ノルウェー政府がスマートグラスの一時禁止を表明|10月5日発表 公園・学校・ジムの更衣室などが候補 法案は議会提出前【海外ニュース】

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テーブルに置かれたスマートグラスのイメージ写真。ハンズフリーで周囲の情報を読み取るウェアラブルデバイス

2026年10月5日、ノルウェー政府のデジタル化・行政省が、AIグラスを一部の場所で一時的に禁止する方針を発表しました。カメラやマイク、AIを内蔵したメガネ型の端末で、ノルウェーの報道はRay-Ban Metaを例に挙げています。政府は法案をできるだけ早く議会に出すとしていますが、まだ提出はされておらず、禁止は決まっていません。

カメラ付きのグラスをめぐっては、先週もオランダの大手眼鏡チェーンがRay-Ban Metaの販売を止めたばかりです。海外メディアのAndroid Authorityは、今回の動きを「スマートグラスに対する国レベルで初めての禁止になるかもしれない」と伝えました。

ノルウェー政府の発表で何が決まり何がまだ決まっていないのか、禁止の候補になっている場所、海外メディア2本の伝え方の違いを整理します。

ノルウェー政府はAIグラスの一時禁止法案を議会に出す方針

青空の下でノルウェーの国旗が掲げられたオスロの国会議事堂(ストーティング)

政府の発表文の見出しは「AIグラスの一時禁止を導入する」です。発表したのは、デジタル化・行政大臣のトルゲイル・ミカエルセン氏(労働党)。ノルウェーの通信社NTBによると、就任から4週間での判断です。

ミカエルセン氏は「人が知らないうちに写真や動画を撮られたり、音声を録られたりするおそれのある強力な技術が入ってきていることを懸念している。だから選んだ場所でAIグラスを一時的に禁止する」と説明しています。さらに「一時禁止の作業は優先度が高く、できるだけ早く議会に法案を出す」としました。

一時的な措置にする理由は、恒久的な国のルールについて助言する専門家グループを政府が作るためです。NTBによると、グループの立ち上げはすでに始まっています。発表の時点で分かっていることと、まだ示されていないことは次のとおりです。

項目 10月5日の政府発表で分かること
段階 政府の方針。法案はこれから議会に出す
期間 一時的な禁止。恒久的なルールは専門家グループの助言を受けて検討
対象の機器 AIグラス(カメラ・マイク・AIを内蔵したメガネ)。細かな定義は示されていない
場所 公共の場・子どもの場所・プライバシーが特に大事な場所のうち選んだところ
例外 弱い立場の人や、社会に役立つ限られた使い方は除外できるようにする
罰則 示されていない
時期 法案の提出は「できるだけ早く」。施行日は示されていない

なお、前任のカリアンネ・トゥング氏(労働党)は、9月に退任するまで「規制は強めるが禁止はしない」という立場でした。ミカエルセン氏は逆の結論を出したことになります。

公園やビーチ・学校・ジムの更衣室が禁止の候補に

木々の間を人が歩いたり走ったりしている朝の公園のイメージ

政府が禁止の候補として挙げた場所は、大きく3つに分かれます。NTBが伝えた政府の説明では、次のとおりです。

・人が日常的に集まる場所:公園、海水浴場、美術館や博物館、ショッピングセンター、遊園地、公共のイベント
・子どもの場所:遊び場、学校、幼稚園、ユースクラブ、子ども向けの場所やイベント
・プライバシーが特に大事な場所:医療機関、更衣室やシャワーのあるトレーニング施設

このほか、大学などの高等教育機関を対象に含めるかどうかも検討するとしています。一方で、ミカエルセン氏は、最終的なルールが決まるまでの間に全面的な禁止をしないことには十分な理由があると述べています。

Android Authorityは、米AP通信の報道をもとに、コンサートやスポーツイベントも候補に入っていると伝えています。Android Headlinesは、自宅などでの私的な使用は引き続き認められるとし、リアルタイムの翻訳や道案内のように、支援の道具として使う場合は守られるとも書いています。私的な使用と翻訳・道案内の扱いについては、政府の発表でもNTBの報道でも確認できませんでした。

「国レベルで初めての禁止」はAndroid Authorityの見方

晴れた日のオスロ中心部で広場や通りを多くの人が歩いている様子

2つの海外メディアは同じニュースを伝えていますが、言葉の選び方に違いがあります。政府の発表と照らし合わせると、次の3点が食い違っています。

1つ目は段階です。Android Headlinesは「一時禁止を求める法案を提出する」と書いていて、すでに議会にかかっているようにも読めます。政府の発表は「議会に法案を出す」という予定の段階で、Android Authorityの「議会にできるだけ早く送りたい」という書き方のほうが近い内容です。

2つ目は対象です。Android Headlinesは「カメラ付きのスマートグラス」、Android Authorityは「スマートグラス」と書いています。政府が使っている言葉は「AIグラス」です。Android Authorityは、どの種類の機器を対象にするかは一時禁止の間に決めると伝えていますが、政府の発表ではここまで確認できませんでした。

3つ目は専門家グループの役割です。Android Headlinesは「恒久的なルールをつくる」としていますが、政府の発表では「恒久的なルールについて助言する」グループです。

見出しの「国レベルで初めての禁止」は、Android Authorityの表現です。米国ではニューヨーク州が州内の全裁判所でスマートグラスの持ち込みを禁止していますが、これは州の裁判所に限ったルールです。国全体のルールとしては初めてになるかもしれない、というのがAndroid Authorityの見立てですが、ノルウェーの法案が成立するかどうかはまだ分かりません。

学校での禁止要請やデータ保護機関の提言が先にあった

ノルウェーでは、今回の発表の前から規制を求める声が出ていました。NTBによると、同じ政府の中では、教育大臣のカリ・ネッサ・ノルドトゥン氏がすでに国内のすべての自治体に、学校でのAIグラスの禁止を求めています。

議会でも、社会主義左翼党が「きちんとしたルールができるまで販売を止める」ことを、中央党が「子どもの周りでの禁止」を主張しています。ノルウェーのデータ保護機関であるDatatilsynetも、今年の夏に、ルールができるまで販売を止めることを検討するよう議会に求めていました。

企業の側では、金融大手のDNBが、顧客の情報や内密の会話を拾われるおそれがあるとして、社内でのAIグラスの使用を禁じています。エネルギー大手のEquinorの情報責任者も、情報セキュリティと職場環境の面でリスクがあると話しています。

欧州と米国でもカメラ付きグラスの線引きが続く

手に持ったメガネのレンズ越しにピントの合った街並みが見えるイメージ

Android Headlinesは、ノルウェーの動きを、MetaのRay-Banのスマートグラスへの反発が広がるなかで起きたものと位置づけています。同メディアによると、Metaは2023年の初めから900万本以上を販売しました。

英国では映画館の団体やパブチェーン、レストランが、海賊版の撮影やプライバシーへの懸念から使用を制限しています。オランダでは眼鏡チェーンのHans AndersがRay-Ban Metaの販売を止めました。フランスでは、SNS向けのいたずら動画のために女性が同意なく撮影された例が複数あったと、子どもの福祉に関わる団体が報告しています。

米国のカリフォルニア州では、私的な空間でのスマートグラスによる隠し撮りを罰する法案に、ニューサム知事が拒否権を使いました。Metaは、正面のLEDが点滅し、LEDを覆うとカメラが使えなくなる仕組みで十分に知らせていると説明していますが、英国の団体Privacy Internationalは小さな光だけでは足りないと反論しています。

アジアでは、韓国の個人情報保護委員会がサムスンと会い、カメラやマイクが動いていることの知らせ方を話し合ったと報じられています。

まとめ

ノルウェー政府は、AIグラスを公園やビーチ、学校、ジムの更衣室などで一時的に禁止する方針を示しました。法案はまだ議会に出ておらず、禁止の期間や罰則、どの機器が対象になるかの細かな定義も、発表の時点では示されていません。「国レベルで初めての禁止」はAndroid Authorityの見方で、実際にそうなるかは議会の審議しだいです。

日本では9月24日にRay-Ban Meta Gen 3が発売され、取り扱う眼鏡店も増えています。法案の中身が出てきたら、対象の機器と場所がどこまで絞られるのかを追っていきます。

Source: Android Authority/Android Headlines
政府発表:ノルウェー政府(デジタル化・行政省)2026年10月5日/NTB配信記事:Dagsavisen
画像:Unsplash

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