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スマートウォッチがうつ病の発見・予防にも一定の有効性。海外大学の研究結果  

スマートウォッチの使い方、基礎知識

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ストレスが多い仕事をしている人の多くは時間的にも心理的にも余裕があまりありません。

そのため、うつ病にかかるかもしれないという状態に陥っていても、それを自覚することも診療を受けることも難しいケースがあります。最近発表されたある研究(*1)によると、スマートウォッチやフィットネス・トラッカーを常時着用することによって、そうした危険な兆候を予知することができるかもしれません。

シンガポールの南洋理工大学(Nanyang Technological University)が2021年10月に発表したこの研究では、被験者となった290人の成人(平均年齢33歳)は14日間連続してFitbit Charge 2を常時着用することを求められました。例外は入浴と充電を行う時間だけでした。

2週間の観察期間の前後、被験者たちはうつ病の診断に広く使われている質問を受けました。そこから得られた回答とFitbitのデータを組み合わせて解析すると、興味深い事実が明らかになりました。80%の確率でうつ病にもっともかかりやすい人ともっともかかりにくい人を区別できるということです。

不安定な睡眠パターンとうつ病の関連性

Fitbitは睡眠と心拍数に関するデータを正確に把握することで定評があります。

寝るときもFitbitを着用しておくと、睡眠が開始された時刻、終了した時刻、その間の睡眠のタイプ(浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠、覚醒)、そして心拍数の変動が記録されます。この研究ではこうしたデータと以前から医学的に用いられてきた診断方法との比較解析が行われました。

発見の1つは、うつ病の危険性が高い人は午前2時から午前4時までの2時間にもっとも大きな心拍変動があり、それに次いだのは午前4時から午前6時までの2時間だったことです。以前から睡眠中の心拍変動はうつ病の身体的指標として有効だとされてきました。

うつ病の危険性が高い人は就眠時刻と起床時刻が不安定

さらにもう1つ、Fitbitはうつ病の危険性が高い人は就眠時刻と起床時刻が不安定であることも示唆しました。うつ病で苦しむ人の多くは睡眠パターンが不定期になることも以前から知られていました。

ウェアラブルから取得された生活行動と身体的データはうつ病を発症するリスクを検出し、診断を助ける生理的指標になり得る。論文著者らは結論でそう述べています。ウェアラブルそのものにはうつ病を予測するだけの機能はなくても、そのデータと医学的モデルを組み合わせることで、うつ病の危険性が高い人とそうでない人を区別できるのだそうです。

ウェアラブルの進化がもたらす可能性

ところで、この研究で使用されたFitbit Charge 2は同社の最新モデルではありません。現在の最新バージョンはCharge 5です。研究が行われた時期がやや古いのか、あるいは古いバージョンなら大量に廉価で入手しやすかったからなのかは不明ですが、現在ではFitbitのデータ計測機能はさらに進化しているであろうことは大いに期待できます。Fitbitに限らず、ウェアラブルが医療に役立ち、人々の健康に寄与する可能性はさらに高まっていくのではないでしょうか。

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani

*1.  Digital Biomarkers for Depression Screening With Wearable Devices: Cross-sectional Study With Machine Learning Modeling.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34694233/

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