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スマートウォッチで測れるものといえば、心拍数や歩数、睡眠。そのあたりを思い浮かべる方が多いと思います。Galaxy Watchはそこに体組成が加わります。時計のボタンに指を2本当てて待つだけで、骨格筋量や体脂肪率が出ます。
ただし、ここで先に押さえておくべき前提があります。画面には体重も一緒に並びますが、体重と身長は、あらかじめ自分で入力しておく数字です。時計に体重計や身長計が入っているわけではありません。
この記事では、時計が測っているのは何で、何が入力値なのかを切り分けたうえで、筆者がGalaxy Watch Ultra2で実際に測ったデータと一緒に読み方を解説します。
体組成とは、体重を「水分・脂肪・骨格筋」に分けて見ること
アプリの解説がとても分かりやすかったので、まずそこから紹介します。
体組成を測るときに注目するのは、体重を構成する水分・脂肪・骨格筋の3つの要素の割合です。体の中には内臓や他の種類の筋肉などもっと多くの要素がありますが、この3つを測るのは有用な健康の指標になるからだと説明されています。3つを適切なバランスで維持することが、健康的な生活につながるという考え方です。
ここがこの機能の肝で、体重が同じでも中身は違うということです。アプリも体重の項目でこう書いています。「体重に変化がなくても、筋肉が増加し脂肪が減少すると、健康的な変化となります」。体重計の数字だけを追いかけていると、この変化は見えません。
実際に測るとこうなる
測定を始めると、進捗がパーセンテージで表示されます。

測定中の画面。終わるまでボタンに触れたまま待つ。
この間、ボタンから指を離すとやり直しになります。画面にも「ボタンに触れたままにしてください。」と出るので、腕を動かさずに待ちます。
終わると、こう表示されます。

測定結果。上から体重、骨格筋量、体脂肪率。
この日の結果は体重65.0kg、骨格筋26.2kg、体脂肪率23.8%。午前9時24分の測定です。スマートフォンを一度も触っていません。測定そのものは腕時計だけで完結します。
ただし、体重と身長は自分で入力した数字
ここが誤解されやすいところなので、先に切り分けておきます。Galaxy Watchに体重を量る機能も、身長を測る機能もありません。この2つは、あらかじめプロフィールとして入力しておく数字です。
時計が実際にやっているのは、体に微弱な電流を流して、その通りにくさを測ることだけです。脂肪はほとんど電気を通さず、水分を多く含む筋肉はよく通します。この通りにくさに、入力済みの体重・身長・年齢・性別を組み合わせて、骨格筋量や体脂肪率を推定しているわけです。
つまり画面の一番上に出る体重は、測った値ではなく入力した値がそのまま出ているだけ。「体重計が要らない」のではなく、体重計で量った値を入れておく必要があるというのが正しい理解です。
実際、筆者が別の日に測ったときも体重はまったく同じ65.0kgでした。本当に量っているならこうはなりません。
測り方には手順がある。ここを外すと数字がぶれる
アプリの中に「測定ガイド」が用意されていて、正しい測り方が図つきで案内されています。手順は4つです。
・時計を手首の上側にずらす
・中指と薬指をボタンに置く
・時計のみに触れる。両手がお互いに触れないようにする
・腕を上げ、体から離す
いちばん見落としやすいのが3つ目と4つ目です。両手が触れていたり、腕が体についていたりすると、電流の通り道が変わってしまいます。腕を上げて体から離すという指示は、そのためのものです。
1つ目の「手首の上側にずらす」も、普段の着け方とは違うはずです。測るときだけ少し上にずらす、と覚えておくといいと思います。
正確に測るための4つの条件
測り方とは別に、いつ測るかについても案内があります。
・毎日同じ時間帯に測定する
・空腹時に測定する
・トイレの後に測定する
・運動、シャワー、サウナなど体が熱くなる活動をした直後は測定しない
この4つは、いずれも体内の水分量が動く条件です。体組成は水分の割合から逆算しているので、水分が動けば数字も動きます。
裏を返せば、1回の数字を絶対値として受け取る機能ではありません。同じ条件で測り続けて、変化の向きを見るための機能です。
出てくる数字と、その正常範囲
アプリの「体組成について」には、項目ごとの説明と自分の身長・年齢・性別における正常範囲が並びます。筆者の場合はこうでした。
| 項目 | 正常範囲(筆者の場合) | 何を見ているか |
|---|---|---|
| 体重 (入力値) |
52.2〜70.6kg | 年齢、性別、遺伝、食生活、運動レベルで決まる |
| 骨格筋 | 23.6〜25.8kg | 骨格に密着し、歩く・走る・物を持ち上げるときに使う筋肉 |
| 体脂肪量 | 10.9〜15kg | 脳、神経、骨格、心臓、細胞膜の機能に必要な脂肪の量 |
| 体水分 | 34.5〜37.5kg | 体に占める水分。通常は50〜70%程度 |
| 体脂肪率 | 17.6〜24.1% | 体脂肪量を体重に対する割合で表したもの |
| BMI | 18.5〜25 | 体重に対する身長の比率 |
| 基礎代謝量 | 実測1,439kcal(平均範囲内) | 安静時に消費されるエネルギー量 |
この範囲は身長・年齢・性別で変わります。上の数字はあくまで筆者のものなので、そのまま当てはめないでください。
説明を読んでいて感心したのが体水分の項目です。「水分のほとんどは筋肉細胞に含まれており、70%以上が水分です。体脂肪にはほとんど水分が含まれていません」。だから筋肉量が多く脂肪が少ないほど、体水分率は高くなるという関係になります。体組成が水分から計算できる理由が、ここで腑に落ちました。
BMIについても、アプリ自身がその限界を書いています。「BMIは体組成を考慮していないため、誰にでも当てはまるわけではありません」。筋肉量が多い人はBMIが高く出ても体脂肪は少ない傾向にある、という趣旨です。BMIを出すアプリが、BMIだけを見るなと言っているのは誠実だと思いました。
実測。骨格筋だけが正常範囲を超えていた
結果を範囲と突き合わせてみます。
| 項目 | 実測 | 正常範囲 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 体重(入力値) | 65.0kg | 52.2〜70.6kg | 範囲内 |
| 骨格筋 | 26.2kg | 23.6〜25.8kg | 範囲より上 |
| 体脂肪率 | 23.8% | 17.6〜24.1% | 範囲内(上限の手前) |
骨格筋だけが正常範囲を超えていました。と言っても筋トレをしているわけではないので、日常的に歩いている量が効いているのだと思います。
体脂肪率は23.8%で、範囲には収まっているものの上限24.1%のすぐ手前です。ここから体重と体脂肪率を掛けると体脂肪量は約15.5kgになり、正常範囲の上限15kgをわずかに超える計算になります(この15.5kgは筆者が計算した値で、画面に出ていた数字ではありません)。
もうひとつ、この機能の性格がよく出た比較があります。別の日に測ったときは骨格筋26.9kg、体脂肪率22.1%でした。体重の欄は入力値なので65.0kgのまま動きませんが、時計が推定している側の数字はしっかり動いています。
これが「毎日同じ時間帯に、空腹で、トイレの後に測る」と念を押される理由です。条件を揃えないと、変化しているのが体なのか水分なのか分かりません。
あわせて、体重を入力し直すのを忘れると、推定の土台がずれたままになります。体重計に乗る習慣がある方は、そのタイミングで更新しておくと精度が保てます。
アプリ側では、標準範囲の上に位置が重なる
時計に出るのは3つの数字だけですが、スマートフォンのSamsung Healthを開くと「体組成の分析」という画面があり、もう少し踏み込んだ見せ方になります。

アプリ側の「体組成の分析」。標準範囲のバーの上に、いまの位置が重ねて示される。
体脂肪率もBMIも、標準範囲を示す帯の上に、いまの自分の位置が重なって表示されます。数字だけを見るより、範囲のどのあたりにいるのかがひと目で分かります。
ここで注目してほしいのが、右端に小さく出ている前回からの差です。
・体脂肪率 23.8% +1.7
・BMI 23 0.0
・基礎代謝量 1,439kcal -24
体脂肪率は1.7ポイントも動いているのに、BMIの変化は0.0です。BMIは体重と身長から計算される数字で、その体重が入力値のまま変わっていないのだから、動きようがありません。何が測定値で何が入力値なのかが、この1画面にそのまま出ています。
画面の下に「データを入力」というボタンが用意されているのも、そのためです。体重が変わったらここから更新します。
あわせて基礎代謝量も表示されます。この日は1,439kcalで「平均範囲内」。アプリの説明は「基礎代謝量(BMR)が上がるほど、安静時により多くのカロリーが消費されます」。食事のカロリーを決める土台になる数字なので、減量や増量を考えている人にはここがいちばん実用的かもしれません。
「DEXAスキャンと相関98%」という表記をどう読むか
測定ガイドの中に、精度についての記載があります。
「Galaxy Watchでの体組成測定結果は、相関性98%で、体組成測定の業界標準であるDEXAスキャンと同等の精度を誇ります」
DEXAスキャンは医療機関にある、X線で体組成を測る装置です。散布図まで添えられていて、かなり強気の表記に見えます。
ただし同じ画面の下に、こう書かれています。
「時計と他の体組成測定機器で結果に差異がある場合があります。体組成が異常、極度の肥満、非常に筋肉質などの場合、時計の結果は不正確になる可能性があります」
この2つは矛盾していません。相関98%というのは「多くの人を並べたときに傾向がよく一致する」という意味であって、あなたの1回の測定値が体組成計とぴったり合うという意味ではないからです。
実際、家庭用の体組成計と数字がずれることは珍しくないと思います。大事なのは、どの機械で測るにしても同じ機械を使い続けること。機械をまたいで数字を比べると、体の変化なのか機械の差なのか分からなくなります。
体組成を測ると、ほかの機能も埋まる

この機能には、単体で終わらない側面があります。体組成を測るとBMIが算出され、そのBMIが「心臓の健康スコア」の4つの要素のひとつとして使われます。
逆に言えば、体組成を一度も測っていないと、心臓の健康スコアのこの欄が埋まりません。着けているだけで貯まる機能ばかりのなかで、ここは自分から動かす必要があります。
Galaxy Watchの「心臓の健康スコア」とは? 4要素の中身と目標値|3つが最高評価でも運動24分で点数が伸びなかった話
同じように「自分から測りにいく」タイプの機能に、抗酸化指数があります。こちらは親指をセンサーに当てて測るもので、性格はよく似ています。
Galaxy Watchの「抗酸化指数」とは? 親指を5秒当てて測るカロテノイド量と結果の読み方|実機は46で「非常に低い」だった
骨格筋を測れること自体に、意味が出てきている
体組成のなかでも骨格筋量は、いま医療の側からも注目されている数字です。
サムスンは米国のマサチューセッツ総合病院と共同で、GLP-1薬を使っている人の筋肉量の低下をGalaxy Watchでどこまで追えるかという臨床試験を進めています。体重が落ちること自体は薬の狙いどおりでも、落ちているのが脂肪なのか筋肉なのかは体重計では分からないからです。
Galaxy Watch 8がGLP-1薬使用者の「筋肉量低下」をどこまで測れるか――SamsungとMGHの臨床試験
腕時計で骨格筋量を毎日測れることには、体重計にはない使いみちがあるということです。
これは医療機器ではない
体組成測定は、健康管理を目的とした機能です。腕時計のセンサーで体に微弱な電流を流して推定している数値なので、医療機関の検査とは性質が違います。
アプリ自身も、体組成が極端な場合には結果が不正確になる可能性があると明記しています。数字が範囲から外れていても、それ自体が何かの異常を示すものではありません。生活を振り返るきっかけとして使い、体調に不安があるときは医療機関を受診してください。
なお、ペースメーカーなどの体内埋め込み型医療機器を使用している方は、体組成測定を使用しないよう案内されています。
まとめ
Galaxy Watchの体組成測定について、押さえておくとよい点をまとめます。
・測定は時計だけで完結する。ボタンに中指と薬指を当てて待つだけ
・体重と身長は自分で入力する数字。時計が測っているのは電流の通りにくさで、そこから骨格筋量や体脂肪率を推定している
・アプリではさらに体水分やBMI、基礎代謝量まで見られる
・両手を触れさせない、腕を体から離す。ここを外すと数字がぶれる
・毎日同じ時間帯・空腹時・トイレの後。水分が動くと数字も動く
・1回の絶対値ではなく、変化の向きを見る機能。機械をまたいで比べない
・測っておくと心臓の健康スコアのBMI欄も埋まる
体重計の代わりになる機能ではありません。むしろ体重計と組み合わせて、体重の数字を最新に保ったうえで使うものです。
そのうえで、体重計では分からない中身の内訳が毎朝すぐ見られるのは、やはり体重計にはない強みです。同じ65kgでも筋肉が増えて脂肪が減っていれば良い変化ですが、体重計の数字だけを追いかけていると、その変化には一生気づけません。
本記事はサムスン電子ジャパン株式会社から貸与を受けた製品をもとに執筆しています。製品はレビュー後に返却しており、掲載内容について同社の事前確認は受けていません。
この記事で使っているGalaxy Watch Ultra2はこちらです。
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