その海外通販サイト、大丈夫? 越境トラブル相談が過去最多9,127件|模倣品は税関で没収も、注文前に見る6つのチェックポイント

NEWS

公開日:

相手方事業者の所在地別グラフ。アメリカ30.2%(1,612件)が最多、キプロス11.7%、シンガポール9.8%、中国6.0%が続く

海外の通販サイトでガジェットを買う機会は、以前に比べて増えています。日本で売っていないブランドの製品、国内より安く出ている周辺機器、クラウドファンディング上がりの新製品。そういうものを個人で取り寄せるハードルは、ずいぶん下がりました。

その裏側で、海外事業者とのトラブル相談も増えています。国民生活センターが2026年8月5日に公表した集計では、2025年度の越境消費者相談は9,127件。前年度の6,005件から約1.5倍になり、窓口の開設以降でもっとも多くなりました。

この記事では、そのうち「モノを買って起きたトラブル」の部分に絞って見ていきます。国内通販とは、防ぎ方も、こじれたときの行き先も違うためです。

買ったモノの相談は、どのくらいあるのか

商品・サービス別の内訳から、「役務・サービス」を除いて件数の多い類型を抜き出すと次のようになります。割合はいずれも、相談全体9,127件に占めるものです。

商品類型 2025年度 2024年度
衣類 769件(8.4%) 435件
趣味用品 676件(7.4%) 438件
身の回り品 551件(6.0%) 391件
食品・日用品 348件(3.8%) 128件
家具・家電 281件(3.1%) 223件
履物 201件(2.2%) 89件
ソフトウェア 133件(1.5%) 160件

ガジェットが入りそうなのは「趣味用品」と「家具・家電」、それに小物であれば「身の回り品」です。この3つを足すと1,508件。相談全体9,127件の16.5%にあたります。

発表資料は、衣類や趣味用品の相談の中には「商品が届かず連絡が取れない等の悪質通販サイトに関する相談」も含まれている、と書いています。

トラブルの中身は「届かない」と「本物ではない」

トラブル類型でもっとも多いのは「解約」で、相談全体の53.0%(4,834件)を占めます。ただしこれはサブスクなど役務・サービスのトラブルが中心です。モノを買って起きるトラブルにあたる類型を抜き出すと、次の5つになります。

トラブル類型 件数 相談全体(9,127件)に占める割合
詐欺疑い 1,068件 11.7%
商品未到着 555件 6.1%
返品 307件 3.4%
不良品 161件 1.8%
模倣品到着 143件 1.6%

「詐欺疑い」1,068件には、商品を購入したが届かないという悪質通販サイトの相談のほか、FXや暗号資産が絡んだ投資話も含まれます。純粋に買い物の話だけではない点は、割り引いて見る必要があります。

なお、怪しい商品ページを見分ける観点は、国内で買う場合と共通する部分が多くあります。

国内と決定的に違うのは、支払い方法

決済手段別のグラフ。クレジットカードが72.1%(6,577件)で突出し、金融機関振込4.7%、資金移動3.2%が続く

海外事業者との取引で使われた決済手段は、クレジットカードが72.1%(6,577件)と突出しています。金融機関振込は4.7%、現金は3.2%にとどまり、コード決済サービスなどを含む「その他」が13.1%となっています。

ここが国内通販との大きな違いです。国内では代金引換のトラブルが急増していて、2025年度の相談は前年度比46.9%増でした。玄関先で現金を払ってしまうと取り返しがつかない、という構図です。

一方の越境取引は、そもそも代引きという選択肢がほぼありません。カード番号を相手に渡して決済する形が中心になります。事前にカード情報を渡すという点では、代引きより踏み込んだ取引をしていることになります。

相手はどこにいるのか

相手方事業者の所在地が判別できたのは、9,127件のうち5,346件でした(所在地不明が2,474件、事業者が国内だったものが1,307件)。その5,346件の内訳が、この記事の冒頭に載せたグラフです。以下の割合は、いずれもこの5,346件に対するものです。

アメリカが1,612件・30.2%で最多、次いでキプロス11.7%、シンガポール9.8%、中国6.0%と続きます。発表資料によると、シンガポールには航空券や衣類を扱う事業者が所在していました。

注目したいのは「所在地不明」が2,474件もあることです。トラブルになってから調べても、相手がどこの国にいるのか分からない。そういうケースが、相談全体9,127件の4分の1を超えています。

越境ならではの、3つの厄介さ

ソファでノッチ付きiPhoneを両手で持ち、書類アプリの画面を操作している女性

同じ「商品が届かない」でも、相手が海外だと事情が変わります。

1. 交渉の相手が日本にいない
問い合わせや解約の手続きが英語になったり、そもそも連絡先が分からなかったりします。日本語で表示されているサイトでも、運営は海外事業者ということがあります。

2. 模倣品は税関で止まることがある
国民生活センターは、悪質通販サイトのトラブルとして「商品が模倣品だったため税関で没収された」という例を挙げています。国内の事業者から買うときには、まず起きない事態です。手元に届かないうえ、代金も戻らないという結果になりえます。

3. 相談先が別にある
相手が海外事業者だと、通常の消費生活センターでは対応が難しい場合があります。そのために国民生活センターは越境消費者センター(CCJ)というオンラインの専用窓口を用意しています。今回の9,127件は、まさにこの窓口に寄せられた相談の数です。

注文前に見ておきたい6つのチェックポイント

国民生活センターは、悪質通販サイトを見分けるためのチェックポイントを公開しています。ひとつでも当てはまるなら、注文する前に慎重に判断してください。

・サイト内の日本語が正しく表記されていない
・市場では希少なものがこのサイトでは入手可能となっている
・ブランド、メーカー品で価格が通常より安い
・支払方法が限定されている。振込先の銀行口座の名義が個人名である
・キャンセル、返品、返金のルールがどこにも記載されていない
・サイト上に事業者の名称、住所、電話番号が明確に表記されていない

2つ目の「市場では希少なものが入手可能」は、ガジェットを探しているときに引っかかりやすいポイントです。国内で品切れが続いているモデルが、聞いたことのないサイトにだけ在庫がある。そういうときこそ、ほかの項目も確認したほうがよさそうです。

「悪質通販サイト情報」というリストがある

もうひとつ、知っておくと役に立つものがあります。

CCJは、自ら確認した悪質な通販サイトの一覧をPDFで公開しています(最新版は2026年6月17日付)。注文しようとしているサイトが載っていないかを、事前に確かめられます。

悪質通販サイトのトラブルにあわないために(国民生活センター)

ただし国民生活センター自身が断っているとおり、これは現存するサイトを網羅したものではありません。載っていないから安全、という使い方はできません。あくまで「載っていたら確実にやめる」ためのリストです。

まとめ

2025年度の越境消費者相談は9,127件で、開設以降最多でした。物品では衣類769件、趣味用品676件、家具・家電281件が上位で、モノ関連のトラブルは詐欺疑い1,068件、商品未到着555件、模倣品到着143件などでした(全体の最多はサブスク中心の解約4,834件です)。支払いの72.1%はクレジットカードでした。

海外から取り寄せること自体は、いまや特別なことではありません。ただ、相手が日本にいないという一点で、うまくいかなかったときの選択肢はかなり狭くなります。注文前に上の6項目とCCJのリストを見る。それだけで避けられるものは、思ったより多いはずです。

Source: 国民生活センター「2025年度 越境消費者相談の状況-越境消費者センター(CCJ)より-」(2026年8月5日・PDF)悪質通販サイトのトラブルにあわないために(2026年6月17日)
グラフはいずれも国民生活センターの公表数値をもとに編集部が作成

あわせて読みたい関連記事

同じ調査で最多だったのは、サブスクの解約トラブルでした。
そのフィットネスアプリ、解約できますか? 海外事業者とのトラブル相談が過去最多9,127件・1.5倍に

請求元が「キプロス」になる理由は、こちらで掘り下げました。
その請求元、キプロスかもしれません|越境トラブル相談で2年連続の上位、PDF編集サイトの運営会社が集まる理由
国内の通販では、支払い方法をめぐる相談が急増しています。
「代引きなら安全」は本当か? 代引き配達の相談が1年で46.9%増

怪しい商品ページの見分け方はこちらで詳しく解説しています。
買ってはいけないスマートウォッチの危険な特徴8選|失敗しない見分け方を専門サイトが解説

SNS広告から偽物を買ってしまう流れを実例で追いました。
ノースフェイスやAPEのApple Watchバンドは本物? SNS広告で急増中の「ブランド偽物バンド」を調査

聞いたことのないブランドの正体を整理しています。
Amazonでしか見ない“謎ブランド”家電とは? 実はOEM/ホワイトラベル製品が多い

注文の最終確認画面は必ず残しておきましょう。
ネット通販で後悔しないために。消費者庁が呼びかける“最終確認画面スクショ保存”

実物を見て買うという選択肢についてはこちら。
スマートウォッチ初心者の購入場所として「家電量販店」がオススメな理由

偽物・詐欺・危険広告をまとめた総集編です。
【徹底まとめ】スマートウォッチやガジェットの発火・偽物・詐欺・危険広告に要注意!

注意喚起の記事はこちらにまとまっています。
安全・注意喚起の記事一覧

 はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、 記事の探し方ガイド から目的別に読めます。

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事