今年のApple Watchは「乗り換え」ではなく「買い替え」を取りに来た|Counterpointが挙げた3つの理由と、価格据え置きの本当の意味【海外ニュース】

NEWS

公開日: 最終更新日:

ナチュラルチタニウムのApple Watch Series 12に、ミラネーゼループを組み合わせたところ

調査会社が今年のApple Watchをどう見たのか、という話です。

Counterpoint Researchが、Apple Watch Series 12とUltra 4のラインアップについて分析を公開しました。結論を一言でまとめると、今年のApple Watchは新規の乗り換え客ではなく、すでにApple Watchを持っている人に向けた製品だという見立てです。

そう読める理由が3つ挙げられていました。watchOS 27の対応機種、価格の据え置き、そしてAppleの出荷が実はUltraではないところに偏っているという事実です。

watchOS 27がSeries 8以前を切る

運動中に手首のApple Watchを確認する人のイメージ。watchOS 27はSeries 9以降が対象になる

画像はイメージです(画像:Unsplash)

Counterpointが買い替えを押す最大の要因として挙げたのが、対応機種の線引きです。

watchOS 27が動くのはSeries 9以降、SE 3、Ultra 2以降。つまりSeries 7やSeries 8を使っている人は、新しいSiriも新しい健康機能も、本体を買い替えないと手に入りません。初代Ultraも対象外です。

そしてwatchOS 27の配信は9月14日(日本時間では9月15日午前2時ごろ)で、Siri AIは同日から英語のベータとして始まるとされています。本体の発売である9月18日より前にソフトウェアのほうが先に来る形です。

手持ちのApple Watchで何が使えて何が使えないのかは、Apple公式のデータで線引きを整理した記事にまとめてあります。

センサーの更新はSeries 8以来

Counterpointは、今年の変更で本当に重いのはAIではなくセンサーだとしています。

新しいHealth Sensing Systemは、Series 8の体温センサー以来、初めての意味のあるセンサー変更だという評価です。緑色LEDを大型化し、心拍を5秒ごとに、心拍変動(HRV)は従来の最大24倍の頻度で記録します。

HRVは「recovery(日々のストレスと回復)」と「overall(長期的な心血管の健康)」の2つに分けて示され、日中のバイタル表示と、0〜10の準備度スコアが加わります。推奨は「Recover」「Pace Yourself」「Ready」「Go For It」の4段階です。

Appleは1,000人を超える被験者の研究をもとに、ウェアラブルとして最も正確な心拍計測だと主張しています。歩数計のモデルも作り直し、スマートウォッチとして最も正確な歩数計測だとしています。

Counterpointは、この準備度とHRVによってGarminやスマートリングに流れていたアスリート層に対してAppleが説得力を持つようになると見ています。Garminは2026年4〜6月期に出荷を11%伸ばしていました。

ただし準備度のスコアは、各社で呼び名も尺度もばらばらです。数字の中身と、信じすぎないほうがいい理由は別途整理しています。

「価格据え置き」が本当の見出しだという指摘

置かれたApple Watchのイメージ。価格が据え置かれたことの意味を解説する記事のイメージ

画像はイメージです(画像:Unsplash)

Counterpointがもうひとつ強調したのが、価格です。

値上げの噂が流れていたにもかかわらず、米国での開始価格はSeries 12が399ドル、Ultra 4が799ドルで前世代から変わりません。新しいチップ、新しいセンサー群、セラミックの選択肢まで加えた上での据え置きです。

これをCounterpointは「地味だが本当の見出し」と表現しています。ベーシックなスマートウォッチの市場が縮小し、中国でファーウェイがシェアを固めつつあるなかで、Appleが主力の販売数量を守るための価格設定だという読み方です。

なお日本では事情が少し違います。Series 12は71,800円からですが、これは2026年7月18日にAppleが日本限定で価格を改定した後の水準です。米国の据え置きと日本の価格は、そのままでは重なりません。

Appleの出荷はUltraではなく3万〜6万円台に偏っている

意外だったのがこの数字です。

Counterpointの出荷トラッカーによると、2026年4〜6月期にAppleが世界で出荷したApple Watchの8割超が、Series 11とSE 3の2機種でした。つまりAppleの販売数量は201〜400ドルの価格帯に大きく偏っていて、Ultraではないということです。

同じ四半期、世界のスマートウォッチ出荷は前年比4%減と1年ぶりのマイナスでした。そのなかでAppleだけが14%増でトップ5最速の伸びを示し、世界シェアは17.0%から20.1%へ3.1ポイント上がっています。

この構図を踏まえると、価格据え置きの意味がはっきりします。Appleにとって守るべきなのは高価格帯ではなく、数量を稼いでいる中位モデルのほうだということです。

Audio Intelligenceは2027年の話

今年いちばん新しいのは音声まわりのAI機能群「Audio Intelligence」です。すべてオプトインで、内容は次のとおりです。

機能 内容
Sound Recognition サイレン・アラーム・ドアベルなど重要な音を通知。耳が聞こえない人や聞こえにくい人向け
Live Rewind 直前15秒の会話をテキストで見返せる
Siri Recap その日の会話の要約を作る
Shazam アプリや画面を触らなくても、近くの音楽を自動で識別

これを支えるのが、S11チップに入ったSecure Exclaveです。マイクの音声をハードウェア的に隔離された区画で処理し、そのまま破棄する仕組みで、Appleは音声の録音も保存もされないとしています。

ただしCounterpointの評価は冷静でした。Live RewindとSiri Recapは2026年後半のベータ、英語のみ、iPhone 16以降が条件、発売時点ではEU圏で提供されないという制約があるため、需要を動かすのは2027年だろうという見立てです。

したがって当面、Series 12とUltra 4を選ぶ理由になるのはAIではなく、センサーと準備度とバッテリーだとしています。

今年出なかった2つ

事前に噂されながら登場しなかった機能として、Counterpointは2つを挙げています。

ひとつはサイドボタンへのTouch ID搭載。もうひとつはカフレス(腕帯なし)の血圧測定で、こちらは長く待たれている機能です。

年内にはヘルスケアアプリの全面刷新も控えています。0〜10の準備度を示すInsightsタブ、生物学的な「Health Age」を追うLongevityタブ、iPhoneのカメラを使った屋内でのVO2 max測定などが予定されており、米国英語から順に展開されると説明されています。

まとめ

Counterpointの分析を整理すると、今年のApple Watchはこういう製品ということになります。

watchOS 27がSeries 8以前を切るので、Series 7・8ユーザーには買い替えの理由がはっきりある。センサーの刷新はSeries 8の体温センサー以来の大きさで、準備度とHRVによってGarminやスマートリングに対抗できる。そして新しいチップとセンサーを載せながら、米国では価格を据え置いた。

一方でAudio Intelligenceは制約が多く、効いてくるのは2027年。Touch IDと血圧測定は今年も見送られました。

Appleの出荷の8割超がSeries 11とSE 3という数字を見ると、Appleが守ろうとしているのがどこなのかがよく分かります。派手なUltraではなく、真ん中の価格帯です。

Source: Apple World Today(Counterpoint Researchの分析)/価格はいずれも米国のもの/画像:Unsplash

あわせて読みたい関連記事

Counterpointの出荷データそのものは、こちらで詳しく扱っています。

世界のスマートウォッチ出荷が4%減、1年ぶりのマイナス|ファーウェイが過去最高の22%、Appleは14%増で最速成長、シャオミは38%減【Counterpoint】

6年ぶんのシェアの動きを時系列で並べました。

スマートウォッチの世界シェアはこの6年でどう変わったのか|Apple 1強からファーウェイ首位へ、2020年からの調査データを時系列で振り返る

Series 12そのもののスペックと価格はこちらから。

Apple Watch Series 12が9月18日発売、71,800円から|心拍を一日中5秒ごとに測る新センサー、セラミックケースが2019年以来の復活

Apple Watch Ultra 4が9月18日発売、142,800円から|バッテリーは最大50時間、屋外ワークアウトは新モードで最大45時間に

準備度スコアの中身と、各社での呼び名の違いも整理しています。

Apple Watchの「準備度(レディネス)」とは何か|0〜10のスコアの中身と、各社バラバラな呼び名・尺度、そして信じすぎてはいけない理由

新モデル専用の機能と、旧モデルでも使える機能の線引きはこちらです。

Series 12とUltra 4でしか使えない機能と、旧モデルでも使える機能をApple公式のデータから解説 watchOS 27に更新しても準備度は使えない

Garminの強さは、中古価格の落ちにくさにも表れています。

スマートウォッチは半年で価値の何%を失うのか|eBay 6,372件の分析でGarminが69%、Galaxy Watchは42%【海外調査】

 はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、 記事の探し方ガイド から目的別に読めます。

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事