Apple Watch Series 11とSeries 12は何が変わったのか|S11チップと5秒ごとの心拍測定、セラミック復活で71,800円から

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並んで置かれた2台のApple Watch Series 12。1台は背面のヘルスセンシングシステム、もう1台は心拍数アプリを表示している。

Appleが2026年9月9日(日本時間9月10日)にApple Watch Series 12を発表しました。予約はすでに始まっていて、発売は9月18日(金)、価格は71,800円(税込)からです。

今回の主役は本体デザインではなく、中に入っているセンサーです。Series 11から見て何が変わって、何がそのままなのかを整理します。結論から言うと、心拍の測り方が根本的に変わった一方で、画面もサイズもバッテリーも据え置きという、かなり分かりやすい世代です。

Series 11とSeries 12のスペック比較

項目 Series 11 Series 12
チップ S10 S11
ケースサイズ 46mm / 42mm 46mm / 42mm
寸法(46mm・アルミ/チタン) 46×39×9.7mm 46×40×9.7mm
重量(46mmアルミ・GPS) 37.8g 39.5g
重量(46mmチタニウム) 43.1g 44.9g
セラミックケース なし あり(47×41×9.85mm/51.3g・52.9g)
解像度(46mm) 416×496 416×496
表示領域(46mm) 1,220平方ミリメートル 1,196平方ミリメートル
最大輝度 2,000ニト 2,000ニト
前面ガラス(アルミ) Ion-Xガラス Ceramic Shield 2
心拍センサー 第3世代の光学式心拍センサー+電気心拍センサー 新しいヘルスセンシングシステム(第3世代の電気心拍+常時計測の光学式)
心拍の測定頻度 数分おきのバックグラウンド測定 一日を通して5秒ごと
HRVの測定頻度 従来 最大24倍の頻度
準備度スコア なし あり(0〜10)
日中バイタル値 なし あり
バッテリー 最大24時間/低電力38時間 最大24時間/低電力38時間
屋外ワークアウト 最大10時間(前世代比+25%)
15分充電での駆動 最大8時間 最大12時間
5分充電での睡眠記録 最大8時間 最大10時間
容量 64GB 64GB
GPS L1 L1
Wi-Fi / Bluetooth Wi-Fi 4(2.4/5GHz)/5.3 Wi-Fi 4(2.4/5GHz)/5.3
耐水・水深計 50メートル/6メートル 50メートル/6メートル
価格 71,800円(税込)から
(2025年の発売時は64,800円)
71,800円(税込)から

変わったところ

心拍を5秒ごとに測り続けるようになった

一日を通して5秒ごとに測定した心拍数を表示するApple Watch Series 12の心拍数アプリ。

いちばん大きい変化がここです。Series 12は新しいヘルスセンシングシステムを積み、より大きく電力効率に優れたグリーンLEDを使った光学式心拍センサーで、一日を通して5秒ごとに心拍数を測定します。ワークアウト中だけでなく、何もしていない時間も継続的に測り続けるということです。

Appleは1,000人を超える参加者を対象にした比較調査をもとに、ウェアラブルデバイス史上もっとも高い精度だとしています。発表イベントでは、バックグラウンドの心拍測定が従来の60倍の頻度になり、HRVは最短5分ごとに測られると説明されました。

発表イベントでは、この新しいヘルスセンシングシステムが3つの点で作り直されたと説明されました。

ひとつ目は、同じ小さな筐体のまま電極の表面積を広げたこと。心電図を測るときの肌との接触がよくなります。ふたつ目は、フォトダイオードをリング状に並べ直したこと。光をより効率よく捉えるための再設計です。3つ目が、より大きく電力効率に優れたグリーンLEDで、体が動いている最中でも一日中正確に測れるようにするためのものです。

プレスリリースで触れられているのは3つ目のLEDだけですが、精度が上がった理由は電極と受光側の作り直しにもある、ということになります。

精度の検証方法についても、発表イベントで踏み込んだ説明がありました。心電図のチェストストラップを基準にして、数百人の参加者がランニング、サイクリング、HIITを行いながら、ほかのウェアラブルと直接比較するという形で試験したとのことです。止まっているときではなく、動いている最中の精度を比べたという点が肝になります。測定が細かくなったことで「エクササイズ」と「ムーブ」のリングの精度も上がるとしていて、日々の記録の土台そのものが変わる部分です。

心拍変動(HRV)も最大24倍の頻度で測るようになりました。回復時HRVと全体的HRVの2種類が用意され、前者はその日のストレスと回復を、後者は心血管系を含む広い健康状態を見るためのものと説明されています。

「準備度」という新しいスコアが入った

「無理せずに」「準備完了」「絶好調」の準備度スコアを表示する3台のApple Watch Series 12。

準備度は、最近のアクティビティ、トレーニングの負荷、バイタル、睡眠スコアを分析して、その日の身体の状態を0〜10のスコアで示す新機能です。スコアには「休養」「無理せずに」「準備完了」「絶好調」という言葉が添えられます。

激しいワークアウトをしたり日中のバイタルが動いたりすると、その日のうちに随時更新されます。スコアの根拠になった要因も表示されるので、数字だけ見て終わりにならない作りです。アルゴリズムはApple Heart and Movement Studyのデータを使い、Appleの運動科学者と医師が共同で開発したとしています。

WHOOPやOura Ringが先に定着させた「今日どれくらい動けるか」という指標に、Appleが正面から乗ってきた形です。

日中バイタル値が追加された

日中バイタル値を表示しているApple Watch Series 12。夜間の指標と切り替えられる。

これまでのバイタルアプリは夜間の測定が中心でしたが、Series 12では日中バイタル値の表示が加わり、夜間と日中を切り替えられるようになりました。夜の数値を見る前に日中の変化に気づける可能性がある、というのがAppleの説明です。

セラミックが復活し、アルミはCeramic Shield 2に

パールホワイトのセラミックケースとサンドのスポーツバンドを組み合わせたApple Watch Series 12。

素材の選択肢が増えました。アルミニウムとチタニウムに加えて、セラミックケースが用意されます。カラーはパールホワイトとナイトブルーの2色で、付属のスポーツバンドにはケースと調和するセラミックバックルが採用されています。Apple Watchでセラミックが選べるのは久しぶりです。

アルミニウムモデルの前面ガラスはCeramic Shield 2になりました。AppleはSeries 11のIon-Xガラスと比べて60%頑丈だとしています。

カラーも入れ替わりました。アルミはダークブロンズ、ブラック、ライトゴールド、スペースグレイの4色、チタニウムはナチュラルに新色のラディアントゴールドが加わった2色です。

充電が速くなった

バッテリーの駆動時間そのものは変わっていませんが、充電の効率は上がりました。15分の充電で最大12時間使えるようになり、Series 11の8時間から50%増えています。寝る前に少し充電して睡眠記録に使う場合も、5分の充電で最大10時間の記録ができます。

屋外ワークアウトでの駆動時間は最大10時間で、前世代より25%長くなったとしています。

歩数の計測が作り直された

歩数計のモデルが機械学習で完全に再設計され、屋内のウォーキングやランニング中の距離がより正確になりました。文字盤に歩数のコンプリケーションを置いて、リアルタイムで確認できるようになっています。

音まわりとSiriも動く

年内にオーディオインテリジェンスが加わります。サイレンやアラーム、ドアベル、赤ちゃんの泣き声などを検知して知らせる「サウンド認識」がApple Watch単体で使えるようになり、周囲で流れている音楽をShazamが自動で判別してスマートスタックに表示します。音声は録音も保存もされず、S11チップ内のSecure Exclaveという隔離された領域で処理して即座に削除する、という設計です。

オーディオインテリジェンスには、ほかにLive RewindSiri Recapという2つの機能があります。

Live Rewindは、デジタルクラウンをダブルプレスすると、直前15秒の会話がテキストで表示される機能です。聞き逃した部分や聞き取りにくかった言葉を後から確認でき、その内容をSiriに質問したり、新しいSiriアプリに保存して後で読み返したりできます。

Siri Recapは、会話が終わったあとにApple Intelligenceが要点をまとめてくれる機能です。オンにしておくと、タイトルと要点がSiriアプリに自動で作られます。記録するかどうか、いつ使うかはユーザーが選べます。

この2つは2026年後半にベータ版として提供され、まず英語から始まります。Apple Intelligenceに対応したiPhone 16以降(iPhone 16eを除く)が必要で、EUでは当初提供されません。サーバー側の処理を使う機能には1日あたりの利用上限もあります。

またwatchOS 27でSiri AIに対応します。ただし9月15日(火)の時点ではベータ版で、デバイスを英語に設定している必要があります。日本語への対応は10月の予定です。

watchOS 27そのものは9月15日(火)に配信され、Series 9以降、SE 3、Ultra 2以降が対象です。

変わらなかったところ

ここが今回いちばん大事な部分です。Series 12は、本体まわりのほとんどを据え置いています

ケースサイズは46mmと42mmのまま、厚さもアルミニウムとチタニウムは9.7mmで変わりません(セラミックのみ9.85mmです)。横幅だけ39mmから40mmへ1mm広がりました。解像度も416×496と374×446で同じ、最大輝度も2,000ニトで据え置きです。表示領域はわずかに小さくなっていますが、実使用で気づく差ではないでしょう。

バッテリーの駆動時間も最大24時間、低電力モードで38時間のままです。ストレージも64GBで据え置き、GPSはL1のまま2周波にはなっていません。Wi-FiもBluetoothも同じ、耐水50メートルと6メートルの水深計も同じです。

そして心電図、血中酸素ウェルネス、睡眠時無呼吸の通知、睡眠スコア、転倒検出、緊急SOSといった主要な健康・安全機能は、Series 11の時点ですでに揃っていました。ここが増えたわけではありません。

重量はむしろ少し増えています。46mmのアルミニウム(GPSモデル)で37.8gから39.5gと、1.7g重くなりました。センサーを積み増した分と考えるのが自然です。

日本では高血圧パターンの通知が当面使えない

購入前に知っておきたい注意点があります。Appleはプレスリリースの注釈で、日本においては初期段階ではSeries 12とUltra 4で高血圧パターンの通知を利用できないと明記しています。これらのモデルでの利用については規制当局に追加承認を申請中で、来年利用可能になる予定とのことです。

日本で買う場合、この機能を目当てにするなら待つ必要があります。前世代での提供状況とあわせて、購入前にAppleの「利用できる機能」を確認しておくのが確実です。

価格は7月にすでに上がっていた

Series 12は71,800円(税込)からです。これはSeries 11のいまの価格と同じで、新モデルになったから上がったわけではありません。

というのも、2026年7月18日にAppleが日本限定で価格を改定しており、その時点でSeries 11は64,800円から71,800円へ、すでに7,000円上がっていました。つまり日本での値上げは7月に済んでいて、9月の新モデルはその価格を引き継いだ形になります。

米国では399ドルからで、こちらも据え置きです。発表イベントでもSeries 12とApple Watch Ultra 4は価格据え置きと説明されていました。7月の改定が円安を受けた日本限定のものだったことを踏まえると、筋は通っています。

Apple Watch SE 3も41,800円(税込)のままです。こちらも7月に37,800円から上がっていました。

Series 11から買い替えるべきか

急ぐ必要はない、というのが率直なところです。 画面もサイズもバッテリーも同じで、健康機能の「項目」も増えていません。日常の使い心地はほとんど変わらないはずです。

一方で、買い替えの理由がはっきりしている人もいます。心拍の連続測定と準備度スコアを使いたい人です。5秒ごとの測定と最大24倍の頻度のHRVは、後からソフトウェア更新で降りてくる性質のものではなく、新しいセンサーがあって初めて成立します。トレーニングの負荷を管理していて、WHOOPやOura Ringのような回復指標をApple Watchひとつで見たいなら、これは待っても手に入りません。

逆に、通知を見て、Suicaで改札を通って、睡眠を記録して、という使い方が中心なら、Series 11で不足はありません。セラミックやラディアントゴールドに心を惹かれたなら、それは十分な買い替え理由だと思います。

まとめ

Series 12は、外側をほとんど変えずに、内側のセンサーを入れ替えた世代です。5秒ごとの心拍測定と準備度は明確な前進で、Appleが「回復」というテーマに本腰を入れてきたことがはっきり分かります。

同時に、画面もバッテリーもストレージも据え置きなので、そこを期待していた人には物足りない内容でもあります。自分がApple Watchに何を求めているかで、評価がきれいに分かれる一台です。

Source: Apple Newsroom(プレスリリース)Apple公式サイト(仕様)。記事中の画像はApple提供

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