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スマートウォッチやリストバンドの市場が、いま2つに割れています。調査会社Omdiaが2026年8月13日に公開した2026年第2四半期(4〜6月)の推計によると、ウェアラブルバンド全体の出荷は前年同期比2%減。ただし、この1つの数字の内側では、伸びている領域と落ちている領域がはっきり分かれています。
伸びているのは、画面を持たないシンプルなトラッカーと、精度と電池持ちを売りにした本格スポーツウォッチ。落ちているのは、その中間にあたる製品です。今回は公開された図表をもとに、どこで何が起きているのかを整理します。
全体は2%減、でもスマートウォッチは6%増
まず全体像です。ウェアラブルバンド(スマートウォッチとリストバンドを合わせたくくり)の出荷は、前年同期から2%減りました。
ただ内訳を見ると、スマートウォッチは6%増と伸びています。それを打ち消したのが、いわゆるフィットネストラッカーにあたるベーシックバンドで、こちらは9%減。主要メーカーが新製品の投入時期や製品サイクルを調整した影響とされています。加えて、画面付きの安価な時計型(ベーシックウォッチ)も3%減。特にインドで、前年に起きた出荷の急増が2026年には続かなかったことが響いています。
Omdiaのリサーチディレクター、Jason Low氏は「第2四半期のウェアラブル市場は、2つの明確な勝ち組に分かれつつある」と述べています。消費者が求めているのは、24時間着けっぱなしにできるミニマルな画面なしトラッカーか、精度が高く数日持つバッテリーを備えた多機能スポーツウォッチのどちらかで、その中間にあるベーシックウォッチと中位帯のスマートウォッチが取り残されている、という見立てです。
スマートウォッチはAppleが46%、GarminがSamsungに並んだ
スマートウォッチに絞ったシェアを見ると、上位の顔ぶれに動きがありました。

2026年第2四半期の世界スマートウォッチ市場シェア(出典:Omdia)
Appleは46%で首位を維持しました。前年同期の48%からはやや下げていますが、それでも2位以下のSamsung、Garmin、Huawei、XTC(imoo)を全部足した43%より大きいという水準です。
この四半期で目を引くのは2位争いです。Samsungが17%から15%へ下げた一方、Garminは11%から15%へ伸び、ほぼ横並びになりました。順位としてはSamsungがわずかに上ですが、差はごく小さくなっています。Appleを除くメーカーの中では、Garminの伸びが最大でした。
Omdiaは、Garminの伸びの背景に、ランニングやサイクリング、アウトドアといった本格的な用途の底堅い需要があると見ています。Forerunnerシリーズに手を出しやすいモデルを加えて、間口を広げてきたことも効いているという分析です。Low氏は「正確で高度なトレーニングデータを取り、それを行動に移せる示唆に変えてくれる機器になら、消費者はプレミアムを払うようになってきている」と述べています。
スマートウォッチとバンドを合わせるとHuaweiが首位
一方、リストバンドまで含めたウェアラブルバンド全体で見ると、順位はがらりと変わります。

スマートウォッチとリストバンドを合わせた市場ではHuaweiが首位(出典:Omdia)
首位はHuaweiで18%。前年の17%から1ポイント伸ばしました。2位のXiaomiは19%から17%へ下げており、ここでも順位が入れ替わっています。Appleは16%で3位です。
Huaweiの伸びを支えたのが、フラッグシップのキッズ向けスマートウォッチを世界市場に投入したことでした。Omdiaのリサーチマネージャー、Cynthia Chen氏は「セルラー対応ウェアラブルを国際市場へ広げる重要な節目」と位置づけ、iPhoneでもAndroidでも使えるクロスプラットフォーム対応と、糖尿病リスクの研究を含む幅広い健康機能が支持されていると説明しています。
画面なしトラッカーがベーシックバンドの15%超に
今回のレポートでもっとも新しい動きが、画面を持たないトラッカーの立ち上がりです。ベーシックバンド全体は苦戦しているものの、そのなかで画面なしモデルだけは別の動きを見せています。
GoogleのFitbit AirとGarminのCirqaが登場したことで、画面なしモデルがベーシックバンド出荷の15%超を占めるまでになりました。とくにFitbit Airは立ち上がりが速く、この分野の有力な選択肢になったとOmdiaは評価しています。
ただし手放しの評価ではありません。Low氏は「初速は心強いが、定着するには動作の安定性の改善と、機能の慎重な拡張が要る」と述べ、Whoopのような性能重視の先行勢と競うにはまだ課題があるとしています。Garminは画面なしバンド「CIRQA」を日本でも8月6日に発売しており、この分野の選択肢は日本でも増えてきました。
メモリ価格の上昇が、じわじわ効いてくる
もう一つ、今後に効きそうな話が添えられています。メモリとストレージのコスト上昇が、ウェアラブル全体の平均販売価格を押し上げているという指摘です。実際にSamsungのGalaxy Watchシリーズが値上げされ、その後に一部の高機能スポーツウォッチでも同じ動きが続いています。
Omdiaは2026年後半について、コスト圧力が高まるなかでメーカー各社が「示唆の質」「バッテリー持ち」「機種をまたいだ体験」で差をつけにいくと見ています。エコシステムを持つ大手ほど、機器どうしの連携やAI機能の作り込みを見せて、高い価格を納得させる必要が出てくるという整理です。
数字を読むときの注意点
調査会社の数字を見るときに、覚えておきたい点があります。会社によってスマートウォッチの定義が違うため、同じ市場でもまったく違う数字が出ることです。
実際、別の調査会社は2026年1〜3月期のAppleのスマートウォッチシェアを23%程度と推計しており、Omdiaの46%とは倍近い開きがあります。どちらかが誤っているというより、キッズウォッチや安価なモデルをどこまで数えるかという線引きの違いです。別の調査会社が出した2025年通年のウェアラブル市場のまとめとも、順位や伸び率の見え方が異なります。数字そのものより、同じ調査会社の前年同期と比べた変化を見るほうが、実態をつかみやすくなります。
まとめ|真ん中がいちばん苦しい
今回の結果を一言でまとめると、「はっきりした理由のある製品」が売れて、「なんとなく便利な製品」が売れなくなっているということです。24時間着けても気にならないから画面なしを選ぶ、トレーニングのデータが正確だからGarminを選ぶ。そうした選び方が増える一方で、中途半端な多機能さは決め手になりにくくなっています。
同じ四半期にAppleのウェアラブル部門が2四半期連続でプラス成長を記録していることを考えると、上位帯は依然として堅調です。買う側としては、自分がどちらの極に近いのかをはっきりさせるほど、選びやすい市場になってきたとも言えます。
Source: Omdia/図表出典:Omdia(Connected Life Horizon Service、2026年8月)
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