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消費者庁が2026年9月10日、消費者安全法に基づく重大事故等の公表資料を出しました。生命・身体被害に関する消費者事故等として通知された事案は126件、うち重大事故等は70件です。70件の内訳は、製品事故が60件(経済産業省1件、総務省消防庁58件、地方公共団体等1件)と、役務事故が10件でした。
このうち、総務省消防庁から通知された58件が別紙に一覧化されています。編集部でこの58件を1件ずつ数えると、被害状況は全件が「火災」。製品名で分類すると、充電池を積んだ製品が39件、およそ3分の2を占めていました。
最多はモバイルバッテリー(資料上の表記は「リチウム電池内蔵充電器」)の14件。ワイヤレスイヤホンも3件あります。毎日デバイスを充電している人にとって、他人事ではない数字なので整理しておきます。
58件の内訳を数えた

58件のうち14件がモバイルバッテリー(画像:Unsplash)
別紙の表を製品名で分類したものが次の表です。
| 製品 | 件数 |
|---|---|
| リチウム電池内蔵充電器 (モバイルバッテリー) |
14件 |
| バッテリー (電動工具用・模型用など) |
7件 |
| タブレット端末 | 3件 |
| イヤホン(コードレス式) | 3件 |
| スピーカー(充電式) | 2件 |
| 高圧洗浄機(充電式) | 2件 |
| スマートフォン/ポータブル電源/充電器 電気シェーバー/マッサージ器/喫煙器具 リチウム蓄電池/充電式アイマスク |
各1件 |
ここまでで39件です。残る19件は自動車が10件(普通自動車6件・軽自動車4件)、電子レンジ2件、太陽光発電システム関連が2件(コントローラーとパワーコンディショナ)、エアコン・電気ストーブ・原動機付自転車・自動二輪車・給湯機用の循環ポンプが各1件で、充電池とは関係のない製品でした。
つまり火災58件のうち3件に2件が、充電池を内蔵した製品だったことになります。なお件数は管理番号(通知)単位です。表のバッテリー7件のうち3件は、資料上「同一事故」と相互に注記されているため、火災の実件数としては56件になります。
「充電中」に起きた8件
58件のうち、事故内容に「充電中」と明記されているものが8件ありました。内訳はモバイルバッテリー3件、ワイヤレスイヤホン2件、スマートフォン1件、電気シェーバー1件、充電式アイマスク1件です。
この8件で被害がいちばん大きいのは、スマートフォンの1件です。充電中に発火し、当該製品と建物1棟を全焼する火災になっています(2026年8月7日発生、愛知県)。充電式アイマスクの1件は、充電中に異音がして確認すると発煙していたという内容でした。
ちなみに58件全体で被害が最大だったのは、電動工具用のリチウムイオンバッテリーによる建物2棟の全焼です(2026年5月30日発生、新潟県)。
充電は目を離しやすい時間帯に行われがちです。寝ている間、外出中、仕事に集中している間。そこで火が出ると、気づくのが遅れます。就寝中の発火事故については以前も消費者庁が注意喚起しているところです。
原因の見立てが書かれた3件が具体的で参考になる
多くの事案は「現在、原因を調査中」で終わっていますが、原因の見立てまで記載されたものが3件ありました。いずれも実用的です。
ひとつは電気シェーバー(パナソニックのES-PV6A)の事例です。他社製のUSBケーブルとACアダプターをつないで充電中、製品とケーブルの接続部が溶融しました。原因は調査中としながらも、USBソケットとケーブルの接続部分に水や液体が付着した状態で充電したことで電気的短絡が起き、その発熱で樹脂が溶けたと考えられると書かれています。
お風呂上がりに濡れた手で充電する、洗面所で使ってそのまま挿す。この程度のことが引き金になりうる、という具体例です。
ふたつめがワイヤレスイヤホンです。充電ケースの内蔵充電池の不具合により、充電時に充電ケースが発煙・発火したものと考えられるとされていました。この製品については後述します。
3件目は、充電中ですらない事例です。充電式の高圧洗浄機(SWU-1)は保管中に発煙し、製品と周辺を焼損しています。原因は調査中としながら、搭載されたバッテリーパックのバッテリーセルが、製造過程の問題で火災に至ったと考えられると記載されています。使っていなくても、充電していなくても起きうるということです。
なお原因は調査中とされていますが、他社製の充電器を接続して充電中に発煙し、焼損したモバイルバッテリーの事例もありました。付属品でない組み合わせでの事故は、上の電気シェーバーと合わせて2件です。
リコール中の製品で4件起きている
今回の資料でいちばん重い事実がこれです。備考欄に「リコールを実施」と書かれた製品での事故が、4件含まれていました。
| 製品 | リコール開始 |
|---|---|
| ワイヤレスイヤホン ATH-SQ1TW2(オーディオテクニカ) |
2024年11月15日 事故は約1年1か月後 |
| モバイルバッテリー ECMMBM52SP(ノジマ) |
2024年11月8日 事故は約1年3か月後 |
| 高圧洗浄機(充電式) SWU-1(サイン・ハウス) |
2025年8月4日 事故は約1年後 |
| エアコン SRK25ZI(三菱重工業/現 三菱重工サーマルシステムズ) |
2018年1月11日 事故は約8年7か月後 |
ワイヤレスイヤホンのATH-SQ1TW2は、2024年11月15日からリコールが実施されているのに、その約1年1か月後の2025年12月に発煙事故が起きています。エアコンの1件は、リコール開始から8年7か月が経った製品での火災でした。4件とも、告知はされていたということになります。
リコールは告知した時点で終わりではなく、持ち主に届かなければ意味がありません。この構図は回収率39.6%にとどまっているAnkerのモバイルバッテリーや、交換率8.4%のiiyama製モニターでも同じでした。手元の製品がリコール対象かどうかを、自分から確かめる必要があるということです。
消費者庁は、備考欄のリコール情報の詳細を「消費者庁リコール情報サイト」で確認できるとしています。
手元で今日できる確認
今回の58件から読み取れることを、行動に落とすと次の5点になります。
・充電は人がいる時間に行い、就寝中や外出中に放置しない
・付属品または純正の充電器・ケーブルを使う(他社製の組み合わせで2件の事故)
・端子が濡れた状態では充電しない
・使っていない充電池入り製品も、可燃物の近くに置いたままにしない(保管中の発煙が1件)
・持っているモバイルバッテリーやイヤホンがリコール対象でないか、型番で確認する
リチウムイオン電池の扱いについては、NITEが「3つのC」として注意点をまとめているほか、落下させた充電式製品を使い続けることの危険も指摘されています。膨らんでいる、熱い、変形しているといったサインが出ていたら、その時点で使用をやめるのが原則です。
まとめ
消費者庁が2026年9月10日に公表した重大事故等70件のうち、製品事故は60件。そのうち総務省消防庁から通知された58件は、すべて火災でした。編集部で数えたところ、充電池を積んだ製品が39件でおよそ3分の2。最多はモバイルバッテリーの14件、ワイヤレスイヤホンも3件です。
そのうち8件は「充電中」に発生し、スマートフォンの1件は建物1棟が全焼しています。さらに4件はリコール実施中の製品での事故で、ワイヤレスイヤホンの1件はリコール開始から1年以上が経ってからの発煙でした。
スマートウォッチもイヤホンもモバイルバッテリーも、中身はリチウムイオン電池です。毎日あたりまえに充電している機器ほど、置き場所と充電のタイミング、そしてリコール情報を一度確かめておく価値があります。
Source: 消費者庁「消費者安全法の重大事故等に係る公表について(9月10日)」/件数は同資料の別紙(総務省消防庁通知分)をもとに管理番号単位で編集部集計/画像:Unsplash
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