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Apple Watch Series 12とUltra 4の技術仕様には、どちらも「容量64GB」と書かれています。ところがこの2機種には、実際にはその倍にあたる128GBのフラッシュメモリが載っているのではないか、という指摘が海外で出ています。
言い出したのは中国のハードウェア研究者とされていますが、氏名も、根拠になる分解写真も公表されていません。今の時点では確認の取れていない話で、はっきりするのは分解の結果が出てからになります。
それでも、これは発表前から少しだけ尾を引いている話でもあります。何が言われているのかと、仮に本当だったとして読者にとって何か変わるのかを整理します。
中国の研究者が指摘した128GBのNAND
MacRumorsが現地時間2026年9月21日に報じた内容です。中国のハードウェア研究者の主張として、AppleはApple Watch Series 12とUltra 4に128GBのNANDフラッシュのダイを使っている、とされています。どちらも公式に案内されている容量は64GBです。
ただし、公開されているのは主張そのものだけです。研究者が誰なのかも、何を見てそう判断したのかも明らかになっていません。MacRumors自身も、分解によって状況がはっきりすることが期待される、という書き方にとどめています。
Appleはこの件について何も説明していません。使える容量をなぜ制限しているのか、そもそも128GBのダイを使っているのかどうかも、公式には確認されていない段階です。
公称の容量は前の世代から据え置きの64GB
まず、公式に案内されている数字を確認しておきます。Apple公式の技術仕様では、Series 12もUltra 4も容量は64GBで、チップはどちらもS11です。
| モデル | 公称の容量 |
|---|---|
| Apple Watch Series 11 | 64GB |
| Apple Watch Series 12 | 64GB |
| Apple Watch Ultra 3 | 64GB |
| Apple Watch Ultra 4 | 64GB |
4機種とも同じで、今年のモデルでも増えていません。Apple Watch Series 11とSeries 12は何が変わったのか|S11チップと5秒ごとの心拍測定、セラミック復活で71,800円からでも触れたとおり、ストレージは据え置きが公式の回答です。
今回話題になっているのは、この公称値そのものではなく、その裏にある物理的なチップの話ということになります。
なぜ公称より多いチップを載せることがあるのか

そもそもフラッシュメモリの製品では、利用者から見えない予備の領域を持たせるのが普通です。オーバープロビジョニングと呼ばれる考え方で、SSDやスマートフォンの内蔵ストレージでも当たり前に行われています。
予備を持たせる理由はいくつかあります。書き込みが同じ場所に集中して寿命が偏らないように分散させること、書けなくなったブロックを予備と入れ替えること、書き換えのときに発生する整理の作業に余裕を持たせることなどです。
一般的な比率としては7%程度、多めに取る用途で28%程度が業界の目安とされています。つまり、公称の容量より物理的に少し多く積むこと自体は、珍しくもなんともありません。
MacRumorsが可能性として挙げているのも、この線です。センサーのデータを激しく読み書きするために一部を確保しているのではないか、あるいは耐久性のためのバッファとして持たせているのではないか、という見立てです。Apple Watch Series 12が9月18日発売、71,800円から|心拍を一日中5秒ごとに測る新センサー、セラミックケースが2019年以来の復活で書いたとおり、Series 12は心拍を一日中5秒ごとに記録する仕組みになったので、書き込みの量が前の世代より増えていること自体はありえます。
ただし半分を隠すとなると一般的な予備領域では説明がつかない
ここで引っかかるのが割合です。128GBのうち64GBだけを見せているとすれば、隠れているのは全体の50%にあたります。先ほどの7%から28%という一般的な予備領域の比率とは、桁がひとつ違います。
耐久性のための予備というだけでは、さすがに説明が苦しくなります。センサーのデータを書き込むといっても、心拍や体の動きの記録はテキストに近い軽いデータで、64GBを丸ごと専有するような量にはなりません。
もう少し素直な説明があるとすれば、同じ容量のダイをまとめて調達して製品をまたいで使い回している、といった製造や調達の都合でしょう。ただしこれは一般論としてありうるという話で、Appleがそうしているという情報があるわけではありません。
結局のところ、理由は分かっていません。分かっていないことを分かったように書けない部分です。
8GBのはずが12GBだったM4 iPad Proの前例
似た話は2024年にもありました。M4チップを積んだiPad Proで、分解した人がメモリチップの刻印を読み取ったところ、8GBとされていたモデルに6GBのモジュールが2枚、つまり合計12GB載っているように見える、と指摘されたものです。MacRumorsのフォーラムで見つかり、海外メディアが取り上げました。
16GBのモデルのほうは8GBのモジュールが2枚で、仕様どおりでした。このときもAppleは理由を説明していません。
ただし、これはメモリ(RAM)の話で、今回のフラッシュメモリとは役割が違います。同じ現象と呼ぶのは正確ではないので、公称より多く積んでいるように見えた例が過去にもある、という並べ方にとどめておくのが妥当だと思います。
発表前にも128GBの痕跡は見つかっていた

この話には前段があります。発表前の9月上旬、watchOS 27のベータのコードから、T8320チップに紐づく128GBのNANDのプロファイルが見つかっていました。当時は「ストレージが倍増するのではないか」と受け取られていた材料です。
その経緯はApple Watch Series 12とUltra 4は何が変わるのか? watchOS 27のコードに「Readiness」アプリ・筋トレ詳細記録・新センサー・128GBの痕跡【海外リーク】にまとめてあります。
ふたを開けてみると発表されたのは64GBだったので、当サイトでは事前予想の答え合わせで、この128GBを不発の側に分類しました。ベータのコードに何かが書かれていることと、それが製品になることは別だ、という例として扱った形です。
今回の指摘がもし正しければ、この整理には少し補足が要ることになります。コードに書かれていた128GBは実在したものの、使える形では開放されなかった、という読み方もできるからです。とはいえ、これも分解の結果を待たないと確定しません。
いま使える容量が増えるわけではない
読者にとって大事なのはここだと思います。仮に物理的に128GB積んでいたとしても、使える容量は64GBのままです。
将来のソフトウェア更新で残りが開放されるかどうかは分かりません。少なくとも、そうなると示す情報は出ていません。M4 iPad Proのときも、8GBとされたモデルが後から12GBとして使えるようになったという話は出てきませんでした。
つまり、買うかどうかの判断材料にはならない話です。Apple Watchを選ぶときは、今の64GBで自分の使い方に足りるかどうかで考えるほうが現実的だと思います。音楽やポッドキャストを大量に持ち歩く人以外は、64GBを使い切ること自体がそう多くありません。
まとめ
Apple Watch Series 12とUltra 4に、公称の倍にあたる128GBのNANDフラッシュが載っているのではないか、という指摘が中国のハードウェア研究者から出ています。ただし氏名も分解写真も公表されておらず、Appleも何も説明していません。
フラッシュメモリで公称より多く積むこと自体は珍しくありませんが、一般的な予備領域は7%から28%程度で、半分を隠すというのはその範囲を大きく超えます。理由は今のところ分かっていません。
発表前にはwatchOS 27のコードから同じ128GBの痕跡が見つかっており、当時は容量倍増の予想として扱われて、結果は不発でした。今回の指摘はその話の続きにあたりますが、はっきりするのは分解の結果が出てからです。
そして仮に本当だったとしても、使える容量は64GBのまま変わりません。今の時点では、そういう話が出ているという以上のことは言えない段階だと考えています。
Source: MacRumors「Apple Watch Series 12 and Ultra 4 May Have Hidden Flash Storage」(2026年9月21日)/容量とチップの表記はApple公式の技術仕様より。記事中の画像はイメージです(出所:Unsplash)
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発表前に見つかっていた128GBの痕跡については、こちらで詳しく扱っています。
Apple Watch Series 12とUltra 4は何が変わるのか? watchOS 27のコードに「Readiness」アプリ・筋トレ詳細記録・新センサー・128GBの痕跡【海外リーク】
事前予想がどこまで当たっていたかは、こちらで答え合わせをしました。
Apple Watchの噂はどこまで当たったのか|Series 12・Ultra 4の事前予想28件を答え合わせ、的中11件・不発10件
前の世代から何が変わったのかは、この2本に整理してあります。
Apple Watch Series 11とSeries 12は何が変わったのか|S11チップと5秒ごとの心拍測定、セラミック復活で71,800円から
Apple Watch Ultra 3とUltra 4は何が変わったのか|バッテリーが50時間に、屋外ワークアウトは最大45時間で142,800円から
発売時のスペックと価格はこちらにまとめています。
Apple Watch Series 12が9月18日発売、71,800円から|心拍を一日中5秒ごとに測る新センサー、セラミックケースが2019年以来の復活
Apple Watch Ultra 4が9月18日発売、142,800円から|バッテリーは最大50時間、屋外ワークアウトは新モードで最大45時間に
実機で確かめた内容はこちらです。
【速報レビュー】Apple Watch Series 12|心拍の記録が点から帯に変わった 発売日にSeries 10と並べて確かめた
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