部で10本、記号で区別されていて取り違えません。説明書は段ボール箱とほぼ同じサイズの大判で、図だけで理解できる作りです。
ストップウォッチで計った結果は39分48秒。ネジ穴の位置がシビアな箇所で手こずったぶんを含めての時間なので、順調なら25分ほどで終わると思います。
箱のサイズ、同梱物、12工程の中身、つまずいたポイントまでは別の記事に詳しくまとめました。購入を検討していて「一人で組めるか」が気になる方は、こちらを先に読んでみてください。
LiberNovo Omni Pro 開封・組み立てレポート|37kgの箱を一人で40分、工具は付属の1本だけ
座り心地|まず驚いたのは、座面の柔らかさ
実際に座って、まず驚いたのは座面のクッション性でした。
この座面には電動ファンが内蔵されています(後述のAirFlowモード)。機構が入っていると聞くと、その分だけ硬いのではないかと身構えるところですが、実際はまったく逆でした。しっかり沈んで受け止めてくれる、柔らかい座面です。ここは座った瞬間に分かる差で、価格帯の高さがいちばん素直に伝わってくる部分でもありました。
柔らかいのはお尻が乗る部分だけではありません。太ももから膝にかけて全体的に柔らかく、普通に座っているだけで包み込まれるような安心感があります。前縁が硬い椅子だと太ももの裏が痺れてきますが、そういう当たりがありません。
かといって、柔らかすぎて腰が痛くなるようなこともありません。沈み込みすぎて姿勢が崩れる柔らかさではなく、受け止めたところで止まる柔らかさです。

左:座面を手で押したところ / 右:太もも裏が当たる座面前縁の形状
もうひとつ、座ってしばらくして気づいたことがあります。感覚としてごくわずかですが、座面が後ろのほうに傾いているように感じるのです。前に滑り落ちる感じがなく、腰が自然と背もたれ側に収まるので、これが座りやすさにつながっていると思いました。
この体感については、メーカー側にひとつ関係しそうな説明があります。Omni Proでは初代から座面前端のウレタンを厚くして前滑りを防止する改良が入っているとされています。前が持ち上がっているぶん、相対的に後ろへ傾いているように感じられるのかもしれません。
ただし、この柔らかさには裏返しもありました。
座面に使われているのは、デンマークの Gabriel社「Atlantic」ファブリックです。身体に沿って気持ちよく沈む一方で、夏場は座っていて暑さが少し気になると感じました。布であることの気持ちよさと、布であることの熱のこもりやすさが、そのまま両方出ている印象です。
これは私の環境の問題も大きいと思います。これまで使っていた椅子は合皮のような素材で、その上にサラサラした生地の座布団を敷いていました。座面に熱がこもらない組み合わせだったので、そこから乗り換えると差を感じやすいわけです。
この蒸れを解決するための装備が、Omni Proには「AirFlowモード」として搭載されています(詳細は後述)。
電動で姿勢を変える——腰の前後、背もたれの追従、ストレッチ、AirFlow
この椅子で電動なのは3つです。腰の位置を前後させるランバーサポート、腰を自動で往復させるOmniストレッチ、そして座面のファンであるAirFlow。操作はすべてアームレスト内側の同じパネルに集まっていて、肘を置いたまま指先で切り替えられます。1週間毎日使ってみて、この椅子でいちばん便利だと感じたのがここでした。
Omni Proの背もたれは、8枚の可動パネルを14のデュアル接続ポイントで連結した「フレックスフィットバックレスト」を採用。二重球状ブラケットと16のピボットで、背骨の形に合わせてパーソナライズされたサポートを狙う構造です。あわせて、ヘッドレスト・背もたれ・アームレスト・座面が身体の動きに追従する「ダイナミックサポート」も備えます。
なかでも中心になるのが腰の支えです。しかもこれは、腰当てだけがせり出す仕組みではありません。背もたれが1枚の板ではなく分割されたパネルの連結でできていて、腰を前に出すとそのパネルごと前へ押し出されます。
背面から見ると、その動きがはっきり分かります。腰を奥に引いた状態ではパネルが支柱に沿ってまっすぐ収まっているのに対して、腰を前に出すとパネルのユニットごと前方へ押し出され、支柱との間に大きな隙間が開きます。腰当てだけが少し飛び出すのではなく、背中が当たる面そのものが移動しているのです。座っているときに背中で感じている変化の正体は、これでした。

左:腰を奥に引いた状態。パネルが支柱に沿ってまっすぐ収まっている / 右:腰を前に出した状態。パネルユニットごと前へ押し出され、支柱との間に大きな隙間ができる
腰の前後——出すと集中でき、引くとリラックスできる
Omni Proには電動のランバーサポート(腰の支え)が備わっています。操作はアームレストにあるボタンで行うので、肘を置いたまま指先だけで動かせます。わざわざ手を伸ばす必要がないぶん、思いついたときにすぐ変えられます。仕事中は、これを操作して腰の位置が前に来るように動かして使っています。この状態にすると、だらしない姿勢になりづらいのです。腰とお尻をしっかり支えられた状態が保たれるので、姿勢よく作業を続けやすくなります。
ここまでは、支えの効いた椅子なら想像がつく話かもしれません。発見だったのはその先でした。
支えてもらうことで、腰が楽になるだけでなく、姿勢そのものが良くなったのです。正確に言えば、姿勢を良くしようと自分が意識するようになりました。
椅子が身体を矯正してくれる、という話ではありません。しっかり支えられていると、崩れた姿勢のほうが不自然に感じられるようになる。だから自分から姿勢を正すようになる、ということです。椅子が姿勢を作るのではなく、椅子が姿勢への意識を作る。この順番は、座ってみるまで想像していませんでした。
姿勢の悪さを自覚していて、意識だけではどうにもならなかった人にとって、ここは価格に見合う価値になり得ると思います。
疲れたら腰を奥へ。集中とリラックスを行き来できる
腰の支えが前後に動く様子。背もたれのパネルごと動くこと、肘置きのボタンで操作すること、最大160°まで倒れることを1本にまとめました
腰の支えが前後に動く様子。前半はマッサージによる自動の往復、後半はボタンで手動に動かしたもの
使い続けているうちに、もっと大きなことに気づきました。この機能の本当の価値は、良い姿勢を保てることではなく、姿勢を変えられることのほうにあるということです。
机に向かって集中してタイピングをしているときは、腰の位置をできる限り前にします。すると背筋がピンと伸びて、仕事に集中できます。
そしてその姿勢のままで疲れてきたら、腰が奥のほうに行くように調整します。すると一気に、体をリラックスさせて座ることができます。この切り替えがボタンひとつでできるのが効きます。
| 場面 | 腰の位置 | 体感 |
|---|---|---|
| 集中してタイピングするとき | できる限り前へ | 背筋がピンと伸びて集中できる |
| その姿勢が続いて疲れたとき | 奥のほうへ | 一気に体をリラックスして座れる |
同じ姿勢でずっと居続けると、やっぱり体が凝り固まってしまいます。姿勢を変えられるこの機能は、デスクワーカーにとってとても良いと思いました。立ち上がって伸びをするのとは別に、座ったまま体のモードを切り替えられる手段がある、という感覚です。
前の項で書いた「姿勢を意識するようになる」という発見とも、きれいにつながります。集中したいときに前へ倒せるからこそ意識が働き、疲れたら奥へ逃がせるから続けられるのです。
そしてこれは、一日の中の切り替えだけの話ではありません。その日の腰の状態や体のコンディションに合わせて、背中の部分の反り具合を変えられるのがやはり素晴らしいと思いました。腰が張っている日と調子のいい日では、しっくりくる支え方が違います。固定式のランバーサポートだと「合う日」と「合わない日」が出てしまいますが、その日の体に合わせて調整できるなら、合わない日をなくせます。
Omniストレッチ——腰を自動で前後させる「マッサージ」ボタン
同じ姿勢が続くと、体は凝り固まります。そこで使えるのがマッサージのボタンです。押すと腰の部分が決まった時間、自動で前に出たり後ろに下がったりします。前の項の腰の前後を、手を使わずに繰り返してくれるものだと考えると分かりやすいと思います。立ち上がってストレッチをするほどではないけれど腰まわりが固まってきた、という場面にちょうど収まります。
動作時間は公称どおりで、押してからしばらく往復して自動で止まります。ひとつ分かったのは、マッサージで自動的に往復する範囲と、ボタンで手動に動かせる範囲は同じではないということです。手動のほうが可動域は広く、マッサージはその内側をゆっくり行き来しています。姿勢を作りたいときは手動、ほぐしたいときはマッサージ。同じ場所を動かす機能ですが、役割は別です。
なお、メーカーの製品ページに「マッサージ」という名前の機能はなく、載っているのは「Omniストレッチ」(電動で腰や背中を伸ばす機能・1回5分間)です。同じものである可能性が高いのですが、呼び名が違うので、ここでは実機のボタンに合わせて書いています。
1週間使っても、この使い方は続いている
新しい機能は最初だけ物珍しく使って、そのうち触らなくなる。それが心配だったので、しばらく使ってから書くことにしました。結論として、この使い方はいまも毎日続いています。朝9時から夕方5時までデスクに向かう日は、腰を前に出して集中し、同じ姿勢が続いたなと思ったら奥へ逃がすかマッサージのボタンを押す、という操作を繰り返しています。固まっていた姿勢がリセットされるような感覚があり、姿勢を意識するようになったという最初の感覚も、1週間経った時点で薄れていません。
座りっぱなしの害については、Apple Watchの「スタンドの時間です!」通知を早稲田大学の教授の書籍から解説した記事でも書きました。
AirFlow——座面のファンで、夏場の暑さを気にしなくなった
Omni Proと下位モデルを分ける最大の装備が、座面に電動ファンを内蔵した「AirFlowモード」です。毎分4,000回転のファンが熱や湿気を排出し、着座センサーで自動的にオン・オフが切り替わります。
ボタンを押すと、お尻のほうがスースーする感じで、涼しい空気が入ってきます。座り心地の章で「布の座面は夏場少し暑さが気になる」と書きましたが、その懸念はこれで解消されました。これまで敷いていた座布団は、要らなくなりました。蒸れやすい素材を採用したうえでファンで解決する、という設計の賭けは成立しています。
音は部屋の状況次第です。扇風機やサーキュレーターを近くで回していれば、鳴っているのを気にしないでいいレベル。静かな部屋で単体で聞けば、強のときは確かに分かります。
風量は弱・強の2段階で、公称の駆動時間は弱で最大36時間、強で最大9時間。差は4倍あるので、弱で足りるなら静かさとバッテリー持ちの両方で得をします。
常用は弱、暑さのピークだけ強。これが今の使い方です。強を常用する前提の椅子ではなく、弱が実用的だからこそ成立している機能だと思います。
リクライニングは「ベッドで寝ている感覚」まで倒れる
リクライニングは105°から160°まで5段階。集中作業から深いリラックスまで、姿勢を切り替えられます。
5段階でどこまで倒れるかは、メーカーの公式動画で見るのが早いです
| 角度 | メーカーの呼び名 | 公称の説明 | 実際に使ってみて |
|---|---|---|---|
| 105° | 高効率ワークポジション | 背筋を伸ばし、作業に集中 | 集中してタイピングするときの定位置 |
| 115° | クリエイティブポジション | 仕事も姿勢も、ちょうどいいバランスに | 本を読むときにちょうどいい |
| 125° | 長時間集中ポジション | 深く腰掛けて、自分だけの集中時間へ | 座面であぐらをかくならこのあたり |
| 135° | エンターテインメントポジション | ゲームや映画鑑賞のくつろぎ時間を、快適に | 作業が一段落したときに倒す角度 |
| 160° | リラックスポジション | 背中を伸ばして、全身をリフレッシュ | ベッドで寝ているような感覚 |
最大まで倒すと、ソファまで歩かなくてよくなる
最大まで倒すと、ベッドで寝ているような感覚になります。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、背もたれとヘッドレストに全体重を預けられるので、椅子に座っているという感じがしなくなります。

左:背もたれを起こして座った状態 / 右:最大付近まで倒した状態
これがデスクワークをしていて効きます。ちょこっと休みたいというとき、ソファーまで行かなくても、これをやるだけでかなりリラックスができます。仕事部屋にソファがない人や、一度離れると戻ってくるのが億劫になる人には、この差は小さくありません。
ちなみにOmni Proでは、初代Omniからリクライニングの軸を2つとも後方へずらす設計変更が入っています。メーカーはこれを「深くリクライニングした際にお尻が前方に押し出される不快感を解消」するためだと説明しています。倒したときに身体がずり落ちてこないのは、この改良が効いているのかもしれません。
起こすと、背もたれが自動で追ってくる
倒すことより感心したのが、戻すときでした。
リクライニングにしたあと、身体を起こすと倒れていた背もたれの部分も自動で勝手に起きてきます。レバーを探して解除する必要も、背中で押し戻す必要もありません。休憩から作業に戻る動作の中に、椅子のほうが合わせてくれる形です。
細かいことのようですが、休憩のたびに操作が要るとだんだん面倒になって使わなくなります。戻す手間がないからこそ、気軽に倒せるという関係になっています。
浅く倒すだけでも使いどころがある
160°の話を先に書きましたが、使ってみると浅い角度のほうが出番が多いというのが正直なところです。
たとえば椅子に座ったまま少し本を読みたいとき。浅めに倒すだけで、これがなかなかいいのです。作業姿勢のままだと前のめりになりますが、少し背中を預けられると本を持つ手が楽になります。
もうひとつ、座面の上であぐらをかくという座り方もします。このときは浅く倒しておくと姿勢が安定します。座面が広く、前縁が硬くないので、こういう崩した座り方も受け止めてくれます。
角度の固定は右下の側面から
好みの角度で止めておきたいときは、座面の右下から出ている細いレバーで固定できます。手を下ろした自然な位置にあるので、座ったまま迷わず届きます。このレバーは2本あって、座面の高さを変えるのと、リクライニングの角度を止めるのを兼用しています。操作そのものが楽なので、その日の作業に合わせて気軽に変えられます。

座面の下から出ている2本のレバー。座面の高さとリクライニング角度を兼用する
アームレストとヘッドレストの調整
ここからは細かい調整の話です。毎日触るところなので、合うかどうかは効いてきます。
アームレストは前後だけでなく、向きも変えられる
もうひとつ、地味ですが効いているのがアームレストです。前後にスライドできるうえ、肘を乗せる面の向きまで変えられます。
上下の高さだけ調整できる椅子は多いのですが、前後が動くと意味が変わります。キーボードを打つときと、背もたれに深く預けるときで肘を置きたい位置が違うからです。実際に使ってみると、想像以上に自然に手が伸びました。
さらに、アームレストをまっすぐの状態から内向きに振ることができます。肘を体の内側に寄せてキーボードに向かうときと、腕を広げて資料を扱うときでは、腕が自然に置きたがる角度が違います。まっすぐ固定の椅子だと、どちらかで必ず窮屈さが出るところです。

左:アームレストを最も前にスライドさせた状態 / 右:最も後ろに下げた状態

左:内向きに振った状態 / 右:まっすぐの状態
ヘッドレストは上下だけでなく、前後にも動かせる
ヘッドレストも、頭を当てる位置を動かすことができます。しかも上下だけではありません。支柱から伸びた腕に沿って、前後にもスライドします。背もたれを倒したときと起こしたときでは頭が来る位置が変わるので、前後に振れるかどうかで首の当たりがかなり違います。首の後ろで支えたいのか、後頭部までしっかり預けたいのかは人によって違いますし、同じ人でも姿勢によって変わります。
そして、この部分がなかなかふかふかで柔らかいのです。頭を後ろに倒したときに、硬い板に当たる感じがまったくありません。作業の合間に頭を預けるだけで、ひと息つけます。


頭を当てる位置は前後にもずらせる。支柱とパッドの位置関係が変わっているのが分かる
左:ヘッドレストを下げた状態 / 右:上げた状態
バッテリー運用と日々の使い勝手
着脱式のバッテリー。ラベルは公称の「12V」ではなく10.8V
バッテリーは座面の下に差し込む着脱式で、持ち手を引けば片手で抜けます。充電は座面裏のUSB Type-C端子から行います。
ラベルには「10.8Vdc/3000mAh/32.40Wh」と刻印されています。公式の仕様表では12Vと案内されていますが、10.8V×3000mAh=32.4Whで数値が整合し、型番「3INR19/66」も3セル直列(3.6V×3)を示しているので、実際は10.8Vとみてよさそうです。

バッテリーは座面の下。持ち手を指で引くと片手で抜ける

左:取り外したバッテリー本体と接続端子 / 右:ラベル。10.8Vdc・3000mAh・32.40Whと刻印されている
キャスターが無音で動く
毎日使っていて、意外と印象に残っているのがキャスターです。椅子を動かしたときに、脚の部分のローラーから音がまったくしません。ここにも高級感を感じました。安い椅子だと、動かすたびにゴロゴロと音が鳴ったり、引っかかったりするものです。
そしてこれは、この椅子の重さとも関係します。届いたときは箱が重くて大きく、正直ひるみました。総重量は37kgあります。ところが一度組み立ててしまえばキャスターで動くので、重さはまったく気になりません。掃除のときに動かすのも、座ったまま少し位置を変えるのも、抵抗なくすっと動きます。
搬入と組み立てのハードルと、置いてからの扱いやすさは別の話だ、ということです。

充電は「気づいたときに」で足りている
電動チェアで気になるのが充電の手間です。ここは拍子抜けするくらい問題になりませんでした。
夜の使っていない時間に、ときどき充電しているだけです。毎日切れるような感覚はありません。ファンを弱で使っているぶんには、充電を意識せずに使えています。使うのはスマホと同じUSB-Cケーブルなので、机の充電器から1本回せば済みます。
これはメーカーの公表値とも合っています。同じ3000mAhでも、AirFlowを弱で回し続ければ最大36時間、腰の前後調整をたまに行うだけなら最大1年とされています。電池を食うのはファンで、腰を動かすぶんにはほとんど減りません。私の使い方だとファンは夏場だけなので、充電を意識せずに済んでいるわけです。
バッテリーが切れたときに何が止まるのかも、はっきりさせておきます。リクライニングはバッテリーと無関係に動きます。倒すのも、体を起こしたときに背もたれが戻ってくるのも、電気を使っていないからです。一方でアームレストのボタンで操作するもの——AirFlow、マッサージ、腰の前後——は基本的に動かなくなります。つまり充電を切らしても、椅子として座れなくなるわけではありません。電動の便利さが一時的に使えなくなるだけ、という整理です。そのうえで前述のとおり充電の頻度は低いので、ここは実用上あまり心配しなくていいと思います。
良かった点・気になった点
ここまでに書いた内容と重なるので、要点だけまとめておきます。
良かった点
・腰の位置をボタンで前後させられる。集中とリラックスを座ったまま切り替えられて、1週間使っても毎日使っている
・AirFlowで夏場の暑さを気にしなくなった。敷いていた座布団が要らなくなった
・倒したあと体を起こすと背もたれが自動で戻ってくる。戻す手間がないから気軽に倒せる
・座面が太ももから膝まで柔らかく、それでいて腰が痛くならない
気になった点
・箱が大きく重い。搬入と、2〜3畳ぶんの床を空けての組み立てはそれなりの覚悟がいる
・強モードの音は、静かな部屋で単体なら分かる。無音の環境で作業する人は弱で使うことになる
・価格は正直に高い。セール時期を狙うかどうかで印象がかなり変わる
まとめ|どんな人におすすめか
高い投資かもしれません。ここは正直に書きます。
そのうえで、平日の毎日9時から5時ぐらいまで、ずっとデスクに向かって仕事をしている人なら、こういう椅子が1脚あるだけで、体の楽さと仕事への集中度がかなり変わってくると思いました。逆に、デスクに座る時間が1日1〜2時間という使い方なら、ここまでの装備は要らないかもしれません。座っている時間の長さが、そのまま元の取れやすさになる製品です。
私自身、取材などがない限りは朝9時ごろから夕方5時半ごろまで、休憩以外はずっとデスクに向かっています。腰の位置を自由に動かせて、リクライニングもできて、夏場の座面の暑さも解消できる。こうしたことがひととおりできるこのモデルは、高価ではあるものの非常にいいものだと思いました。
デスクワーク主体の仕事をしている人なら、長期的な視点で見れば買って損はないと思いますし、毎日使うものなので日割りで計算すれば、そこまで高く感じないかもしれません。

スマートウォッチで座りすぎや姿勢、ストレスを測っている人にとっては、測ったあとの打ち手になる椅子でもあります。数字を見て「気をつけよう」と思うだけで終わらせず、座ったまま姿勢を切り替えられる手段を持てるのが、この椅子のいちばんの価値だと感じています。
前の椅子に戻れるか
最後に、いちばん率直な答えを書いておきます。この椅子に変えて、めちゃくちゃ良かったと思っています。
前に使っていた椅子も、そんなに悪いものではありませんでした。それでも戻る気にはなりません。理由ははっきりしていて、腰の角度を自由に調整できることが何よりも便利だからです。同じ姿勢が続くデスクワーカーには、自信を持っておすすめしたいと思います。デスクまわりを整えるという意味では、長時間マウスを握る人向けのバーティカルマウスのような小さな見直しと、方向は同じです。
逆に、合わない人の条件もはっきりしています。まず推奨身長は153〜186cmなので、ここから大きく外れる場合は座面や背もたれの当たりが変わります。次に搬入と設置。三辺合計196cm・37kgの箱が届き、組み立てには2〜3畳ぶんの床が要ります。階段しかない住居や、常に片付いていない部屋だとここでつまずきます。そして充電という手間がゼロにはならないこと。頻度は低いとはいえ、電源まわりの管理が面倒に感じる人には向きません。1日1〜2時間しか座らない使い方でも、ここまでの装備は持て余すと思います。
Source: LiberNovo プレスリリース(PR TIMES)/LiberNovo 公式製品ページ
LiberNovo Omni Pro の価格と購入先
通常価格は229,000円(税込)。本記事の執筆時点では公式サイトのセール価格196,759円(税込)で、32,241円オフになっています。フットレストが付くスタンダードセット、予備バッテリーも付くプレミアムセットも用意されています。価格は時期によって変わるので、購入前に公式サイトで最新の価格を確認してください。
公式サイトで詳細を見る
あわせて読みたい関連記事
Apple Watch「スタンドの時間です!」通知とは?従うべき理由を早大教授の書籍で解説
Apple Watchのスタンドリマインダーを守るべき理由。立つだけで病気予防やダイエットの効果も
オフィスにも自宅にも映えるミニマルチェア、イトーキ「SHIGA」登場。発表直後からSNSで大反響
1日8時間マウスを握る人へ。韓国発の57°バーティカルマウス「Redbean A79R」
気が散る原因が音ではなく視界なら|サンワダイレクト、工具不要で挟むだけのフェルト製デスクトップパネル
「ただ歩くだけ」では足りない。1日15分の“速歩き”が血圧・血糖・メンタルを整える理由
はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、
記事の探し方ガイド
から目的別に読めます。











