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2026年10月28日にAppleが発表した有機ELでタッチ対応のMacBook Proは、発表の前にBloombergのマーク・ガーマン記者が報じていたとおりの内容でした。Appleの新製品のうわさを追っていると、「Bloombergのガーマン記者によると」という書き出しを毎週のように目にします。スマートウォッチライフでも、Apple Watchのデザインや新しいアプリなど、ガーマン氏の報道をもとにした記事をこの半年だけで10本以上出しています。
この記事では、ガーマン氏がどんな経歴の記者なのか、なぜ報道がよく当たるのか、そしてスマートウォッチライフで取り上げた報道が実際にどうなったかを整理します。当たったものと外れたものの両方を挙げ、最後に、報道を読むときに見ておきたい言い回しの違いも紹介します。
マーク・ガーマン氏はBloombergでAppleを担当する記者
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— Mark Gurman (@markgurman) May 4, 2026
マーク・ガーマン(Mark Gurman)氏は、米国の経済メディアBloomberg(ブルームバーグ)の記者です。Bloombergの記者ページでは、消費者向けテクノロジーを担当するチームの編集責任者(マネージングエディター)で、Appleと消費者向けハードウェアの企業を担当する主任記者と紹介されています。
2025年2月には、Bloombergの消費者向けテクノロジー担当のマネージングエディターに就いたと、メディア業界のニュースサイトTalking Biz Newsが伝えています。いまは自分で記事を書きながら、Appleやスマートフォン、ウェアラブルなどを担当する記者のチームも率いている立場です。
日本の報道では「ガーマン氏」「グルマン氏」と表記が分かれますが、同じ人物です。スマートウォッチライフでは「マーク・ガーマン」と表記しています。
Source: Bloomberg、Talking Biz News
高校時代に9to5Macで書き始め、2016年に22歳でBloombergへ

ガーマン氏は米カリフォルニア州の南部で育ち、ロサンゼルスの高校に通っていたころから、Appleのニュースサイト「9to5Mac」で記事を書き始めました。創業者のセス・ワイントラウブ氏が、高校2年(米国の10年生)だったガーマン氏を記者として迎えています。
2009年の終わりには、Appleにつながる「islate.com」というドメインの登録を見つけています。ガーマン氏自身も2017年のインタビューで「AppleがiPadを作っていることを示すドメイン名を見つけた」と振り返っています。Appleが初代iPadを発表したのは、その直後の2010年1月です。製品名は「iSlate」ではありませんでしたが、タブレットが出るという読みは当たりました。
ミシガン大学に進んでからも9to5Macでの仕事を続け、2014年には地元の公共ラジオMichigan Publicが「Appleのスクープで6桁(10万ドル以上)を稼ぐ20歳の学生」として紹介しています。この記事では、米国のテクノロジー記者カラ・スウィッシャー氏が「彼はAppleが本当に好きだが、応援団ではない」と評しています。
9to5Mac時代には、米TIMEの「ベストブロガー25人」(2013年)、米Wiredの「テクノロジー業界で知っておくべき16人」(2013年)、米Forbesの「30歳未満の30人」(2015年・メディア部門)に選ばれました。
2016年にミシガン大学の情報学部を卒業すると、同じ年の6月にBloombergへ移りました。22歳のときです。当時の編集責任者は社内向けの通知で、Appleとそのライバル企業の消費者向け製品を担当すると伝えています。そこから10年近く、BloombergでAppleを追い続けています。
Source: Michigan Public、Cult of Mac、Talking Biz News、Columbia Journalism Review
毎週日曜のニュースレター「Power On」が報道のおおもと
ガーマン氏の報道でいちばんよく引用されるのが、2021年6月に始まった週1回のニュースレター「Power On」です。第1号は2021年6月27日(日)で、いまも米国時間の日曜に届きます。日本では日曜の夜から月曜の朝に届きます。
Power Onは無料で登録できますが、Bloombergの有料会員には数時間早く届き、読者の質問にガーマン氏が答えるQ&Aの欄も付きます。MacRumorsや9to5Macなどの海外メディアは、このニュースレターや、平日にBloombergに出る記事、ガーマン氏のX(旧Twitter)への投稿を引用して記事を書いています。
スマートウォッチライフの記事で「MacRumorsが、Bloombergのガーマン氏の報道として伝えた」と書いているものは、多くがこの流れです。もとをたどるとPower Onに行き着くことがよくあります。
的中率は約9割と集計され、当たる理由は情報源の広さと守り方にある
Appleのうわさを集計している「AppleTrack」というサイトは、情報源ごとに、報じた内容が実際に当たったかどうかを記録しています。米Macworldが2021年4月に紹介した時点で、ガーマン氏の的中率は89.1%でした。AppleTrackの数字は集計の時期で動きますが、ガーマン氏はおおむね80%台後半で、報道の本数が多いのに的中率が高い情報源とされています。
よく当たる理由として、これまでの取材記事からは次の4つが読み取れます。
1. Appleの社内だけに頼らない:2012年、18歳のガーマン氏を取り上げた米Fortuneの記事で、9to5Macのワイントラウブ氏は「Appleの社内の情報源から出る記事もあるが、大半はそうではない」と話しています。Appleが公開しているベータ版のサイトや開発者向けの資料を読み込み、アプリの開発者や部品メーカーの人たちに何度も話を聞いて積み上げる取材だったといいます。同じ記事では、2012年5〜6月のガーマン氏の予測8件のうち、iOS 6でGoogleマップをやめて自前の地図アプリに変えること、Retinaディスプレイの薄いMacBook Proなど7件が当たっていました。
2. 開発者と同じ言葉で話せる:2014年の米Columbia Journalism Reviewの記事によると、ガーマン氏はSNSで情報源を見つけ、その人や友人とつながるのが「見事」だとワイントラウブ氏は評しています。プログラミングの知識もあり、あるアプリ開発者は「彼は自分たちの言葉で話せる」と話しています。
3. 情報源を守る:同じ記事では、iPhoneのヘルスケアアプリの画面を報じたとき、元のスクリーンショットを載せずにPhotoshopで作り直したと紹介されています。Appleは画像に流出元を特定する目印を入れている可能性があるためです。ガーマン氏は「記事のために誰かが捕まるようなことがあってはいけない」と話しています。情報源が安心して話せることが、次のスクープにつながっています。
4. 確かめてから出し、言い切りすぎない:iPhone 4SとSiriのスクープでは、情報源以外の人もその端末を見たり試したりできるまで、数日待ってから記事にしたといいます。米Macworldは2021年の記事で、最近のガーマン氏の記事は細かい点を書きすぎず、「年内に少なくとも1つ新しいMacBookを出す計画」のように幅を持たせた言い方が多いとも指摘しています。外れにくい書き方をしていることも、的中率の高さにつながっています。
つまり、ガーマン氏の的中率は、Appleの中の一人の協力者によるものではありません。資料・開発者・部品メーカー・社内の関係者と情報源を広く持ち、守りながら、確かめてから出すという取材を15年以上続けてきた結果です。
Source: Macworld、Fortune、Columbia Journalism Review
当たった報道:Apple Watchの準備度とMacBook Proの有機EL

スマートウォッチライフで取り上げたガーマン氏の報道のうち、2026年の発表で答え合わせができたものを3つ挙げます。
Apple Watchの「Readiness」アプリ:ガーマン氏は2026年9月8日(米国時間)、翌日の発表会でApple Watchに「Readiness」アプリが加わると予告しました。狙いはWHOOPやOuraのソフトウェアに対抗するためだとしています。実際に9月18日に発売されたApple Watch Series 12には、その日の調子を0から10で示す「準備度」が入りました。
Apple Watch Series 12は中身の進化が中心:2026年7月のPower Onで、ガーマン氏は今年のApple Watchに大がかりなデザイン変更はなく、新しいチップと健康機能の強化が中心になると伝えました。6月ごろにはデザインの全面刷新やTouch IDのうわさも出ていましたが、発表されたSeries 12の目玉は、作り直した裏ぶたのセンサーと準備度でした。
有機ELでタッチ対応のMacBook Pro:10月28日の発表の前に、ガーマン氏は新しいMacBook Proが有機ELのタッチ対応画面になり、ノッチの代わりにDynamic Islandを採用し、今より軽くなると報じていました。Appleが発表したMacBook Proは、有機ELの「PROLED XDRディスプレイ」でタッチ操作に対応し、Dynamic Islandが入り、14インチで1.38kgになりました。
外れた報道:折りたたみiPhoneの発売時期と名前
的中率が9割近くあるということは、1割ほどは外れるということでもあります。分かりやすいのが、Appleの折りたたみiPhoneです。
2026年9月初め、日経アジアが「折りたたみiPhoneの生産は1日数百台にとどまっている」と報じた同じ週に、ガーマン氏は「iPhone 18 Proと同時か、ごく近いタイミングで発売される」「大きな遅延やサプライチェーンの問題があるとは思わない」と見ていました。実際には、iPhone 18 Proの発売(9月18日)から約1か月あとの10月23日に、名前も「iPhone Ultra」ではなく「iPhone Duo」として発売されています。
ガーマン氏の報道は、Appleの社内の計画を伝えるものです。計画そのものが途中で変われば、報道の時点では正しくても結果はずれます。発売時期や名前のように直前まで動くものほど、外れることが多くなります。
ガーマン氏は関係者への取材、クオ氏は部品の調査、リーカーはSNSの投稿が出どころ
Appleのうわさには、ガーマン氏のほかにもよく名前の出る情報源があります。違いを知っておくと、同じ製品のうわさが食い違ったときに読みやすくなります。
マーク・ガーマン氏(Bloomberg):記者として、Appleの計画を知る関係者に取材して書きます。製品の機能や発表の時期、社内の組織や人事まで、扱う範囲が広いのが特徴です。
ミンチー・クオ氏(TF International Securitiesのアナリスト):部品メーカーなどサプライチェーンの調査をもとに、生産台数や部品、発売時期の見通しを出します。投資家向けの分析なので、数字が多いのが特徴です。
WeiboやXのリーカー:中国のSNS「Weibo」のDigital Chat Stationなど、部品や工場の情報を投稿する人たちです。当たることもありますが、出どころがはっきりしないものや、以前のうわさの再投稿も混ざります。
スマートウォッチライフでも、Apple Watch Ultra 4の薄型化のうわさのように、リーカーの説とガーマン氏の報道が正反対になったことがあります。こうしたときは、どちらが誰の話なのかを分けて書くようにしています。
「計画している」と「検討している」で確度が変わる
ガーマン氏の報道は、言い回しで確度を書き分けています。日本語に訳すと似た表現になりがちですが、英語の原文では次のような違いがあります。
・「Apple is planning」「is preparing」(計画している・準備している):発売に向けて動いている段階。時期も添えられていることが多い
・「is testing」「is developing」(試している・開発している):社内で作っているが、製品になるかはまだ決まっていない
・「is considering」「is exploring」(検討している・探っている):構想の段階。見送られることも多い
たとえば「画面のないApple Watch」については、Bloombergは製品化が決まっていないと伝えていました。同じ「ガーマン氏が報道」でも、どの言い回しで書かれているかを見ると、どこまで期待してよいかが分かります。
Appleのうわさは、出どころと言い回しを見るだけで、ずいぶん読みやすくなります。スマートウォッチライフでは2週間ごとの土曜に、ガーマン氏の報道を含むAppleのうわさをまとめていますので、あわせて読んでみてください。
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