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一般ランナーに浸透するスマートウォッチやApple Watch。正確な心拍データを有効活用すれば、プロランナーに近い練習環境が手に入る!

Apple Watchの使い方、基礎知識

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スマートウォッチのデータを重視するランナーは非常に多い

2020年7月後半に、スマートウォッチ大手の1つであるGarminのインターネット・サービスが、数日間にわたって停止するという障害が発生しました。ユーザーはその間に走ったデータをインターネット上のアプリに同期できなくなりました。その後にサービスは復旧しましたし、ユーザーのデータは失われず、また個人情報のデータが外部に漏洩した形跡はないとのことです。

Garminのスマートウォッチはランナーにも人気だ

インターネットのサービスがある期間停止すること自体は、昨今さほど珍しいニュースではありません。しかし、ランナーたちが作るSNSコミュニティなどではまるで大事件のような騒ぎになりました。冷静に考えれば、この障害がどれだけ続いたとしても、走ること自体には何の支障もありません。それにもかかわらず、ランナーたちは過剰とも言えるような反応を示しました。いかにスマートウォッチから得られるデータを重要視しているか、悪い言い方をすると依存しているランナーが多いかが分かります。

そこで今回は、「スマートウォッチで得られる数多くのデータをランナーはどのように活用できるか」という観点から、その1例をご紹介します。

心拍数は正確でも消費カロリーの精度は△との米大学の研究結果も!


Fitbit Charge3のダッシュボード。走った距離や時間、消費カロリーなどの様々なデータを可視化する

スマートウォッチからは様々な情報を得ることができます。その使い方も人によって様々です。走った距離やペースなどを把握できるGPS機能はランナーのトレーニング計画にとって重要な指標になりますし、ときにはモチベーションの源にもなります。そして、心拍数、睡眠のパターン、消費エネルギーなどの身体にまつわる重要な情報もスマートウォッチは教えてくれます。

そうしたスマートウォッチが提供する情報は実際にどの程度まで正確なのか? そんなちょっと意地の悪い(?)調査結果をスタンフォード大の研究グループが発表したことがあります(*1)。同研究グループがApple WatchやFitbitなどの9つの代表的な商品を調査したところ、どの機種も心拍数のデータは比較的正確だったそうです。その反面、表示されるエネルギー消費量(カロリー)と実際の数値では大きな隔たりがあったことも報告されています。

つまり、スマートウォッチをダイエット目的として利用している人には注意が必要なようです。「○○カロリーを消費したと表示されているから、今日はたくさん食べても大丈夫」と安心していると、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。

心拍数のデータはトレーニング効率化に非常に役立つ!

その一方で、「実際の数値に近い」とスタンフォード大研究者らのお墨付きがついた心拍数データは、使い方によってはランナーやアスリートがトレーニングの強度を設定する際に重要な指標になり得ます。たとえば、「最大心拍数の70~80%ぐらいで高強度のインターバル走を行う」、あるいは「最大心拍数の60%ぐらいのペースが脂肪燃焼に効果的だ」などといった使い方が可能になるからです。

その基準となる最大心拍数とは、つまり限界まで追い込んだ状態の心拍数ですので、その値を正確に測定するのは実はかなり困難です。したがって、年齢に基づいた計算式(後述)によって推定した値を用いることが一般的です。

最大心拍数を推定する代表的な計算式―Fox式と田中式

最大心拍数を推測する方法としては、1971年にFox氏が発表した以下の計算式はもっとも有名です。

●Fox式:最大心拍数=220-年齢

あなたが30歳なら、最大心拍数は220-30で、毎分190拍と推測できます。非常にわかりやすく、計算もしやすいため、長い間多くのスポーツの現場でこの計算式が用いられてきました。

このFox式の妥当性に疑問を投げかけたのがテキサス大学オースティン校の田中弘文教授です。田中教授は2001年に下の計算式を発表しました。この計算式では、30歳の最大心拍数は毎分187拍となります。

●田中式:最大心拍数=208‐0.7×年齢

この2つの計算式は年齢を基準にしていることで共通しています。原則的に年齢が高くなるにつれて、最大心拍数は下がっていきます。その傾向そのものは変わらないとしても、現実には同じ年齢であっても最大心拍数にはかなり個人差があります。実際に上の2つの代表的な計算式を、実際のマラソンランナーで実験・検証してみた研究(*2)では、どちらも計算式と測定値の間には毎分2~5泊程度の差異が生じたことを報告しています。

スマートウォッチの有効活用で往年のプロ並みの練習環境が手に入る!


Fitbit Charge3のダッシュボード。時間経過に伴う心拍数の変化が一目で分かる

 

スマートウォッチのデータを活用すれば、推定値ではなく、自分自身の最大心拍数を把握することができます。上の研究で使われた測定方法は1%の傾斜をつけたトレッドミルのスピードを時速8キロから走り始め、毎分1キロずつ速めていき、ランナーがそれぞれの限界に達するまで行うというものでした。ペースを維持できなくなった時点の心拍数がその人の最大心拍数というわけです。

これと同じことを行って、後でスマートウォッチのデータを見れば、あなた自身の、その時点での(最大心拍数はトレーニングによって変化します)を知ることができます。そうすることによって、あるトレーニングを自分自身の最大心拍数から何%ぐらいの範囲で行うかと予定を立てることができます。走っている最中や走り終えた直後の心拍数を把握することも容易ですので、その場でトレーニング強度を調整することも可能です。

伝統的なランナーの練習方法と言えば、陸上トラックを走るランナーにストップウォッチを首からぶら下げたコーチがペースを大声で知らせる、といった光景が当たり前でした。スマートウォッチやApple Watchを上手く活用すれば、それと同じかそれ以上の練習環境を一般ランナーも手にすることができるわけです。

参考文献:
*1. Accuracy in Wrist-Worn, Sensor-Based Measurements of Heart Rate and Energy Expenditure in a Diverse Cohort
https://www.mdpi.com/2075-4426/7/2/3

*2.  Age-Predicted Maximal Heart Rate in Recreational Marathon Runners: A Cross-Sectional Study on Fox’s and Tanaka’s Equations
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2018.00226/full#B17

 

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani

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