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健康の数値は、たいてい「正常値」と比べられます。ところが2026年のSamsung Healthに入った仕組みは、そこが違いました。比べる相手が、他人の平均ではなく自分の普段の状態なのです。

2026年のアップデートで刷新されたSamsung Health。
それが「バイタルサイン」です。寝ている間に5つの数字が測られ、自分から操作する必要はありません。
ただし基準ができあがるまでに「7夜」かかります。ここを知らないと、しばらく数字が出ない理由が分からないまま終わってしまいます。筆者がGalaxy Watch Ultra2を実際に着けて計測したデータと一緒に、順番に解説します。
Galaxy Watchで測れるものの全体像と、それぞれが動き出す条件は、こちらにまとめています。
Galaxy Watchの健康機能がすごい|血管負荷・抗酸化指数・バイタルサインまで測れる。ただし自分で動かさないと測れないものがある
これらの機能を実際に1週間以上使い込んだレビューはこちらです。
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バイタルサインとは、睡眠中に測られる5つの指標のこと
まず、実機ではこう表示されます。

腕時計の画面。5本のうち1本がオレンジになっている。
5本のバーと、その日の判定が一行。朝起きて手首を返せば、その晩の結果がすぐ分かります。この5本が何なのかから見ていきます。
サムスンの説明では、バイタルサインとはGalaxyのウェアラブル端末が睡眠中に測定する5つの指標を指します。内訳は次のとおりです。
・心拍数:寝ている間の脈の速さ
・心拍数変動(HRV):心拍の間隔のゆらぎ
・呼吸数:1分あたりの呼吸の回数
・皮膚温度:手首で測る肌の温度
・血中酸素レベル(SpO₂):血液中の酸素の量
いずれも、起きて動いている間ではなく眠っている間の状態を見ています。日中は歩いたり階段を上ったりで数値が動きますが、寝ている間は条件が揃うので、日ごとの比較がしやすいという理屈です。
対応するのはGalaxy Watchだけではありません。Galaxy Ringを着けて眠った場合も同じように測定されます。
なお、睡眠そのものの採点は「睡眠スコア」という別の機能が担当しています。バイタルサインが体の状態を見るのに対して、あちらは眠りの質を100点満点で示します。
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いちばん大事な仕組みは「自分の基準と比べる」こと
この機能を理解するうえで、ここがいちばんの肝です。
バイタルサインの5つのうち、血中酸素レベルだけは一般的な健康基準の範囲と比べます。いっぽう残りの4つは、まず「あなたの基準」を作ったうえで、その基準と比べます。
つまり「心拍数55は速いのか遅いのか」を世間の平均で判定するのではなく、あなたが普段どのくらいで眠っているかを先に学習して、そこからずれているかどうかを見るということです。
人によって普段の心拍数も呼吸数も違いますから、この作り方は理にかなっています。ただ、そのぶん使い始めてすぐには機能しません。
7夜以上つけて寝ないと始まらない
個人の基準を作るために、サムスンは7夜以上の装着を求めています。しかもアプリには、こう書かれています。
「就寝時にデバイスを装着する期間が長くなるほど、基準がより正確になります」
7夜はあくまで最低ラインで、続けるほど精度が上がるという考え方です。すでに睡眠データが記録されている場合は、そのデータを使って基準が設定されます。
ここが、この機能でいちばんつまずきやすいところだと思います。買ったその日に開いても、比較すべき基準がないので判定は出ません。「壊れているのでは」と疑う前に、1週間続けて着けて寝てみてください。
逆に言えば、この機能は「毎晩つけて寝る人」のための機能です。運動するときだけ着ける使い方では、そもそも土俵に乗りません。
ちなみに、待っているあいだに不安になることはありませんでした。測れていないのではなく基準を作っている最中なのだと分かっていれば、気にせず着けて寝るだけです。そう考えると、7夜という条件は待つというより初期設定の一部に近いのかもしれません。
実際の画面はこうなる。「全て範囲内」と「1件が範囲外」

夜のあいだに測られた数値を、翌朝に確認する。
基準ができあがると、毎朝、前の晩の結果が5本のバーで表示されます。実機の画面を並べます。

左が、5つとも基準に収まっていた日です。「全て範囲内」と青字で出て、5つのアイコンがすべて青くなります。文章の説明も「普段の範囲から外れたバイタルサインはありませんでした」というだけの、あっさりしたものです。
右が、1つだけ外れた日です。「1件が範囲外」とオレンジで出て、該当する指標のアイコンだけがオレンジに変わります。この日は呼吸のアイコンが色を変えていました。
この判定に気づくために、わざわざバイタルサインの画面を開く必要はありません。

時計のホーム画面。睡眠スコアの下に「2件が範囲外」と出ている。
時計の画面を下にたどっていくと、睡眠スコアや心拍数と並んで、その朝の結果が出ています。範囲外があった日はカードの色が変わるので、気づいてから詳しく見にいくという流れになります。この日は2件が範囲外でした。
注目したいのは、範囲外だったときに何が書かれるかです。
「呼吸が遅めでした。このパターンは、リラックスしているときや特定の薬を服用しているときに起こることがあります。このバイタルサインを継続的に記録すると、これが良い変化かどうかを判断することができるでしょう」
「異常です」とも「病院へ行ってください」とも書きません。考えられる理由をいくつか挙げて、判断は続けて記録することに委ねる、という書き方です。この距離感は意図的なもので、アプリ内にも「これらは一般的な提案であり、特定の健康状態に特化したものではない」と明記されています。
実際に「1件が範囲外」と出た朝は、正直なところ少し不安になりました。ただ画面の説明を読んで、最近疲れが溜まっている自覚もあったので、まあそんなものかな、と受け止められました。断定せずに理由の候補を並べてくる書き方は、この距離感でちょうどいいのだと思います。
そのうえで考えたのは、これが2日も3日も続くようなら話は別だということです。1日の判定に振り回される必要はありませんが、同じ項目が何日も外れ続けるなら、他の体調も気にしてみる、場合によっては医療機関に相談してみる。そういうきっかけとして使うのが、この機能のいちばん現実的な使い道だと感じました。
1つずつの数字も見られる
5本のバーの下には、指標ごとの実測値と基準の範囲が並びます。

左が一覧です。実際に計測された数値と、その人の基準範囲がセットで出ます。この日の記録は次のとおりでした。
| 指標 | 実測値 | 個人の基準範囲 |
|---|---|---|
| 心拍数 | 55 bpm | 53〜58 bpm |
| 心拍数変動(HRV) | 55 ms | 38〜74 ms |
| 呼吸数 | 12.7 回/分 | 12.5〜12.9 回 |
| 皮膚温度 | +0.3℃ | -1.3〜+1.4℃ |
| 血中酸素レベル | 93% | 90%以上 |
皮膚温度が「+0.3℃」と相対値で出ているところに、この機能の性格がよく表れています。体温そのものではなく、いつもの自分から何度ずれたかを見ているわけです。
気づいたのは、基準範囲の広さが指標によってまったく違うことです。呼吸数は12.5〜12.9回とわずか0.4回幅しかないのに対して、心拍数変動は38〜74msと倍近い開きがあります。もともとブレやすい指標は範囲を広く、安定している指標は狭く取っている、ということだと思われます。
だからこそ、呼吸数はわずかな差で「範囲外」に振れます。先ほどの範囲外だった日は12.4回で、下限の12.5回をたった0.1回下回っただけでした。
各指標をタップすると詳細画面に移ります。右がその例で、その日の数値、標準範囲、過去7日間の推移が並びます。1日の数字に一喜一憂するのではなく、線の傾きを見る画面だと考えたほうがよさそうです。
数字が動く理由として挙げられていること
アプリには、5つの指標それぞれについて解説が用意されています。「睡眠時心拍数」「睡眠時心拍数変動(HRV)」「睡眠中の呼吸数」「睡眠中の皮膚温度」「睡眠中の血中酸素レベル」の5本です。
指標が範囲から外れたときは、その理由についての一般的な考え方と、役立つヒントが示されます。前述の呼吸数の例のように、ストレスの状態や服薬、体調の変化などが候補として挙がる形です。
数字を動かしたいのであれば、特別なことをするより寝る時間を揃える、寝る前の飲酒を控える、部屋の温度を整えるといった、睡眠そのものを安定させる方向が近道になります。深い睡眠やレム睡眠の質が変われば、そこで測られる5つの数字も一緒に動くからです。
指標の選び方に納得感がある
5つの顔ぶれを見て、よく考えられているなと思いました。
心拍数変動(HRV)は、スマートウォッチに限らず体の状態を見るときによく使われる指標です。それが入っているのは素直に納得できます。呼吸数をきちんと測ってくれるのも良いところで、自分で数えようとすると意識してしまって正確に測れない項目です。寝ている間だからこそ意味を持つ数字が選ばれています。
よく似た機能がApple Watchにもある
この設計、Apple Watchを使っている方は見覚えがあるかもしれません。Apple Watchにも「バイタル」という、ほぼ同じ考え方の機能があります。睡眠中に測った値を自分の普段の範囲と比べて、範囲内か範囲外かを示すという骨格は共通です。
ただ、細かいところは違います。
| 項目 | Galaxy Watch | Apple Watch |
|---|---|---|
| 測る指標 | 心拍数/心拍数変動/呼吸数/皮膚温度/血中酸素 | 心拍数/呼吸数/手首皮膚温度/血中酸素/睡眠時間 |
| 範囲外の扱い | 1件でも「1件が範囲外」と表示 | 既定では2つ以上が範囲外のときに通知 |
| 基準づくり | 7夜以上と明記 | 公式には具体的な夜数の記載なし |
いちばんの違いは心拍数変動と睡眠時間の入れ替わりです。Galaxyは心拍数変動を5つのうちに入れ、睡眠時間は睡眠スコアの側で扱います。Appleは睡眠時間を5つに含める代わりに、心拍数変動は入っていません。
もうひとつ、Galaxyのほうが1件から知らせてくるのも性格の違いです。小さな変化にも気づける代わりに、オーバーに受け取らない読み方が要ります。
これは検査ではない
大事な前提なので、はっきり書いておきます。
アプリ内には「バイタルサインは健康増進のみを目的としており、なんらかの医学的状態を診断または治療するものではありません」と明記されています。
腕時計で測る以上、精度には限界があります。バンドの締め具合、寝返り、腕の位置でも数値は変わります。「範囲外」が出たからといって、それ自体が体の異常を意味するわけではありません。
使い道として現実的なのは、いつもと違う状態が何日か続いたときに気づくきっかけにすることです。そのうえで気になることがあれば、記録を持って医療機関で相談する。サムスン自身も「普段とは違う状態が続く、または不安を感じる場合は、医療専門家に相談することをおすすめします」と書いています。
まとめ
Galaxy Watchのバイタルサインは、寝ている間に測られる5つの数字を、自分の普段の状態と比べて見せてくれる機能です。
ポイントを整理します。
・測るのは心拍数、心拍数変動、呼吸数、皮膚温度、血中酸素レベルの5つ
・測定は睡眠中に自動で行われ、自分から操作する必要はない
・ただし個人の基準ができるまで7夜以上つけて寝る必要がある
・血中酸素だけは一般的な健康基準、残り4つは自分の基準と比べる
・Galaxy Ringでも同じように測れる
・診断ではなく、変化に気づくための材料
スマートウォッチの健康機能には、自分から測りにいかないと動かないものが少なくありません。そのなかでバイタルサインは、着けて寝ているだけで勝手に貯まっていくという点で扱いやすい部類です。最初の1週間さえ越えてしまえば、あとは毎朝ながめるだけで済みます。
本記事はサムスン電子ジャパン株式会社から貸与を受けた製品をもとに執筆しています。製品はレビュー後に返却しており、掲載内容について同社の事前確認は受けていません。
この記事で使っているGalaxy Watch Ultra2はこちらです。
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