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2026年9月18日に発売されたApple Watch Series 12の価格は、71,800円(税込)からです。10年前の2016年9月に発売されたApple Watch Series 2は、37,800円(税別)でした。
海外メディアのBGRが2026年9月28日、この10年でスマートウォッチの価格がどう動いたかをまとめた記事を掲載しました。そこでの結論は「Apple Watchは369ドルから399ドルになっただけで、10年で30ドルしか上がっていない」というものです。
ただ、日本で買う私たちが払うのは円です。同じ10年を円で見ると、まったく違う景色が見えてきました。Appleの日本語プレスリリースで歴代モデルの価格を、日本銀行の統計で為替を、それぞれ取り直して並べ直してみます。

米国ではこの10年で30ドルしか上がっていない
まず、BGRが書いていることを確認しておきます。Appleの米国向けプレスリリースを見ると、たしかにそのとおりでした。
2016年9月発表のApple Watch Series 2は369ドルから。2026年9月発表のApple Watch Series 12は399ドルから。差は30ドル、率にして8.1%の上昇です。
10年でこの数字は、たしかに驚くほど動いていません。同じ10年でiPhoneは649ドルから799ドルまで上がっていますから、Apple Watchはかなり踏みとどまったほうだと言えます。
Apple Watchの最新モデルそのものについては、Apple Watch Series 12の色の選び方でも詳しく取り上げています。
同じ10年で日本では3万円以上上がった
ところが、日本での価格を並べるとこうなります。比較しやすいように、Series 2の税別価格を当時の消費税8%で税込に直しました。
| Series 2(2016年9月) | Series 12(2026年9月) | 変化 | |
| 米国価格 | 369ドル | 399ドル | +30ドル(+8.1%) |
| 日本の表示価格 | 37,800円(税別) | 71,800円(税込) | |
| 日本の税込価格 | 40,824円 | 71,800円 | +30,976円(+75.9%) |
ドルでは8%の値上がりが、円では76%になりました。体感でおよそ9倍の差です。
「Apple Watchは値上がりしていない」という話と、実際に店頭で見る価格の印象が食い違う理由が、ここにあります。
上がった分の8割は円安によるものだった
では、その3万円はどこから来たのでしょうか。日本の税込価格は「ドル価格 × 換算レート × 消費税率」で決まります。この3つがそれぞれどれだけ効いたのかを分けてみました。
| 要因 | 10年での変化 | 値上がりへの寄与 |
| 円安 | 1ドル102.44円 → 163.59円 | 82.9% |
| Appleによる本体価格の引き上げ | 369ドル → 399ドル | 13.8% |
| 消費税率 | 8% → 10% | 3.2% |
日本での値上がりの8割以上は、円安によるものでした。Apple自身が上げた分は全体の1割4分ほど、消費税の引き上げは3%程度にとどまります。
もし2016年当時の為替と消費税がそのまま続いていたら、Series 12は税込44,143円ほどで買えていた計算になります。実際の71,800円との差は、およそ26,800円です。
なお、この換算レートはAppleが実際に使った数字を逆算したものです。税別の円価格をドル価格で割ると、その世代でAppleがいくらで換算したかが分かります。
2018年以降 米国の価格は1ドルも動いていない
ここからが、今回いちばん驚いた部分です。
Appleの歴代プレスリリースをすべて確認したところ、Apple Watchのフラッグシップは2018年のSeries 4から2026年のSeries 12まで、9年間ずっと399ドルで据え置かれていました。Series 4、5、6、7、8、9、10、11、12。どの世代も399ドルです。
その9年間、日本ではこうなりました。
| Series 4(2018年9月) | Series 12(2026年9月) | 変化 | |
| 米国価格 | 399ドル | 399ドル | 変化なし |
| 日本の税込価格 | 49,464円 | 71,800円 | +22,336円(+45.2%) |
米国では9年間1ドルも上がっていないのに、日本では4割5分上がっている。これが、ドル建ての記事だけを読んでいると見えない部分です。
この期間にApple Watch自体は大きく進化しました。Series 4で心電図が使えるようになり、Series 6で血中酸素、Series 8で手首の皮膚温、そして直近では高血圧の可能性を知らせる通知や睡眠時無呼吸の通知が加わっています。米国の読者にとっては「399ドルのまま中身だけ増えた9年」ですが、日本の読者にとっては「中身も増えたが価格も4割5分上がった9年」でした。
Series 12は7月に上がった価格を据え置いた
もうひとつ、誤解されやすい点があります。
Series 12の71,800円という数字を見ると「新型で値上げされた」と受け取りがちですが、実際は違います。2026年7月18日に、前モデルのSeries 11が64,800円から71,800円へ改定されていました。Series 12はその水準をそのまま引き継いだ形です。
同じ7月の改定で、Apple Watch SE 3は37,800円から41,800円に、Apple Watch Ultra 3は129,800円から142,800円に上がっています。
同様の改定は2022年7月1日にもありました。当時のSeries 7は48,800円から58,800円へ、1万円の値上げです。どちらの改定も、直前に急速な円安が進んだ時期と重なっています。
Appleが日本で価格を動かすのは新型の発表時ではなく、為替が動いたタイミングだということが、この2回の改定から読み取れます。日本価格の改定という点では、Mac miniが94,800円から149,800円に上がった件も記憶に新しいところです。
ガーミンとGalaxy Watchはどうなっているか
Apple Watch以外も見ておきます。BGRが比較対象に挙げていたガーミンとサムスンについて、日本での価格を調べました。
| 製品 | 日本価格 | 米国価格 |
| ガーミン ForeAthlete 735XTJ(2016年7月) | 49,800円(税別) | 450ドル |
| ガーミン Forerunner 570(2025年6月) | 89,800円(税込) | 550ドル |
| サムスン Galaxy Watch8 Classic(2025年8月) | 82,900円(税込) | 420ドル |
ガーミンはドルで22%の値上がりに対し、円では67%上がっています。Apple Watchと同じ構図です。
ただしガーミンには続きがあって、Forerunner 570の現在の価格は74,800円まで下がっています。ドル価格から逆算すると1ドル123円前後の換算で、いまの実勢レートを大きく下回る水準です。日本では実質的にかなり割安になっていると言えます。
サムスンのGalaxy Watch8 Classicは82,900円で、420ドルから逆算すると1ドル179円ほどの換算になります。こちらは実勢より1割以上円安寄りの値付けです。同じ「海外ブランドのスマートウォッチ」でも、日本での値付けの考え方はかなり違うことが分かります。
ブランドごとの勢いの変化については、スマートウォッチの世界シェアはこの6年でどう変わったのかでも時系列でまとめています。
これから価格はさらに上がるのか
先行きについて、2つの調査会社が予測を出しています。
調査会社のガートナーは2026年2月26日、DRAMとSSDを合わせたメモリ・ストレージの価格が2026年末までに2025年比で130%上昇すると見込み、その結果としてパソコンの価格が17%、スマートフォンの価格が13%上がると予測しました。
スマートウォッチについては、調査会社のCCS Insightが2026年7月17日、2026年の平均販売価格が12%上昇するとの見通しを示しています。ここで注意したいのは、この12%が「メーカーによる値上げ」だけを指しているわけではないという点です。同社は部材コストの上昇に加えて、消費者がより上位のモデルを選ぶ傾向も要因に挙げています。売れ筋が上位機に移れば、値上げがなくても平均価格は上がります。
ただし日本に限って言えば、Apple Watchの価格を動かしてきたのは今のところ主に為替です。2026年6月にAppleがメモリ価格の高騰を理由にMacやiPadを値上げした際、Apple Watchは対象に含まれていませんでした。価格が動いたのは、その翌月の円安を理由とした改定のほうです。
まとめ
Apple Watchの価格は、米国ではこの10年で30ドル、率にして8%しか上がっていません。2018年以降にかぎれば1ドルも動いていません。それでも日本では、同じ10年で3万円以上、率にして76%上がりました。
その差を生んだものの8割は円安です。Appleが本体価格を上げた分は1割4分ほど、消費税の影響は3%程度でした。つまり日本でApple Watchが高くなったのは、製品が高くなったからというより、円の価値が下がったからだということになります。
買い替えを検討するときに、このことを知っておくと判断が変わるかもしれません。米国で価格が据え置かれているうちは、日本の価格が下がるとすれば為替が戻ったときです。逆に言えば、円安が進めば新型の発表を待たずに価格が改定される可能性があります。実際、2022年と2026年の値上げはどちらも新型発表の前に行われました。
Smart Watch Lifeでは、Apple Watchの価格改定やセール情報についても随時お伝えしていきます。
Source: BGR「How Much Smartwatches Cost In 2016 Vs. 2026」/Apple Newsroom(日本・米国)/日本銀行 時系列統計データ検索サイト/国税庁/Gartner/CCS Insight/ガーミンジャパン/Samsung Newsroom 日本
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