育児記録アプリ「めもり」がApp Storeで提供開始|Apple Watchから授乳や睡眠を記録でき予測は端末の中で動く

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iPhone2台とApple Watch Ultraにめもりの画面を表示したキービジュアル

育児の記録アプリは数多くありますが、記録したデータがどこに置かれるのかまで書かれているものは多くありません。計算機医療(Computational Medicine)の研究開発会社 Institute of LAG Research が、育児記録・アルバムアプリ「めもり」を2026年9月23日にApp Storeで提供開始しました。

授乳や睡眠、おむつといった手で入力する記録はすべて無料で、広告は表示されません。そして次の授乳の予測も、泣き声の検知も、おむつ写真の読み取りも、すべてiPhoneの中で処理されます。

スマートウォッチの観点で見逃せないのが、Apple Watchから直接記録できる点です。片手がふさがっている場面が続く育児で、腕だけで記録が終わるかどうかは小さくない差になります。

Apple Watchから授乳や睡眠をその場で記録できる

Apple Watchの母乳タイマー画面とiPhoneのウィジェット表示

Apple Watchからは授乳・睡眠・おむつ・体温を記録できます。画像のApple Watch Ultraには母乳の画面が出ていて、「次は左」という案内とともに左03:11・右06:10の時間が並び、合計09:21・今日6回と表示されています。緑の記録ボタンを押すだけで終わる作りです。

左右どちらから授乳したかは、記録し忘れると分からなくなる情報です。それを腕元で確認して、そのまま記録できる。スマートフォンを探して画面を開いて項目を選ぶ、という一連の動作が要りません。

iPhone側のウィジェットにも対応します。ホーム画面のウィジェットには次の授乳・おむつ・睡眠までの目安が、ロック画面のウィジェットには直近の記録が表示されます。画像では子ども2人分の残り時間が並んでいます。ただし目安の表示は有料プランの機能です。

Apple Watchが育児の場面で役に立つという話は、Apple Watchは育児も“運動”として検知する!子育て中にアクティビティリングが回る本当の理由でも取り上げたことがあります。

予測も検知もiPhoneの中で動く

Morning Brief・泣き声検知・便スキャンの3画面

めもりのAI機能は、クラウドに送らずiPhoneの中で動きます。内訳は3つです。

機能 動き
次の授乳・睡眠・おむつの予測 これまでの記録のパターンからiPhone上で計算し、毎朝のサマリー「Morning Brief」で1日の見通しを示す(有料プラン)
泣き声の検知 iPhoneのマイクで泣き声を判定する。音声は保存も送信もせず、泣いていた時間だけを記録する
おむつ写真の読み取り AppleのCore MLを使い、写真から色・量・かたさを判定して記録を補助する

泣き声の検知は、マイクを常に使う機能です。そこで「音声は保存も送信もしない」と明記している点が、この製品の姿勢を表しています。記録として残るのは泣いていた時間だけです。

端末の中だけで健康に関わるデータを処理するという考え方は、スマートウォッチの世界でも進んでいます。サムスンが「ヘルス基盤モデル」の研究を公開|脈波から心電図に近い情報を読み、時計の中だけで1ミリ秒未満で処理するという研究もありました。

なおめもりは医療機器ではなく、病気の診断を目的としたものではありません。子どもの体調が気になる場合は医療機関に相談してください。これはリリースにも明記されています。

妊娠中から12歳までの記録に対応する

記録画面・成長曲線・母子手帳のデジタル版の3画面

記録できる項目は次のとおりです。

・授乳(左右の母乳・搾乳・ミルク)
・睡眠
・おむつ
・体温
・離乳食と食事
・身長と体重
・服薬
・受診
・予防接種
・できたこと(発達)

保護者自身の体調や産後の回復を記録する項目もあります。記録する側の状態も残せるようになっているのは、育児アプリとしては珍しい部類です。

妊娠中から使えるよう、陣痛タイマーと母子手帳のデジタル版(健診・発達・予防接種の記録)も入っています。成長曲線はこども家庭庁の令和5年乳幼児身体発育調査をもとに表示されます。出典が明示されている点は、数値を見るうえで安心材料になります。

母子手帳をはじめとする健康記録をデジタルで持つという話は、国の制度側でも整理が進んでいる分野です。詳しくはパーソナルヘルスレコード(PHR)とは? 含まれる情報とマイナポータルとの関係、スマートウォッチのデータの扱いまで解説にまとめています。

すでに他のアプリを使っている場合の移行にも対応します。ぴよログ(PDF)とHuckleberry(CSV)から書き出したデータをiPhoneアプリで取り込めるため、これまでの記録を失わずに乗り換えられます。

招待した家族だけで共有する

家族の投稿画面とアルバム画面

共有は招待制です。公開のタイムラインやユーザー検索はなく、知らない人に見つかることはありません。祖父母や友人はQRコードや招待リンクから参加します。写真と動画は枚数の上限なく保存できます。

上位プランの「Ultra」では、投稿とコメントがエンドツーエンドで暗号化されます。設定によってアルバムの写真や動画も暗号化でき、その場合は誰であっても中身を見ることはできません。

健康や生活のデータを預ける先について、どこまで確認しておくべきかは整理しておく価値があります。スマートウォッチの健康データは勝手に使われる? 同意・第三者提供・削除のルールを条文で確かめるもあわせてどうぞ。

ブラウザからも記録を見られる

ブラウザ版めもりの統計表示

パソコンやタブレットからは memori.baby にアクセスすると、記録の統計やアルバムの閲覧ができます。月ごとの育児日記をPDFで書き出す機能もあります。スマートフォンの小さな画面では見づらい長期の推移を、あとから落ち着いて振り返る用途に向きます。

料金は無料から。医療的ケア児の家庭には無償提供

医療的ケア児向けの記録項目と無償提供の申告画面

手で入力する記録はすべて無料です。有料プランでは、AIによる予測と毎朝のサマリー、記録にもとづくAIの回答、音声での記録、祖父母や友人向けのグループ作成、4K/60fpsの動画保存などが使えます。

プラン 月額 年額 条件
無料 0円 0円 手で入力する記録はすべて利用できる
Partner Ultra 600円 6,000円 匿名化した記録を医学研究に役立てることへの同意が前提。その代わりに価格を抑えている
Ultra 1,200円 12,000円 研究協力は条件にならない。エンドツーエンド暗号化が加わる

価格はいずれも税込です。研究への協力は同意した人だけが対象で、いつでも撤回できるとされています。どちらのプランでも広告は表示されず、ユーザーのデータを販売することもないと明記されています。

医療的ケアが必要な子ども向けには、けいれん発作、成長ホルモン(GH)の投与、筋緊張、療育といった専用の記録項目が用意されています。該当する保護者がアプリ内で申告すると、有料プラン「Partner Ultra」を無償で利用できます。この場合も研究協力への同意は任意です。

開発したのはどういう会社か

Institute of LAG Research は2026年4月設立で、所在地は米国デラウェア州。日本の拠点は福岡市中央区天神に置かれています。代表は森口蓮音氏です。

計算機医療(Computational Medicine)を掲げ、医療データが限られた環境でも安全に使えるAIを研究しているとしています。めもりはその研究を暮らしの中に届ける最初のプロダクトという位置づけです。

代表の森口氏は次のようにコメントしています。

家族の写真・動画は、子供にとって強く不可逆である成長と、親にとってかけがえのない挑戦を描く大切な思い出です。10 年後に見返したとき、SNS に載せたような、人の目を気にしたきれいな写真ばかりだったら、そうではない時よりきっと残念でしょう。家族だけのアルバムだから、なんでも撮っておける。見返せば、ありありと記憶が蘇る。めもりはそういう場所であって欲しいと願っています。

アプリの概要

項目 内容
アプリ名 めもり – かんたん育児記録・家族アルバム
提供開始 2026年9月23日
価格 基本無料(アプリ内課金あり)
対応機種 iPhone、iPad(iOS/iPadOS 26.2以降)、Apple Watch
対応言語 日本語、英語、スペイン語
提供元 Institute of LAG Research

Android版は開発が進められているとのことです。現時点ではiPhoneとiPad、そしてApple Watchが対象になります。

まとめ

育児記録アプリとしての機能はひととおりそろっていますが、SWLの読者にとっての要点は2つに絞られます。

ひとつはApple Watchから授乳や睡眠をその場で記録できること。もうひとつは予測と検知が端末の中で完結することです。とくに泣き声の検知で「音声は保存も送信もしない」と明記している点は、マイクを使う機能としては踏み込んだ設計です。

手で入力する記録は無料で広告も出ないので、まず試してから有料プランを検討できます。iOS 26.2以降が必要な点だけ、導入前に確認しておくとよさそうです。

Source: Institute of LAG Research プレスリリース
画像:Institute of LAG Research

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