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iPhoneの「ヘルスケア」アプリには、不安障害とうつ病のリスクを16問の質問票でチェックできる機能があります。iOS 17から加わった「心の健康状態」の機能のひとつで、13歳以上なら誰でも無料で使えます。
質問は医療現場でも使われている国際的な質問票がもとになっていて、答え終わるとすぐにリスクの段階が表示されます。ただ、ヘルスケアアプリの奥にあるため、存在を知らない方も多いと思います。
実際に16問すべてに答えてみると、回答は2分ほどで終わりました。結果の画面には診断ではないことがはっきり書かれていて、そのあとに読める記事や相談窓口まで用意されています。
この記事で分かることは4つです。
| トピック | 分かること |
|---|---|
| 質問の中身 | どんな質問が何問あり、どう答えるのか |
| 結果の見方 | 答え方で点数と段階がどう変わるのか |
| 使うタイミング | どんなときに回答すると役に立つのか |
| 結果が出たあと | 段階ごとに次に何をすればいいのか |
質問票の画面と結果の画面を見ながら、1つずつ確認していきます。
質問票はヘルスケアの「心の健康状態」から開く

質問票は、ヘルスケアアプリの「ブラウズ」→「心の健康状態」から開きます。不安障害とうつ病の両方をまとめて受けるときは、画面を下にスクロールして「質問票に回答」をタップします。どちらか一方だけなら、「不安障害リスク」または「うつ病リスク」を選んでから「質問票に回答」です。
最初の画面で年齢の確認があり、「13歳以上」にチェックを入れて「開始」を押すと質問が始まります。この時点で「質問票の結果は診断ではありません」と注意書きが出ます。
質問はすべて「この2週間、次のような問題にどのくらい頻繁に悩まされていますか?」という問いかけに対して答える形式です。選択肢は「全くない」「数日」「半分以上」「ほとんど毎日」の4つから選びます。今日の気分ではなく、2週間をふり返って答えるのがポイントです。
前半7問は不安・後半9問は気分の落ち込みを聞く

16問は、2つの質問票を続けて答える構成になっています。アプリ内の解説記事によると、不安障害には「GAD-7」、うつ病には「PHQ-9」という質問票が使われています。どちらも世界中の医療機関で使われている、標準的なスクリーニング用の質問票です。
質問1〜7が不安についての質問(GAD-7)で、「緊張感、不安感または神経過敏を感じる」「心配することを止められない」「くつろぐことが難しい」といった内容です。
質問8〜16は気分の落ち込みについての質問(PHQ-9)で、「物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない」「寝付きが悪い、途中で目がさめる、または逆に眠り過ぎる」「疲れた感じがする、または気力がない」など、睡眠や食欲、集中力の変化まで含まれます。
最後の質問16だけは(任意)と書かれていて、答えずに進めることもできます。死や自分を傷つけることについて聞く質問です。この質問の扱いは、あとの「結果が出たあとにすること」で詳しく触れます。
全問「全くない」で答えると結果は2つとも「最小」

今回は16問すべてを「全くない」で答えました。結果は、不安障害リスク・うつ病リスクともに「最小」。バーのいちばん左の段階に印が付き、「回答は現時点であまり不安症状がないことを示しています」「回答は現時点であまり抑うつ症状がないことを示しています」と表示されました。
バーの両端には点数の範囲が書かれています。不安障害リスクは「なし(0〜4)」から「重度(15〜21)」までの4段階、うつ病リスクは「なし(0〜4)」から「重度(20〜27)」までの5段階です。
結果画面の下には「PDFとして書き出す」ボタンがあります。医療機関で相談するときに、この結果をそのまま見せられます。
点数は1問0〜3点の足し算で決まる
アプリには合計点そのものは表示されませんが、仕組みはシンプルです。GAD-7とPHQ-9はどちらも、選択肢ごとに点数が決まっています。
| 選択肢 | 点数 |
|---|---|
| 全くない | 0点 |
| 数日 | 1点 |
| 半分以上 | 2点 |
| ほとんど毎日 | 3点 |
不安は7問なので0〜21点、気分の落ち込みは9問なので0〜27点になります。結果画面のバーの端に書かれていた「15〜21」「20〜27」は、この合計点のことです。一般的に使われている区切りは次のとおりです。
| 合計点 | 不安(GAD-7・7問) | 気分の落ち込み(PHQ-9・9問) |
|---|---|---|
| 0〜4点 | 最小 | 最小 |
| 5〜9点 | 軽度 | 軽度 |
| 10〜14点 | 中等度 | 中等度 |
| 15〜19点 | 重度(15〜21点) | 中等度〜重度 |
| 20点以上 | 重度(20〜27点) |
たとえば不安の7問すべてに「数日」と答えると、7問×1点で7点。「軽度」の段階に入ります。7問すべて「半分以上」なら14点で「中等度」、1問でも「ほとんど毎日」が混ざれば15点を超えて「重度」の範囲です。1つひとつは「たまにある」程度の答えでも、積み重なると段階が上がることが分かります。
結果画面のあとに医師へ相談する目安が読める

結果画面の「次のステップ」からは、「心の健康に関する記事」が読めます。質問票の目的、結果の意味、医師の診察を受けるタイミング、心の健康を保つためのセルフケアまで、1本の長い記事にまとまっています。
「結果の意味」の項目では、質問票では症状を診断できず、診断できるのは医師だけだとくり返し書かれています。そのうえで、うつ病では気分が落ち込むだけでなく、怒りっぽくなることもあると補足されていました。質問6の「いらいらしがちであり、怒りっぽい」は不安の質問に入っていますが、気持ちの変化は落ち込みだけの形で出るとは限らないということです。
不安症(不安障害)がどのような状態を指すのかは、厚生労働省の不安症 / 不安障害の解説も参考になります。
医師に伝える準備と注意したい7つの兆候も書かれている

記事の中には、医師や医療チームに伝えるべき共通の兆候として7つの項目が挙がっています。日々のストレスにうまく対処できない、友達や家族や活動を避ける、食べ過ぎや少食・眠り過ぎや睡眠不足といった変化などです。頭痛や腹痛など体の痛みとして表れることもある、と書かれているのも見落としたくない点です。
受診するときの準備もまとめられていました。気分・睡眠・食欲の変化と、それがいつから続いているかのリスト、転職や結婚などの大きな出来事、以前の診断、服用している薬やサプリメントを書き出しておく、という4つです。質問票のPDFと合わせて持っていけば、限られた診察時間でも状況を伝えやすくなります。
今すぐ相談したいときは「こころの耳」につながる

記事のところどころには「こころの耳」の「発信」「ウェブサイト」ボタンが置かれています。こころの耳は、厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。電話・SNS・メールの相談窓口がこころの耳 相談窓口案内にまとまっています。
記事では、感情や気分に飲み込まれそうになったり、日常生活に支障をきたしたりしている場合は、医師や医療チームに相談するようすすめています。質問票の結果を待たずに、つらいと感じた時点で相談してよいということです。
同じ画面の後半では、ヘルスケアアプリで感情と毎日の気分を記録する機能も紹介されています。不快な気分の記録が長く続いているときに、質問票への回答をすすめる仕組みです。
気分の記録と組み合わせると年に2〜3回お知らせが届く

質問票は1回答えて終わりにするより、定期的にくり返すほうが変化に気づきやすくなります。Apple公式のiPhoneユーザガイドによると、「不安障害リスク」または「うつ病リスク」の画面の下にある「オプション」から、次の設定ができます。
| 設定 | 内容 |
|---|---|
| 頻度 | 質問票に回答する頻度を選ぶ |
| 通知 | 回答をうながす通知のオン・オフ |
| 不快を記録 | 不快な気分のパターンがあったあとに回答をうながす |
定期的な質問票と「不快を記録」の両方をオンにしておくと、年に2〜3回、または不快な気分のパターンがあったときに回答をうながされます。
気分の記録は、Apple Watchの「マインドフルネス」アプリからもできます(watchOS 10以降)。手首で7段階の中から今の気分を選ぶだけなので、iPhoneを開くより手軽です。Apple Watchで毎日記録し、iPhoneの質問票でときどき確かめる、という分担ができます。
質問票を使ってほしいのは気分の変化が2週間続いたとき

質問票はどれも「この2週間」をふり返って答える作りなので、使いどころもそこに合わせるのが自然です。たとえば、次のようなときです。
| こんなとき | 質問票で確かめること |
|---|---|
| 眠れない・食欲がない日が続いている | 体の不調だけでなく気分の落ち込みが重なっていないか |
| 転職・引っ越し・出産など生活が大きく変わった | 変化のあとで不安が強くなっていないか |
| 好きだったことが楽しめない | 興味の低下がどのくらいの頻度で続いているか |
| 受診するか迷っている | 相談する目安の段階に入っているか(PDFで持参) |
| 特に困っていない | いまの状態を記録しておき、次回と比べる |
何も困っていないときに答えておくのも意味があります。今回の「最小」の結果も、あとで気分が落ちたときに比べる基準になります。
アプリの記事には「心の不調はあなたのせいではありません」「心の不調を抱える人の多くは回復を果たしている」と書かれていました。結果が思わしくなかったときに、自分を責める材料にしないことも大切です。
結果が出たあとにすることは段階で変わる
段階ごとの動き方は、アプリ内の記事の内容に沿って整理すると次のようになります。
| 結果 | 次にすること |
|---|---|
| 最小(0〜4点) | 今の生活を続けながら、定期的に回答して変化を見る |
| 軽度(5〜9点) | 睡眠・運動・人との交流など生活を整え、2週間ほどあけてもう一度回答する。気になるならこの段階で相談してよい |
| 中等度(10〜14点)以上 | かかりつけ医や心療内科・精神科などに相談する。結果のPDFと、症状のメモを持っていく |
| 質問16で「数日」以上を選んだ | 合計点に関係なく、できるだけ早く医療機関か相談窓口に連絡する |
とくに大事なのは最後の行です。質問16は任意ですが、ここで「全くない」以外を選んだときは、合計点が低くても一人で抱えないでください。死にたい気持ちが強くなっていて危険を感じるときは、ためらわずに119番に電話してください。電話やSNSで話を聞いてもらえる窓口は、厚生労働省のまもろうよ こころにまとめられています。
家族や友人の様子が気になる場合の接し方も、アプリの記事に書かれていました。どのような状況か、話をしたいかを尋ねる。相手の話を聞き、求められたときだけ意見を伝える。医師の支援をすすめてもよいけれど、助けを求めるかどうかは本人次第。そのうえで、忍耐強く支援を申し出る。自分が答えるだけでなく、身近な人を気にかけるときの手がかりにもなります。
睡眠7時間と屋外15〜30分がセルフケアの基本

記事の後半は「心の健康のケア」として、日常でできることがまとめられています。規則正しく7時間以上眠る、屋外で毎日15〜30分過ごす、体を動かす、栄養価の高い食事と水分をとる、人と交流する、マインドフルネスを試す、といった内容です。

睡眠時間や屋外で過ごした時間、運動量は、スマートウォッチで記録できる項目でもあります。質問票の結果が「軽度」だったときは、次に回答するまでの2週間、Apple Watchなどで睡眠と歩数をあわせて見ておくと、生活のどこを整えればいいかの手がかりになります。
ヘルスケアアプリの質問票は、病気かどうかを決めるものではありません。自分の状態に気づき、必要なら早めに誰かに相談するためのきっかけです。一度も開いたことがない方は、何も困っていない今のうちに一度答えておくのがおすすめです。
Source:Apple iPhoneユーザガイド、ヘルスケアアプリ内「心の健康に関する記事」/画像出典:Unsplash(寝室・睡眠・公園の写真、イラスト)
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