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健康や運動のデータを測るデバイスといえば、Garmin(ガーミン)はこれまで一貫して「腕に着けるもの」を作ってきました。その前提が変わるかもしれない登録情報が、インドネシアの認証データベースで見つかっています。名前は「CIRQA Smart Ring」。7月に海外で発表され、日本では8月6日に発売されたばかりの画面なしバンド「CIRQA Smart Band」と、同じブランド名を持つ指輪型のデバイスです。
ただし現時点で確認できているのは、認証データベースへの登録が1件だけ。外観も価格も発売時期も分かっていません。それでも海外で話題になっているのは、Garminの幹部が2年前に「リングより手首のほうが有利だ」とはっきり語っていたからです。今回は、何が分かっていて、何が分かっていないのかを順番に整理します。
※この記事のトップ画像はGarminの既存スマートウォッチのイメージです。CIRQA Smart Ringの外観は公開されていません。
インドネシアの認証データベースに現れた「CIRQA Smart Ring」
今回の情報源は、インドネシアの電子機器認証データベース「e-Sertifikasi」に登録された1件の記録です。申請したのはGarminのインドネシア法人であるPT Garmin Indonesia Distributionで、申請日は2026年8月12日。登録内容は「CIRQA Smart Ring」という名称のフィットネス機器で、製造地は台湾、証明書番号は「125338/DJID/2026」と記載されていました。
この登録を最初に見つけたのは、海外のGarmin専門ブログ「Garmin News」です。その後データベースを検索しても該当ページは見当たらなくなっており、すでに取り下げられた可能性がありますが、掲載中に海外掲示板Redditのユーザーが画面のスクリーンショットを保存していたため、記録自体は残っています。
認証機関への登録は、製品を各国で販売するために必要な手続きです。逆にいえば、社内の検討段階を過ぎて「売る準備」に入った段階でなければ普通は行われません。とはいえ登録=発売確定ではなく、計画が途中で止まることもあります。Garminの未発表機が認証機関の登録から先に見つかる例は今回が初めてではなく、8月上旬にはLTEと衛星通信に対応した新型スマートウォッチが米国FCCに登録されたばかりです。
そもそも「CIRQA」とは何か|画面なしバンドの名前だった
CIRQA(サーカ)は、Garminが今夏に立ち上げたばかりの新しいブランド名です。第1弾のCIRQA Smart Bandは、海外価格199ドルの画面を持たないヘルス&フィットネストラッカーで、手首だけでなく、別売りのアームバンドを使えば上腕にも装着できます。

計測できるのは、第4世代の光学式心拍センサー(Elevate Gen 4)による心拍数のほか、体のエネルギー残量を示すGarmin独自の指標「Body Battery」、血中酸素トラッキング、ストレスレベル、皮膚温、そして睡眠の深さの段階まで。画面がないぶん、データはすべてスマートフォンの無料アプリ「Garmin Connect」で確認する仕組みです。日本では2026年8月6日に32,800円(税込)で発売され、基本機能はサブスクリプション不要で使えます。
つまり今回の登録が本物なら、Garminは「画面を持たない健康トラッカー」というジャンルを、手首から指へと広げようとしていることになります。なお、現時点で実際に買えるのはバンドのほうだけです。
「CIRQA」はシリーズ名になるのか|欧州とカナダの商標が示すもの
バンドとリングで同じブランド名が使われるということは、CIRQAが1製品の名前ではなく、シリーズ名として設計されている可能性を示します。実際、今年に入って欧州とカナダで確認されたCIRQAの商標出願は、その記載内容が「手首に着けるもの」に限定されておらず、身につけて使うセンサー全般を広くカバーする文言になっていたと報じられています。
Garminにとって、画面を捨てるという判断自体はすでに一度下したものです。CIRQA Smart Bandの前にも、睡眠計測に特化した腕章型の「Index Sleep Monitor」がありました。画面なしモデルはWHOOPやOura Ringの人気を受けてジャンルとして定着しつつあり、各社が続々と参入しています。その流れの中でGarminが指まで手を伸ばすのは、不自然な話ではありません。
2年前は「手首のほうが上」と語っていた
それでも今回の登録が驚きをもって受け止められたのは、Garminの幹部がリング型に対してかなり否定的だったからです。2024年にプラハで開かれたGarmin Health Summitで、フィットネス担当バイスプレジデントのJoe Schrick氏と、ヘルスエンジニアリング担当シニアディレクターのScott Burgett氏は、海外メディアPULSE by Wareableの取材にこう答えていました。
Schrick氏は「手首のほうがデータの忠実度は高くなる。電力に余裕があり、LEDもセンサーも多く積めて、バッテリー持ちも稼げるからだ」と説明し、リングの利点については「装着感は確かに優れている。ただ、良い点はおそらくそこまでだ」と語っています。Burgett氏も、リングの信号対雑音比は「動きの少ない状態であれば」手首でも同等にでき、電力の余裕を考えれば上回る可能性すらある、という見方を示していました。
この発言から2年。2025年末には画面なしのリカバリーバンドを開発中ではないかという観測が海外で盛り上がり、それが実際にCIRQA Smart Bandとして形になりました。社内の判断が本当に変わったのか、それとも製品化まで進まない試作で終わるのかは、認証登録1件からは読み取れません。
実現すればOuraやサムスンと同じ土俵に立つ
もしCIRQAのリングが2026年後半から2027年初頭にかけて登場すれば、Garminはスマートリング市場で先行するOuraと正面から競合することになります。加えて、腕時計とリングの両方を手がけるサムスンや、複数の装着形態を持つブランドとも同じ土俵に立つことになります。
Garminにとっての強みは、月額課金なしで基本機能が使えることと、長年蓄積してきたGarmin Connectのデータ資産です。すでにGarminのスマートウォッチを使っている人にとっては、寝るときだけリングに付け替えるといった使い分けも現実的になります。サムスンも次世代モデルについて「必ず今後のウェアラブル製品群の一部になる」と明言しており、指を巡る競争は今後さらに激しくなりそうです。
海外メディアにも広がる関心|CIRQAバンドを使う記者は「指のほうがいい」
(2026年8月28日追記)この登録は、その後も海外で取り上げられ続けています。米国のTom’s Guideは8月25日付で同じ認証申請を報じ、GarminがOura、サムスン、Circular、Ultrahumanといった先行ブランドに対抗するリングを設計している可能性があると伝えました。情報の出どころは前述のGarmin Newsと同じで、新しい事実が加わったわけではありません。それでも認証申請1件がこれだけ引き継がれて報じられること自体が、Garminのリング参入に対する関心の高さを表しています。
同記事で目を引くのは、CIRQA Smart Bandを3週間使っているという担当記者の受け止め方です。バンドそのものには好印象を持ちながら、「Oura Ring 5と比べるとまだかさばる」と率直に書き、時計を着けて寝なくても睡眠や生理周期を記録できるGarminのリングが欲しい、と述べています。画面なしバンドを実際に日々使っている層のなかにも、もう一段小さくしてほしいという要望が確かにある、ということです。
Garminがこれまで掲げてきた「腕なら電力にもセンサーの数にも余裕がある」という理屈は、測定の精度という一点で見れば筋が通っています。ただ、寝るときに着けたいと思えるかどうかは、精度とは別の判断軸です。CIRQAというシリーズ名のもとで手首と指の両方を用意できれば、その2つを製品側で切り分けられることになります。日本で買えるスマートリングを一覧で比べた記事もあわせて参考にしてみてください。
現時点で分かっていること・分かっていないこと
| 項目 | 現時点の内容 |
|---|---|
| 製品名 | CIRQA Smart Ring(認証データベース上の記載) |
| 登録先 | インドネシアの認証データベース e-Sertifikasi |
| 申請者 | PT Garmin Indonesia Distribution |
| 申請日 | 2026年8月12日 |
| 証明書番号 | 125338/DJID/2026 |
| 製造地 | 台湾 |
| 登録の状態 | 現在はデータベース上で確認できず、取り下げられた可能性 |
| 外観・画像 | 公開されていない |
| 価格 | 不明 |
| 発売時期 | 不明。Garminからの公式発表もなし |
| 搭載機能 | 不明。CIRQA Smart Bandと共通の指標が使われるかも未確認 |
まとめ|期待するには早いが、覚えておく価値はある
今回明らかになったのは、認証データベースに「CIRQA Smart Ring」という名前で1件の登録があった、という事実だけです。レンダリング画像も価格も出ておらず、Garminからの公式なコメントもありません。認証を取っただけで市場に出ないまま終わる製品も珍しくないので、発売を前提に待つ段階ではないというのが正直なところです。
それでも、この1件が注目に値するのは、Garminが「手首こそが最適」という立場を長く守ってきたブランドだからです。画面なしバンドを出し、シリーズ名として使えそうな商標を各国で押さえ、そのうえでリングの認証を取ったとすれば、点と点はつながって見えます。スマートリングを検討している人にとっては、選択肢がもう一段増える可能性がある、という程度に頭の片隅へ置いておくとよさそうです。続報が入り次第、あらためて整理してお伝えします。
Source: Wareable/Tom’s Guide/記事中の画像はイメージです(出所:Unsplash)
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