Ouraが株式公開を申請、追う5社は何で勝負するのか? Ultrahumanは端末上のソフト、Circularは決済、Dreameはタッチパッド【海外ニュース】

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グレーの布地に立てて置かれた黒いスマートリング

スマートリングの代名詞といえるOura(オーラ)が、2026年9月3日に米国で株式公開を正式に申請しました。同社の勢いはいまがピークにも見えます。ところがその足元で、王座を狙う各社がそれぞれ違う角度から攻めはじめています。

海外メディアのTechCrunchが、Ouraを追う主要5ブランドを整理しました。読んでいて印象的だったのは、競争の軸が睡眠や健康の計測精度から、別のところへ移りつつあることです。

各社が何を武器にしているのか、そして日本で買えるのはどれなのかを合わせて見ていきます。

まずOura自身の数字を確認しておく

王座を守る側の状況から。TechCrunchによると、Ouraの数字は次のとおりです。

項目 内容
売上高 2026年6月30日までの9か月間で12億1,000万ドル(ほぼ倍増)
販売台数 過去1年で360万個
有料会員 約500万人
直近の動き 2026年9月3日に株式公開を正式申請

フィンランド発の同社は、2026年5月にIPOへ向けたS-1をSECへ秘密申請していました。今回の正式申請は、その続きにあたります。

製品面では、シリーズで最も薄く軽いOura Ring 5を6月に日本でも発売しています。数字も製品も、いまのところ隙は見えません。

Ultrahuman|特許訴訟で負けて、形を変えて戻ってきた

今回の5社でいちばん因縁があるのが、インドのUltrahuman(ウルトラヒューマン)です。

同社の米国事業は、2025年10月に米国際貿易委員会がOura側の主張を認める判断を下したことで大きな支障が出ました。特許紛争の結果、新しい在庫を米国へ輸入できなくなったのです。

そこで今年発表されたのが第3世代のRing Pro(479ドル)Ouraの特許を回避するために形状そのものを設計し直した製品で、米国では9月中旬から出荷が始まる予定です。

中身も変わっています。睡眠中の信号品質を高めることを狙った心拍センシング系の刷新と、新しいデュアルコアプロセッサーの搭載。後者はデータ収集の精度と、端末側での処理能力に効いてきます。

この「端末側での処理」が同社の狙いです。クアルコムのベンチャー部門などから7,000万ドルを調達し、指輪の上でソフトウェアを動かす構想を語っています。将来的にはAIとのやりとりやゲームまで、という話です。

Circular|指輪で決済する

フランスのCircular(サーキュラー)が打ち出したのは決済でした。

2027年前半に投入予定のRing 3シリーズ(ProとSlimの2モデル)は、NFCチップを内蔵してタッチ決済に対応します。加えて、指に着けたままの振動によるサイレントアラーム(音を鳴らさない目覚まし)や、リマインダー、健康状態の警告などにも対応するとしています。

Circularの説明では、上位のRing 3 Proは前モデルより薄くなったうえで、心房細動の検出に対応したFDA認可のECG(心電図)、血圧のトレンド追跡、血糖の追跡、詳細な睡眠解析といった機能を備えるとのこと。いずれも同社が予告している段階の機能で、価格は未発表です。

Circularは前世代のCircular Ring 2をすでに日本で発売しています。AIコーチ機能を持ち、サブスクリプション不要という設計でした。次のRing 3が同じように日本へ来るかは、まだ分かりません。

RingConn|血管の負担を見る

中国のRingConn(リングコン)は、Gen 3を2026年5月に349ドルから発売しています。

特徴は血管の健康に関する指標です。外部で測定した血圧の値で較正したうえで、センサーのデータから血管への負担の変化を経時的に評価する、という仕組みだとされています。

そのほか心拍数、血中酸素飽和度、睡眠、活動量、ストレスなどを計測。健康状態の変化や座りっぱなしの通知、バッテリー残量の警告に振動を使います。

TechCrunchは、Circularが振動を「伝える手段」として広く使うのに対し、RingConnは振動をおもに健康アラートの手段として使っていると整理していました。同じ振動でも位置づけが違う、という見方です。

RingConnについては、Gen 3・Gen 2・Gen 2 Airの違いを全項目で比較した記事がありますので、そちらもどうぞ。

サムスン|エコシステムは強いが、健康機能は物足りない

サムスンは2024年、大手テック企業として初めてスマートリングを出した会社です。Galaxy Ringは399ドル。

TechCrunchの見立てはこうです。すでにサムスンの製品を使っている人にとっては最有力候補といえるが、高度な健康・睡眠計測という点では他社より基本的だと。

具体的には、RingConn・Oura・Ultrahumanが持つ睡眠時無呼吸の検出や、Circular(次期のRing 3 Pro)とRingConnが挙げる心房細動の検出を備えていません。

ただしサムスンはGalaxy Ring 2の開発を認めており、次で埋めてくる可能性はあります。

Dreame|指輪にタッチパッドを載せる

ロボット掃除機で知られるDreame(ドリーミー)も、今年スマートリングに参入しました。

アラーム・着信・メッセージなどの触覚アラートに加えて、小さなタッチパッドを搭載。曲送りやスマートフォンでの撮影といった操作ができるとされています。心拍数、血中酸素、心拍変動、睡眠解析なども備えるとのこと。価格と発売時期は未発表です。

Dreameの製品づくりについては、ロボット掃除機のハイエンド機を実際に自宅で使ったレビューもあります。同社が家電で積み上げてきたものが、指輪にどう出るのかは気になるところです。

競争の軸が「スマホ化」に向かっている

灰色の面に置かれた黒いスマートリング。内側にセンサーとみられる部品が見えるイメージ画像

ここまで並べて見えてくるのは、競争が健康計測の精度だけの話ではなくなっていることです。決済、触覚通知、タッチパッド、端末上でのソフトウェア実行。

TechCrunchはこれを、2グラムのチタンの輪にどれだけスマートフォンらしい機能を詰め込めるかの競争だと表現していました。画面を持つ指輪もすでに存在します(いまのところインドでのみ販売されているPebble Halo)。

そのうえで、記者は皮肉も添えています。スマートリングの当初の魅力は、スマートウォッチやスマホより押しつけがましくないことだったはずだ、と。画面から離れていても健康を見ていられる、という点にこそ価値があった。この調子で進むと、指に小さなスマートフォンをはめることになりかねない、という指摘です。

これは的を射た見方だと思います。画面のないウェアラブルが伸びてきた背景には、通知から距離を置きたいという需要がありました。そこへ通知と操作を戻していけば、選ぶ理由そのものが変わってきます。

いま買えるもの、これから出るもの

TechCrunchの記事は米国市場が前提で、価格もすべてドル建て・米国基準です。日本の読者にとって重要なのは、そもそも手に入るのかどうか。発売状況を整理すると次のようになります(日本での取り扱いは、各社の日本向け発表をあらためて確認してください)。

ブランド 製品(価格は米国基準) 状況
Oura Oura Ring 5 発売中。日本でも2026年6月に発売済み
Ultrahuman Ring Pro(479ドル) 米国で9月中旬に出荷予定。日本での展開は未発表
Circular Ring 3シリーズ 2027年前半に投入予定(対象市場は未発表)。前世代のRing 2は日本でも発売済み
RingConn Gen 3(349ドル) 2026年5月に発売済み
サムスン Galaxy Ring(399ドル) 2024年に発売(米国)
Dreame スマートリング 価格・発売時期とも未発表

もうひとつ付け加えておくと、この5社のリストには日本のメーカーが入っていません。ただ国内にはSOXAIがあり、幅5.19mmという新型のSOXAI RING Xを予告しています。世界の競争軸とは別に、国内には国内の選択肢があります。

まとめ

Ouraが2026年9月3日に株式公開を申請しました。9か月で12億1,000万ドル、年間360万個、有料会員約500万人という数字を背景にした動きです。

一方で追う側は、それぞれ違う武器を持ち出しています。Ultrahumanは端末上でのソフトウェア実行、Circularは決済、RingConnは血管の指標、サムスンはエコシステム、Dreameはタッチパッド。正面から睡眠計測の精度で殴り合う、という構図ではなくなりました。

選ぶ側からすると、比較はむしろ難しくなっています。自分がスマートリングに何をさせたいのかを先に決めておかないと、機能表を眺めても答えが出ません。画面から離れたくて選ぶのか、スマホの一部を指に移したいのか。この2つは、まったく別の買い物です。

Source: TechCrunch「Oura is going public, but these smart ring companies are coming for its crown」(2026年9月5日)/記事中の画像はイメージです(出所:Unsplash)

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