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健康診断を受けても、血管そのものの負担を数字で教えてもらえることはまずありません。ところが2026年のSamsung Healthには、その血管への負荷を毎晩自動で記録してくれる項目が入っています。

2026年のアップデートで刷新されたSamsung Health。
それが「血管負荷」です。結果は数値ではなく、「高い」「順調」といった言葉で示されます。何を測っていて、その言葉をどう読めばいいのかを、筆者がGalaxy Watch Ultra2を実際に着けて計測したデータと一緒に解説します。
Galaxy Watchで測れるものの全体像と、それぞれが動き出す条件は、こちらにまとめています。
Galaxy Watchの健康機能がすごい|血管負荷・抗酸化指数・バイタルサインまで測れる。ただし自分で動かさないと測れないものがある
これらの機能を実際に1週間以上使い込んだレビューはこちらです。
Galaxy Watch Ultra2 実機レビュー|800mAh・最大80時間とダイビング対応、シリーズ最上位の実力を検証
血管負荷とは何を見ている機能なのか
まず、実機ではこう表示されます。

腕時計の画面。心拍数の下に血管負荷が並ぶ。
心拍数などと同じ並びに置かれていて、色と「順調」という一語だけが出ます。数値は出ません。ここが最初の戸惑いどころだと思います。
Samsung Healthアプリの説明によれば、血管系とは全身に血液を巡らせる血管のことで、その役割は酸素と栄養素を供給し、毒素を排出することだとされています。
そのうえで、血管系にかかる負荷やストレスの量をチェックすることは、全般的な健康状態を推察する有用な方法であり、持続的に高い血管負荷は、さまざまな慢性疾患と関連していると説明されています。
測定の仕組みについては、光電容積脈波(PPG)と呼ばれる、血流に関わる光信号を読み取る方式が使われています。血液量や血管の硬さの変化から、血管にかかるストレスの推移を分析する、という考え方です。腕時計の裏側にある緑色に光るセンサーが、心拍数を測るときと同じ原理で働いていると考えると分かりやすいと思います。
血管が硬くなる状態については、厚生労働省が動脈硬化を「動脈が硬くなって弾力性が失われた状態」と定義しています。血管負荷はこれを診断するものではありませんが、日々の数値が何に関係しているのかを理解する手がかりになります。
そのうえで、こう続きます。「血管系にかかる負荷やストレスの量を確認することは、全般的な健康状態をモニタリングする有用な方法であることが示されています。持続的に高い血管負荷は、さまざまな慢性疾患と関連しています」
注目したいのは「持続的に高い」という限定です。一晩だけ高く出たことを問題にしているのではなく、高い状態が続くことを見ています。毎日の数字を追いかける機能ではない、という前提がここにも表れています。
測定は睡眠中に自動で行われる
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着けて寝るだけで、夜のあいだに測られている。
血管負荷を記録する方法はシンプルです。時計を装着して睡眠をとると、自動的に測定されます。自分で何かを操作する必要はありません。後述する「基準」の設定が完了すると、Samsung Healthで結果を確認できるようになります。
ただし、正確に測るための装着のコツがアプリ内に細かく案内されています。夜のうちに済ませておく準備なので、まとめて挙げておきます。
・肌に汚れや水滴がないことを確認する
・時計の背面にあるセンサーを清潔に保つ
・時計は手首の関節部より2.5〜5cm上に装着する。この範囲の上の方に着けるほど測定値は正確になる
・しっかりと密着させて、センサーが肌から離れないようにする
・手首の毛の量が多い場合や、手首にタトゥー、皮膚炎、傷などがある場合は、その部分を避けて装着する
・就寝前は過度なアルコールの摂取を控える
手首の関節から2.5〜5cm上という指定は、普段の着け方より少し上になる方が多いはずです。血管負荷の数値が安定しないと感じたら、まずここを見直すのが近道です。
もうひとつ、見落としやすい前提があります。サムスンの資料によれば、血管負荷の測定には、直近14日間のうち3日以上、睡眠時にGalaxy Watchを装着している必要があります。たまに着けて寝るだけでは結果が出ません。今夜着けて明日の朝すぐ見られる機能ではない、と分かっていれば余計に悩まずに済みます。
いちばん分かりにくい「基準」という考え方
この機能で最初につまずくのが「基準」です。血管負荷は、絶対的な数値を出す機能ではありません。あくまで自分自身の基準と比べて高いか低いかを示すものです。
基準測定は、血管負荷の傾向を評価するために使われます。アプリの説明では、基準とは血管負荷の変動を比較し、理解するのに役立つ標準レベルだとされています。つまり、まず自分の平常値を機械に覚えさせて、そこからのズレを毎日見ていく、という設計です。
そのため、生活が大きく変わったときには基準を作り直す必要があります。アプリが例として挙げているのは、塩分摂取量を減らした、運動量を増やした、薬を飲み始めたといった変化です。こうした変化があった場合は基準をリセットすることで、最新の健康状態を反映した結果が得られると案内されています。
もうひとつ、見落としやすい注意があります。基準は時計とリンクしています。別の時計に変更すると、その時計であらためて基準を推定し直す必要があります。買い替えたり、複数台を使い分けたりしている方は覚えておいてください。
結果は5段階。数値ではなく「基準との比較」で示される
結果は、自分の血管負荷と基準測定との比較として表示されます。5段階に分かれており、真ん中が基準です。

実機の画面です。5段階が色分けされた横棒になっていて、中央の下に「基準」と書かれた目印があります。この日は緑の位置に丸いマーカーが立ち、「順調」と表示されました。文章の説明は「血管負荷が安定」「血管負荷が基準とほぼ同じでした」というものです。
5段階はそれぞれ、次のように定義されています。
| レベル | 内容 |
|---|---|
| 高い | 血管負荷が基準と比較して大きく増加しました |
| やや高い | 血管負荷は基準と比較して少し増加しました |
| 順調 | 血管負荷は基準に近い状態です |
| やや低い | 血管負荷は基準と比較して少し改善しました |
| 低い | 血管負荷は基準と比較して改善しました |
下には過去7日間の推移がグラフで並びます。縦軸は「高い」と「低い」だけで、目盛りの数字はありません。ここにも、絶対値を読ませる機能ではないという設計思想が出ています。
ここで大事なのは、「低い」が良い方向を意味していることです。血管にかかる負荷なので、少ないほうが望ましいという読み方になります。実際、筆者はマーカーが左寄りにあるのを見て、反射的に「低すぎるのでは」と不安になりました。歩数もスコアも睡眠の点数も、普段目にする数字はほとんどが「高いほど良い」なので、その目で見ると左寄りイコール足りていない、と読んでしまいます。血管負荷のバーは、左に寄っているほど良い状態です。
アプリは結果の受け止め方についても釘を刺しています。毎日の結果は、意義深いライフスタイルの調整を行い、血管負荷の推移を健康的な範囲内に保つための手がかりとして捉えてくださいという表現です。1日だけの数字に一喜一憂するのではなく、推移を見るための道具だという位置づけです。
血管負荷は「心臓の健康スコア」の一部でもある
ここまで血管負荷を単独の機能として見てきましたが、Samsung Healthのなかでは「心臓の健康スコア」という、もう一段大きい枠組みの構成要素にもなっています。血管負荷だけを見ていると気づきにくいので、ここも押さえておくと理解が早くなります。
心臓の健康スコアは、次の4つでできています。
| 要素 | 集計期間 | 目安とされる範囲 |
|---|---|---|
| 睡眠時間の平均 | 7日間 | 7〜9時間 |
| 中負荷から高負荷の運動 | 7日間 | 週150分(高負荷なら75分) |
| 血管負荷 | 直近7日間 | 基準の付近 |
| 肥満指数(BMI) | 直近90日間 | 18.5〜25.0 |
BMIは入力済みの体重と身長から算出されます。ただしこの欄が埋まるのは体組成を測ったあとで、体組成は自動では測られません。手動で時計のボタンに指を当てて測る必要があります。
Galaxy Watchの「体組成」とは? 時計のボタンに指を当てるだけで体重・骨格筋・体脂肪率が出る|測り方のコツと「DEXAと相関98%」の読み方

実機の画面がこちらです。4つそれぞれに実測値と最適な範囲が並び、青いハートが「非常に良い」、オレンジのハートが「注意が必要」を表しています。
この日の結果は次のとおりでした。
| 要素 | 実測値 | 判定 |
|---|---|---|
| 7日間の睡眠時間の平均 | 7時間19分 | 非常に良い |
| 7日間の中負荷から高負荷の運動 | 33分 | 注意が必要 |
| 血管負荷(直近7日間) | 順調 | 非常に良い |
| 肥満指数(BMI) | 23 | 非常に良い |
4つのうち3つが「非常に良い」で、運動だけが33分で「注意が必要」という結果です。目安の150分に対して5分の1ほどしかありません。
この並びを見て腑に落ちたことがあります。血管負荷そのものは良好なのに、心臓の健康という枠で見ると足りないものがはっきり出るということです。血管負荷は寝ている間に自動で記録されるので、着けて寝てさえいれば数字は貯まります。けれど運動量は、自分で体を動かさないかぎり増えません。
血管負荷の画面だけを見ていると「順調なら問題なし」で終わってしまいます。心臓の健康スコアまで開くと、次に何をすればいいかがはっきりするという関係です。運動の欄には「トレーニングを開始」というボタンまで置かれていて、そのまま運動記録に進めるようになっています。
アプリが示す目標の立て方も具体的でした。まずは毎週150分の運動を目標にし、すでに健康的な体である場合や健康が改善されてきている場合は、毎週5〜10分ずつ目標を上げていくという段取りです。いきなり150分を目指せと言われるより現実的だと感じました。
この心臓の健康スコアそのものについては、別の記事で詳しくまとめています。
Galaxy Watchの「心臓の健康スコア」とは? 4要素の中身と目標値|3つが最高評価でも運動24分で点数が伸びなかった話
何を変えると数値が動くのか

血管への負担は、日々の生活習慣が積み重なった結果として表れる。
アプリは「血管負荷は人それぞれです」としたうえで、モニタリングすべきライフスタイルの要素を挙げています。ナトリウムとカリウムの摂取量、血圧、ストレス、食事、感情、運動です。これらを見ていくことで、自分に最適な方法を見つけることができる、と説明されています。
この並びは、健康の一般論としても筋が通っています。厚生労働省の定義を借りると、ナトリウムは体内の浸透圧などを調整するミネラルで、日本人の摂取量は食塩の摂取量に依存しています。一方のカリウムは、ナトリウムの吸収を抑制し血管拡張を促進することで、血圧を低下させる役割があるとされています。
つまりこの2つがセットで挙げられているのは、塩分を減らすことと、カリウムを含む食品を摂ることが、血管への負担という点で表裏の関係にあるからです。数値を見ながら食生活を振り返る際の軸になります。
またストレスは、外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のことを指します。ストレスの原因そのものと、それに対する心身の反応の両方を含む言葉です。血管負荷が上がった日に何があったかを思い返すときは、食事だけでなくこちらも合わせて考える必要があります。
アプリの中に14本の解説が用意されている
血管負荷の画面には「教育コンテンツ」という項目があり、生活を見直すための解説が並んでいます。用意されているのは次の14本です。
ストレス、睡眠、運動、体重、血圧、回復、軽い運動、呼吸エクササイズ、マインドフルネス、ナトリウム、水分補給、カフェインとアルコール、DASHダイエット、食事のタイミング
ここにDASHダイエットが入っているのは注目に値します。DASHは高血圧を防ぐための食事法として知られている考え方で、野菜や果物、低脂肪の乳製品を増やし、塩分を控えるという内容です。血管負荷という機能が、単なる数値の表示ではなく食生活の改善まで見据えて設計されていることが分かります。
数値だけ見せて終わりにせず、次にやることまで用意しているのは、この機能の良いところだと感じました。
健康診断を待たずに、こういう数字を見られること
もうひとつ感じたのは、この手の数字を日常的に見られること自体の価値です。
血管にかかる負担なんて、健康診断でも直接は教えてもらえません。それを、医療機器ではないという前提つきではあっても、毎朝ながめられる形で持っておけるのは素直にいいことだと思いました。
正直に言えば、私はこの指標の存在すら知りませんでした。知らなかった軸で自分の体を見られるようになったというのが、使ってみての実感です。
これは医療機器ではない
重要な注意なので、アプリの表記をそのまま確認しておきます。
血管負荷モニタリングは、フィットネスおよび健康情報の目的としており、なんらかの疾病の診断や治療に使用することを意図するものではありません。健康について心配がある場合は、必ず医療専門家に相談してください、と案内されています。
血管負荷が続けて高く出るからといって、それ自体が何かの病気を示すものではありません。逆に低く出ているから安心だということでもありません。生活を振り返るきっかけとして使い、気になる症状があるときは医療機関を受診してください。
米国では終わった機能である、という前提
この機能には、ひとつ押さえておくべき事情があります。血管負荷は、米国では提供が終了しました。サムスンは米国のユーザーに対してこの機能を取りやめ、「血圧トレンド」という別の指標に置き換えると通知しています。適用時期は「One UI 9 Watchアップデートの一環」とされていました。
Galaxy Watchの「血管負荷(Vascular Load)」が米国で提供終了へ|One UI 9 Watchで「血圧トレンド」に置き換え
ところが、そのOne UI 9 Watchを搭載した日本国内モデルのGalaxy Watch Ultra2で、血管負荷は現在も動いています。実機のSamsung Healthから機能の説明ページを開くことができ、測定も行われています。米国と日本で扱いが分かれた形です。
冒頭に触れた話に戻ります。Samsungは米国において、Samsung Health 7.0とOne UI 9 Watchアップデートを機に血管負荷の提供を終了し、「血圧トレンド」へ置き換えると通知しました。理由は公表されていませんが、米国では一部のスマートウォッチ機能が医療機器のカテゴリーに該当し、FDA(米国食品医薬品局)の承認を必要とすることから、規制上の事情が背景にあるのではないかという見方が海外で出ています。
詳しい経緯は別の記事にまとめています。
Galaxy Watchの「血管負荷(Vascular Load)」が米国で提供終了へ|One UI 9 Watchで「血圧トレンド」に置き換え
日本のGalaxy Watch Ultra2では現在も使えていますが、この機能が今後も提供され続けるという保証はありません。米国では、無効化されると蓄積したデータがSamsung Health上に表示されなくなると案内されていました。ただしデータ自体は、Samsung Healthの「その他のオプション」から「設定」、「個人データのダウンロード」と進むことで書き出せます。
長く記録を続けている方は、今のうちに一度データを書き出しておくと安心です。使えなくなってから慌てるより、手元に残しておくほうが確実です。
まとめ
血管負荷は、腕時計を着けて寝るだけで毎晩自動的に記録され、自分の基準と比べて血管への負担が増えているか減っているかを5段階で示してくれる機能です。絶対的な数値ではなく自分の中での変化を見るもので、「低い」が良い方向を意味します。
数値を動かす要素として、塩分とカリウムの摂取量、血圧、ストレス、食事、感情、運動が挙げられており、アプリの中には14本の解説も用意されています。単に測って終わりではなく、次の行動まで示してくれる設計です。
そして血管負荷は、睡眠時間・運動量・BMIと並んで「心臓の健康スコア」を構成する4要素のひとつでもあります。実機では血管負荷を含む3つが「非常に良い」だったのに対し、運動だけが週33分で「注意が必要」でした。寝ているだけで貯まる数字と、自分で動かないと増えない数字が並ぶので、血管負荷の画面で満足せず、こちらまで開いてみることをおすすめします。
一方で、これは医療機器ではなく、病気の診断や治療に使うものではありません。そして米国では既に提供が終了しています。日本で使える今のうちに活用しつつ、記録が大事な方はデータの書き出しも考えておくとよさそうです。
本記事はサムスン電子ジャパン株式会社から貸与を受けた製品をもとに執筆しています。製品はレビュー後に返却しており、掲載内容について同社の事前確認は受けていません。
この記事で使っているGalaxy Watch Ultra2はこちらです。
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